第29話 決闘開催決定
「噂ですか?確かに、皆様が色々囁かれていましたね。しかし、この二人が関わる噂なら一つしかありませんね。」
「ほぉ~~、護衛のお二人が関わっていると・・・・。そういえば、昨日エラブルが女性をエスコートしようとしたら平民に邪魔をされたばかりか暴言を吐かれたと。その後には決闘を申し込んで無事受理されたとも聞いておりますが・・・間違いありませんか?」
「そうですね・・・。一部は違いますが、概ね間違いありませんよ。」
「それは良かった。しかし、一部が違うとはどの部分でしょうか?」
「そこは指摘してしまうと話が平行線になりますが・・・・、どうなさいますか?」
「ふむ・・・、一応聞いておきましょう。もしかしたら、此方に非があるかも知れませんからな。」
リリカ様とパウル侯爵の話し合いが続く。
俺達が原因だけど、明らかに被害者だからな。
しかし、父親である侯爵もエリスを嫌らしい眼で見てるな。正直に言って腹が立つな。
『クライスよ、何時まで我慢せねばならんのだ?』
『そうよ!!これ以上、私のエリスちゃんを不躾な視線に晒さないで頂戴。』
『二人とも突然だな!?今まで静かだったのにいきなりどうした?』
『あやつらの視線が鬱陶しいのだ!!』
『エリスちゃんへの視線が苛々するのよ』
『おおぉ・・・、怒り心頭ですね。』
『お前、《アナタ》もだろ《でしょう》』
二人から心の中から突っ込みが入る。
まぁ、俺も我慢の限界だったけどさぁ。一応は貴族当主だから・・・もう少し我慢しようか?
「成程ね。確かに、エラブルからの報告とは違いますね。しかし、平民が手を挙げたのは確かのようですね。まぁ、そこは決闘を受けたのだから決闘で雌雄を決すればいい事ですね。」
「そうですね。最早、どちらが悪か等関係ありませんからね。では、決闘の日取りが決まれば御連絡下さいね。」
リリカ様は話を切り上げようとしているが何故かパウル侯爵が更なる提案をしてくる。
「リリカ様、もし宜しければ本日決闘をしては如何ですか?丁度、国王様もおられます。護衛の実力を示す良い機会ではありませんか?勿論、本音を言えば我が家の実力も国王様に改めて確認していただけるので一石二鳥なのですよ。」
うわぁ~~。国王様までも利用するのか・・・。やりたい放題だな。国王様もよく許してるよな・・・・。
「貴方は・・・自分が何を言っているのか分かっているのですか?」
「ええ、勿論。国王様には改めて我が家がどれだけ優秀かを再確認していただきたいのですよ。」
「そうですか・・・。分かりました、国王様に確認してきましょう。クライスはこの場で待機していなさい。エリス!!行きますよ。」
「はっ、はい。」
あっ!!リリカ様が国王様呼びだ。相当頭に来てる証拠だな。
はぁ~~、嫌な予感が当たった。多分このまま決闘かぁ~~。凄く面倒臭い。絶対にまともな決闘にならないよな。
リリカ様が席を立ち、エリスを伴って国王様の下へと歩いていく。
その間、待機を命じられた俺は・・・・。
「はっ!!まさか、国王の前で恥をかかせられるとは。嬉しい誤算だな。」
「こら、エラブル。窮鼠猫を咬むと言います。明らかな弱者であろうと油断は駄目だ。勿論、国王様の前での決闘になるだろうから優雅に華麗に倒してあげなさい。まぁ、少しはいたぶるのも黙認して下さるでしょう。」
絶賛、パウル親子の蔑みを受けています。
俺が弱者だと言う、二人の根拠の無い話は何処から来ているのだろうか?
そりゃ、今の所公の場での戦闘はしたことありませんよ。でも、護衛に選ばれてる時点で実力があるのは解らないのだろうか?それとも、相当な実力者なのだろうか?う~~~ん?魔力等の感じから強くは無さそうだけど、隠蔽してるとか?
俺が、二人の侮蔑の視線を受けながら立ち尽くしていると国王様を連れたリリカ様が帰ってきた。
「パウルよ。何やら面白いことを始めようとしているな、っと普段のパーティーなら言う所だが今日はリリカの誕生日パーティーという事を忘れていないか?」
国王が冷ややかな視線と共に言葉を紡ぐ。明らかに不機嫌なのが判る。
「十分承知しております。しかし、国王様にも利があります。国王様はそこの護衛の実力は確認しておりますか?」
「話は聞いておるが、直接は見ておらん。」
「そこです!!私は、国王様にリリカ様の護衛の実力を確かめて貰うために今回の決闘を提案したのです。護衛の力が確かならリリカ様の身辺も安全、実力不足なら改めて実力のある護衛を付けられます。」
「ふむ・・・成程な。お前はリリカの眼は腐っていると言いたいのだな?」
国王が明らかな怒気を孕んだ威圧を展開する。
周りの人々は小さく悲鳴を上げ身体を硬直させる。
しかし、パウル侯爵は言葉を続ける。
「その様な事は一切思っておりません。偏に、リリカ様の身辺を案じての事です。リリカ様は王女でもあり見眼麗しい女性でもあります。万が一の事を考えるのも臣下の務めです。実力の判らぬ護衛よりはしっかり実力の確認が取れた者を使うのが当然と思ったのです。」
パウル侯爵は威圧を受けながらも自分の意見をはっきりと国王に告げる。
その言葉に、国王は威圧を緩め目を瞑り思案を始める。
「よかろう。お前の言い分に則り決闘を許可してやろう。半刻後に決闘を始める様に準備を始めろ。ルールはどちらかが降参、もしくは戦闘不能による決着とする。武器は此方で用意してやろう。勿論、不正は無いように立会人は本日来ておる貴族当主の中から選ばしてもらおう。双方正々堂々決闘に励むが良い。」
国王が決闘開催を許可した。
それにより、大勢の前で決闘をする羽目になってしまったクライスであった。
三日連続少し長くなりましたが・・・・。
ようやく、決闘まで漕ぎつけました\(^_^)/
次話より、決闘が開始されますのでお楽しみに。
エラブル君はどの様にクライスと戦うのか?
巻き込まれたクライスは何処まで実力を晒すのか。
次話の更新を乞うご期待!!
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