第214話 意志
「さて、そろそろ説明をして貰えるか?」
『アンリ』がクライスに真剣な表情で尋ねる。
それも仕方ないだろう。
死を覚悟して斬られたのに死んでいない。
それどころか自分の神としての権能だけが感じられないのだ。
疑問を持つなと言う方がおかしいだろう。
それに対してクライスが口を開く。
「さっきも言ったように斬ったんだよ。」
「そう、そこだ。斬ったのは判った。なのに何故死んでおらぬ?いや、何故権能が失っている?」
「俺はあんたの想いとこれの想いに応えただけだ。」
クライスはそう言って自らが持つ『天羽斬』を前に出す。
『アンリ』はそんな『天羽斬』を凝視する。
「『天羽斬』の意志だと?」
「そうだ。あんたが斬れと言った時からずっと語り掛けて来たんだよ。」
「意思を持っているのか・・・・・・・?」
「今は何も言わないけどな。多分、持ってるんじゃないか。」
二人して『天羽斬』を見る。
今の姿は元の短剣。
淡い妖艶な輝きを刀身から放つ。
持ち主の意志を反映し魔力で形を形成する神刀。
その神刀の意志にクライスは応えた。
「この刀もあんたには死んで欲しくなかったんだろうな・・・・・・。」
「そうなのか・・・・・・・・・・・。」
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