第162話 切り札
解き放たれた居合。
『天羽斬』が纏う白金の輝き。
眩い神聖な光を伴う雷。
身体を覆う保護の魔力以外は全てを刀へ。
繊細に解き放たれた一閃は神の放った絶望と相対する。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
クライスの叫びが上がる。
しかし、世界には木霊しない。
全てを喰らい尽くす絶望にかき消されるのみ。
それでも、それでも。
少しの時間だけでも。
この絶望をエリスの下にはいかせない。
その想いがクライスに勇気を与える。
『大丈夫だ。』
『信じなさい。』
『インドラ』と『セレネ』の声が聞こえた気がした。
否、聞こえた。
心の中、魂からの語り掛け。
「なんだ・・・・・・・・・・・?」
クライスの想いに『天羽斬』が世界が応える。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ。
甲高い音が世界に木霊する。
クライスの放った一閃が神の放った絶望と拮抗していた。
お互いの魔力が干渉しあい反発しあう。
相容れぬ魔力が世界に歪を創り出す。
そして、時が来た。
「あとは私が!!」
クライスの後方からエリスが叫ぶ。
エリスの足元の魔法陣が激しく点滅を繰り返す。
まるで呼吸をするかのように。
次第に大きくなる魔法陣。
それと共に相反していた二つの魔力が反応する。
「「これは!?」」
流石の神も自らの足元に肥大化した魔法陣が現れれば驚く。
クライスも同様に驚いたが神ほどではなかった。
事前にエリスが何をするのかを聞いていたためである。
そして、魔法陣が立体化し動き出すのであった。
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