第37話 騎士団紹介 前
「皆様、お待たせしました。リリカ様の再入場です。」
一度、席を外されていたリリカ様が帰って来られた。
先程のパウル侯爵が仕掛けた決闘を勝利で終えた護衛の少年は素晴らしかったな。
息子と同じ年であれ程の実力者は貴重な人材だ。流石はリリカ様だ、あの年で優れた人材を確保しているとは。恐らく、隣にいた少女も同じく実力者なのだろう。この後、リリカ様は自らの護衛騎士団の紹介をなさるみたいだから楽しみではあるな。
「先程は爽快でしたな。まさか、パウル侯爵があそこ迄愚かだとは思いませんでしたね。嫡男より次男を大切にしていましたからね。恐らく、軽く報復が出来ると思っていたら返り討ちにあったと・・・。
能ある鷹は爪を隠すとは言いますが、あそこまで強いとは思いませんでしたね。まるで鼠の皮を被っている獅子でしたね。あの親子の青くなった顔を見れただけでも行幸でしたね。」
メディカ伯爵が大笑いしながら近寄ってきた。
先程の決闘がたいそう気に入ったのか普段以上に気分が高揚しているのがわかる。
「この後は護衛騎士団の紹介ですね。先程の二人の少年少女以外はどなたが選ばれているのでしょうね。」
「人数も何人なのかは言われておりませんからね。あの二人だけで無いのは当然ですが、恐らく少人数でしょうな。私が確認できただけで3名ですからね。」
「おお、そういえばチャイルド公爵は1人知っているんでしたね。確かに、王女とは言え末の娘。王国でも屈指の才女ですがまだまだ学生の身なので大きな騎士団ではないでしょうな。」
やはり、メディカ伯爵も同じ考えになったか。
ペインからは情報は全く聞き出せなかったから今日の少年の実力には本当に驚かされたぞ。
しかも、国王から許可が出るまで手加減して戦っていたのが驚愕である。
恐らく、まだ実力を隠しているみたいだし一体どれ程の実力者を集めているのかが気になるな。
国王も末娘のリリカ様は可愛いのだろうな。多少の甘やかしもしてしまうな。国王も人の親という事だな。
おっと、リリカ様が席に着かれたか。これから紹介に入るのだろうな。
■■■■
さて、リリカ様が席に着かれたか。
次は国王の言葉と共に護衛騎士団が紹介されるだろうな。
緊張するな~~。胃が痛い。黙っとくだけでいいらしいけど本当かな?
「さて、そろそろ今日のパーティーも終わりに近づいている。最後に我が娘リリカの専属護衛騎士団を紹介したいと思う。さぁ、リリカを守る騎士達よ入ってくるが良い。」
国王の掛け声と共に会場のドアが開かれる。
入ってくるのは7人の男女。
ガインを先頭に入室してリリカの下で跪く。
その顔触れに貴族達は驚愕の表情を浮かべている。
その表情も当たり前だ。護衛騎士団として集められた顔触れが異常だったからだ。
「先頭が『狂嵐』だと・・・・」
「後ろに控えてるのは『絶氷の魔女』に『凶狼』と『黒聖女』もいるぞ。」
「あれはチャイルド公爵家のペイン様では!?」
「『堅牢』と名高いマーガレット嬢もおりますね。」
「最後の黒髪の御仁は誰だ?ジャポーネの格好をしておるが見た事無いな。」
貴族達が各々の感想を言い合う。
王国でも有名な人物が勢揃いしているのだ、貴族の感想は驚きと戸惑いで溢れている。
『狂嵐』に『絶氷の魔女』に『凶狼』や『黒聖女』に『堅牢』って皆2つ名持っているのかよ。
格好いいな!!!俺も2つ名が欲しいぞ。
俺がリリカ様の後ろでキラキラした眼差しと羨望の眼を向けているとエリスに足を踏まれる。
痛い!?真面目にします!!足を踏まないで!!わかりました!!
俺は改めて表情を引き締めて護衛に徹する事にする。
「今日ここに集まって貰った9名がリリカの専属護衛騎士団になる。引き続きリリカに紹介をさせようと思う。リリカ頼むぞ。」
「はい、お父様。ではお父様に代わり私がご説明させていただきます。」
リリカ様が立ち上がり、俺達を紹介する時間になったのである。
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