第203話 宣言
「さっさと終わらせよう。この戦いを終わらせないといけないんだろ?」
『その通りだ。その為に魔力を渡したのだからな。『天羽斬』を出すがいい。』
クライスは『アンリ』の言葉通りに『天羽斬』の手に出す。
その姿はクライスが最も使用する刀。
赤黒い刀身が日の光を受けて鈍く輝く。
『ふむ、良い刀だな。これなら問題無い。先ほどの戦いの最中で見せた白金の刀身ではないのが驚きだが。』
「あれは魔力を纏った姿だ。本来はこの色なんだよ。それも大事な家族の力だ・・・・・。」
クライスは『インドラ』と『セレネ』の事を思い出し涙を流す。
自分が不甲斐ない為に、自分達を守るために魂での融合を果たした家族。
今は声が聞こえない。
でも、常に魂は共に。
クライスの身体の中には二体の精霊の魔力が混ざり合い循環しているのであった。
『精霊の力か・・・・・、良い家族を持ったのだな。』
「ああ、あんたは『この世全ての悪』を関するのに優しいんだな。」
『その名を関するからと言って害を成す存在という訳ではない。『必要悪』という言葉を知っているだろう?」
「ああ。」
『その言葉の様なものだ。『アフラ』が『この世全ての善』を司るがこの現状を観ろ?何処に善がある?あるのは破壊された世界。しかし、それでもこの行為が『善』になることもあるのだ。故にその逆も然り。』
『アンリ』は高々に宣言する。
自分達の存在意義を。
それこそが遥か昔に位置付けられた二極の存在。
人によりどちらにも転ぶ。
相反する存在なのだと。
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