第177話 決断 Ⅱ
『こっちに来ない!?どうするつもりだ!!』
神に睨まれたクライスとエリス。
エリスは未だに動ける状況ではない。
エリスを背後に守りながら戦うのは限界があるだろう。
しかし、神はこちらを睨みつけるだけでその後再び穴に視線を戻す。
そして、両の掌を穴に掲げ魔力を放出する。
その莫大な魔力量は先程までクライス達に向けられていた量と遜色がなかった。
『番よ!!□□□を止めるのだ!!』
突如、クライスの背後から聞いたことのない声が聞こえる。
エリスの声とも違う。
否、エリスの声なのだが二重に聞こえる。
まるで誰かの声が重なっているかのように。
クライスが驚きと共に後方に振り替える。
そこには、立ち上がり険しい表情を浮かべるエリスが立ち上がっていた。
『何をしている!?聞こえなかったのか!!□□□を止めるのだ!!』
「えっ!?エリス?一体どうしたんだ!?」
『呆けてる場合か!!取り返しがつかなくなるぞ!!神子も番もこの世界も!!』
余りの出来事に呆けてしまうクライス。
それも仕方ないだろう。
何せ、エリスが別人の様になっている。
それに対して、エリス?はクライスを叱責する。
『今ここで□□□の行動をおとなしく見て世界が滅ぶか、我の言葉を信じて行動するか!!ここが分岐点だ!!番よ、貴様は神子を殺したいのか!?』
エリスを殺す。
その言葉にクライスが憤慨する。
「そんな筈ないだろうが!!いきなり何を言っている!!」
『なら、つべこべ言わずに行動しろ!!もう、時間がない!!見ろ!!』
エリス?が空を指さす。
そこには歪な穴が神の魔力によりみるみる小さくなっていく。
『わかったか!!あの穴が完全に閉じれば神子がしてきたことも犠牲になった者も、全てが無駄になる!!番よ?貴様はそれでいいのか!!』
クライスはもう一度エリスを見る。
その真剣な眼差しは全てを理解し全てを見渡す眼差しであった。
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