第217話 推測
「きゃっ!!」
可愛らしい悲鳴が響き渡る。
エリスの身体を操る先代を捕まえた証拠だ。
エリスの右腕を掴み逃がさないように拘束していく。
大気中に展開される雷の檻。
バチバチと放電を繰り返しながら周囲を完全に塞ぐ。
「これで逃げられないな。」
「くっ!!」
エリスの右腕を離したクライスが不敵に微笑む。
それに対して先代がエリスの顔でクライスを睨みつける。
「エリスの顔で睨むな!!」
魔力が乗る覇気がエリスの身体を委縮させる。
戦闘には不慣れ先代に耐えられるはずもなく尻もちをついてしまう。
「初めから考えていたんだな。」
「さぁ、どうかしら?」
「白々しい嘘をつくなよ。あんたと『天羽斬』の願いであんたの神は生き延びた。それなのにこの仕打ちだ。恐らく、俺が『アンリ』を殺していればエリス諸共死んでいたんだろう?」
「軽々しく『アンリ』様を呼び捨てにするな!!」
クライスが『アンリ』を呼び捨てにしたことに激怒する先代。
そして、不敵に笑う。
「ええ、その通りよ。『アンリ』様のいない世界など生きる価値もない。それはこの身体の持ち主である私の祖先も理解している筈。故に、『アンリ』様がいない世界から消え去る準備は怠らなかった。」
「なら、『アンリ』は生きているんだ。満足したならエリスに身体を返せ。と言いたいが欲が出たんだろう?同じ時代を生きたい。できれば『アンリ』の傍で過ごしたい、尽くしたい。そんな所か?」
クライスの推測は先代の考えを当てていた。
なのに、不敵な笑みを崩さない先代なのであった。
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