第173話 前兆
世界に二人の咆哮が木霊すると同時に小さく生まれた音があった。
パキッ!!
乾いた枯れ木を折ったような音。
小さくて、小さくて誰にも気づかれていない。
周囲の戦闘の音が大きすぎるのも原因の一つだろう。
魔力が干渉しあい反発することにより生まれる波動。
その余波が戦場に広がる。
そんな中に存在する極最小の綻びに誰が気づけるだろうか?
注意深く観察しないと判断できない綻びは魔力を吸い取っていく。
飢えた獣の様に魔力を貪る。
この世界に生誕するためには魔力がまだまだ足りないのだから。
魔力の鬩ぎあいは続く。
周囲の影響など考えずに破壊を撒き散らす。
破壊される世界は魔力の揺らぎを生み、更なる混沌を創り出す可能性もある。
淀んだ魔力はそれだけでも周囲に影響を及ぼすのだ。
バチチッ!!バチッ!!
放電現象が生み出す破壊は大地だけには留まらない。
元々、戦闘の余波で壊れていた周囲の建物など最早跡形も残っていない。
更には空にも影響が表れ始める。
雲は割れ青空も淀み暗くなる。
太陽が隠れ世界を黒に染め始める。
『魔力だけの影響ではない。■■■が干渉している!!』
神のは、神だけには分かっていた。
自らの魂に刻まれた魔力の痕跡が、痛みが、恐怖が、畏怖が、全てを語っている。
『■■■が蘇る。』
迫りくる脅威に神の焦りが加速するのであった。
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