第208話 あと一度の頑張り 中
『何、簡単な事だ。次は私を斬るだけだ。』
「「はっ!?」」
『アンリ』の言葉にクライスだけではなくエリスを操る先代も驚きの声を上げる。
驚きの声というか理解できないのであった。
自らの死を望む。
それを自身の神子とその番に頼む。
残酷なことでしかない。
「何を」
「何を言うのですか!!」
クライスの言葉に被せる様に先代の怒声が響き渡る。
先代の怒りは最もだろう。
顔を真っ赤にして荒い息を吐きながら『アンリ』に詰め寄る。
「どういうことですか!?この世に蘇ったというのに自ら死を望まれるとは!!我々の想いはどうするおつもりですか?」
『それも含めて説明する。故に、落ち着け。』
「落ち着いていられると御思いですか!?我らの一族がどれほどの時をお待ちしたと思っているのでしょうか。」
落ち着けと諭す『アンリ』と落ち着く気配がない先代。
眼から涙を大量に流しながら『アンリ』の足元に跪く。
そして、両手を地につけ頭を下げる。
「どうか、どうか、考え直していただけないでしょうか。」
消えそうな声で『アンリ』に懇願する先代。
そんな姿をクライスは見守ることしかできなかった。
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