第123話 久々利の一撃
「三の型『秋光流舞』」
ユルリと舞を舞うクライス。
緩急を織り交ぜた舞は虚偽を交えることにより完成する。
魅入るような動きと共にクライスの攻撃は始まる。
「それは前回も見たぞ?」
神はつまらなそうな顔でクライスに問う。
先程までの怒りも無くなり、残念そうな表情を作る。
それでもクライスは舞い続ける。
神はそこで疑問が生じた。
攻撃がこないと。
ただ舞うだけのクライス。
攻撃が来るかと思えば来ないので拍子抜けする。
神が気を抜いたその時に異変に気付く。
「なんだあれは?」
クライスの頭上に蠢く何か?
殆ど透明で見えにくい。
数が集まっているからこそ見える違和感。
周囲に溶け込んでいるのに集まりすぎて違和感を覚えさせる。
それを眼を凝らしてみようとした神に久々利が襲い掛かる。
「獣風情が!!邪魔だ!!」
「アッシを獣風情と!?なら、その獣の生き様を目に焼き付けるといい!!」
久々利は先程までの巨大な狐の姿ではなくなり、元の獣人の姿。
着流しを着込み腰の刀を抜刀する。
「しっ!!」
「ふん、番の動きに比べたら遅すぎる!!何ッ!?」
久々利の抜刀を苦も無く受け止めた神だがその瞬間に驚愕の表情を浮かべた。
障壁を纏った左腕で抜刀を受け止めたら終わり。
そう思った瞬間に痛みが走る。
そこには久々利の尻尾が突き刺さっていた。
しかも、その尻尾は氷でできている。
神は自らの障壁を貫いた攻撃に驚いていたのであった。
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