第33話 決闘 後
「相変わらず出鱈目な強さですね・・・・。しかし、相手の方は平気でしょうか?」
「少しやり過ぎな感じはありますが・・・、一応冒険者なのであの程度のダメージは想定内で無いと困ります。」
「そうですか。相手に対しての評価が少し辛辣な気がしますがエリスが言うならそうなのでしょうね。」
クライスの一撃、いや二撃が全く見えず、観客の皆様と同じ様に呆然としてしまう。
時折、クライスの模擬戦は確認したことはありましたが何時見ても出鱈目な強さですね。
今回はインドラだけの様ですが・・・・インドラが顕現していませんね?
「エリス、インドラがいないようですが分かりますか?」
「今調べています・・・・・・。どうやらマフラーに擬態している様です。」
「擬態!?その様な事が出来る様になっているのですか?」
「私も初めて知りました。器用な事していますね。」
「ええ、私もそう思います。精霊はあんな事も出来るんですね。この決闘が終われば研究させていただくとします。それよりも、相手の方はまだ続けるみたいですね。」
改めて、相手の冒険者を見てみると辛うじてですが立ち上がり続行の意思を見せていた。
■■■■
「貴様っ!!!!立ち上がらんか!?私の名に傷がつくだろうが。」
パウル侯爵が怒りで顔を真っ赤にしながら捲し立てる。
最早、形振り構ってられないのか必死である。
「くっ!!がはっ!!はっ、はっ、はっ、はっ。」
お兄さんは血を吐き出しながらも立ち上がり俺を睨み付ける。
「くっ、そが!!全然見えなかったぞ。お前何者だ?」
「唯のリリカ様の護衛兼魔法学院生ですよ。」
「学院生だと!?お前みたいな学院生がいて堪るかっ!!俺が長年かけて編み出した魔闘術をその年で使えるなんて悪夢でしかないぞ。」
凄いな、もう喋れるのか!!まぁ、高密度の魔力を纏っているから回復が早いのは当たり前か。自己治癒力が跳ね上がるんだよな~。
「だんまりか?まぁいい。さっきは驚いて攻撃を貰ったが、お前が速さと一撃を重視したタイプだと判ったんだ。長期戦は覚悟して貰うぞ。」
お兄さんは勝手に俺の戦闘スタイルを勘違いしてくれる。
さて、同じ魔力を使って自己強化をして戦う者同士として戦いましょうか。
お兄さんは、自分の魔力密度を更に高めて俺の攻撃に備え始めた。
「さて、何時でも来い。さっきとは違って俺の防御を抜けるか!!」
お兄さんの高密度の魔力により周囲の景色が更に揺らめく。
魔力の質や量はかなり多いと思う。属性は炎なのかな?でも、上手く変換出来ていないのか所々しか炎に変換できていない。
さて、俺もお兄さんの言葉に甘えて攻めていくとするか。
『インドラ、色々試していくぞ。』
『好きにするが良い。サポートは任せておけ。』
魔力を高めて、全身の魔力を雷に変換していく。
周囲に放電しながらお兄さんを見据える。
お兄さんは、両腕を前に持ってきて腰を落とし身体を固める。
如何切り崩すか・・・・。まぁ、出たとこ勝負だ。
「行きます!!」
『瞬雷』
再び、『瞬雷』でお兄さんの前に現れ右腕からの一撃を繰り出す。
「おらっ!!」
「ふん!!!」
俺の右拳とお兄さんの両腕が衝突する。
バッキッーーーン
肉体同士が衝突したとは考えられない音が鳴り響く。
金属と金属がぶつかり合った様な音と共にお互いの魔力が干渉し合い、俺とお兄さんは一歩づつ後退る。
硬いな!!ガインさん並みの硬さじゃないか。それにお互いの魔力の密度が高いと反発し合うんだな・・・・・、勉強になった。
一歩後退った場所から改めてお兄さんを観察する。
全身を炎の魔力で覆い隠し隙が無い。
多分、いくら攻撃してもさっきと同じ事の繰り返しになるだろう。
つまり、別の方法で切り崩すしか無い。
う~~ん、魔法でいくしかないのかな?威力と言うより範囲が問題だもんな。でも仕方ないか、新作の魔法を使いましょう。
俺は後ろに飛び、少し距離を開ける。
右の手の平をお兄さんに向け魔法の準備に取り掛かる。
「うん?魔法を使うか。良いだろう、防いでやるよ。」
「一点集中ですので気を付けてくださいね。」
一応お兄さんに注意を促し、詠唱に入る。
「我が身に集まる天の怒りよ、我が声に応えよ。怒りは幾重もの槍となり、数多の存在に畏怖を撒き散らす。力は畏怖の象徴であり、崇拝の証でもある。我が身に降り注ぐ数多の障害に対してその力を振るい賜え。神罰を執行せよ。貫き、降り注げ・・・・・」
『天雷の怒雨』
詠唱と魔法名と共に放たれる、雷を纏った数多の槍。
お兄さんに向けて降り注ぐ槍は確実に魔力を削り取る。
俺自身が魔力を抑えて放っているがお兄さんが耐えられるとは思っていない。
「くっ!!あっ、あっ、あああああああ!!」
お兄さんの苦悶の声が聞こえる。
降り注ぐ、槍と共に巻き上がる粉塵に等々お兄さんが隠れてしまう。
インドラにお兄さんの状態を確認して貰っているので魔法の止めるタイミングは常に把握している。
時間にすれば一分程で、槍の雨がお兄さんに降り注ぐのを止める。
粉塵が収まり、そこには気を失い地面に倒れたお兄さんが現れるのだった。
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