第160話 非情の一撃
天と地が荒れ狂う程の膨大な魔力の奔流。
それを両の掌の間で流麗に操る神。
様々な感情が魔力の中に溶け込んでいるのが判る。
その中でも憤怒の感情が大半を占めている。
『表情でわかるしな・・・・・・・。とはいえ、あの魔力を受けきれるか・・・・・。』
クライスの不安は別にあった。
それはエリスの状況である。
エリスの話には絶対の信頼がある。
しかし、それでも眼の前の魔力を見れば霞んでしまうのは仕方ないだろう
『駄目だ!!俺がそんな気持ちになっちゃいけない!!』
クライスは自らの頭を振り生まれた雑念を取り払う。
自らの愛する人の言葉を信じるのみ。
眼の前に生まれている莫大な魔力の奔流にしり込みしてる暇など無い。
「さて、魔力を練るか・・・・・・・。今の身体でどれだけ絞り出せるかな。」
小さな独り言。
クライスの身体は『インドラ』と『セレネ』との融合で魔力だけは桁違いに増えていた。
しかし、傷は癒えきっていない。
未だに意識は朦朧としそうになるのを気力で保っているようなものだ。
あの魔力の奔流を受けきった場合確実に押し負ける。
その前にエリスの用意した秘策が発動するのを期待する。
「終わりだ。」
神の言葉が発せられる。
天変地異を引き起こした光と闇の魔力は混ざり合い混沌と化す。
全てをの呑み込み、消し去る。
この世に存在を許さない非情な一撃が今放たれた。
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