第168話 鎖
振り下ろされる絶対の死。
躱すことのできない現実にクライスは眼を閉じてしまった。
死を受け入れようとしたのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
しかし、幾ら待っても訪れない神の一撃。
周囲から見たら一瞬の出来事だがクライスには永遠とも思える時間に感じた。
恐る恐る眼を開けると驚きの光景が目に飛び込んでくる。
「なぜ、我が一撃が止められる!?」
神の右腕が漆黒の鎖により雁字搦めにされ固定されていた。
神の右腕を固定している鎖は何もない筈の空間から生まれていた。
四方八方から発生している鎖は神の右腕をさらに締め付けんばかりに数を増やし始める。
「ええいっ!!鬱陶しい!!」
魔力を高め鎖を引きちぎろうとするがびくともしない。
逆に魔力を高めれば高める程鎖は強固になっているように見えた。
「何故だ!!何故引きちぎれない!?この程度の鎖!!」
空間に固定されているかのように全く動かない右腕に神は我慢の限界が訪れる。
「千切れぬのならこうするまでだ!!」
ブチッ
生々しい音と共に自らの右腕を引きちぎる神。
大量の血液と共に身体が固定された右腕から離れる。
神の傷はすぐに再生を始め何も無かったかのように右腕が生えてくる。
では、鎖に雁字搦めになった右腕は?
ジャラッ
鎖が解ける音と共に消失していた。
流石に消失するとは思っていなかった神も驚愕する。
それ以上にクライスが驚愕と困惑を示す。
『あの鎖は?助けてくれたのは判るが一体だれが?』
死の恐怖が無くなったことにより冷静さを取り戻した矢先の出来事。
混乱する頭で状況を考える。
『今は動けない。自分の身体もそうだけど謎の勢力。それも神を封じる程の力を持った存在が近くにいる。迂闊には動けない。』
限界が近づく身体と頭で状況を整理するクライス。
エリスはどうしているか?
後ろを振り向くと眼を瞑り祈りを捧げている。
『この状況で祈り?さっきの鎖と関係があるのか?』
魔力の高まりは感じない。
周囲に気配もない。
あるのは神とクライスとエリスだけ。
第三の勢力がどこに潜んでいるか?
クライスは必死になって探すのであった。
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