第120話 苛立ち
神を見据えるクライス。
表面上は涼しい顔をしているが内心は全く違った。
『くっ!!身体全体が悲鳴を上げている。もってあと数回。それまでにどうにかしないと・・・・・・。それでも、検証は終わった。インドラが思いついた通りだったなんて。』
インドラが思いついた事。
それは純粋な魔力による属性攻撃には障壁の効果が薄いのではないか?
初めに推論を聞いたときは何を馬鹿なと思ったクライスとセレネ。
しかし、試してみる価値はあると思い新技と共に神へと繰り出す。
これがまさかの効果覿面であった。
しかし、代償が無いわけではない。
自らの身体を雷に変化して縦横無尽に世界を動き回る。
クライスの負担は想像以上に激しかった。
それでも、泣き言は言えない。
エリスが頑張っているんだ。
自分も頑張らなくてはならない。
そんな想いと共に再び攻撃する。
「ちょこまかと!!」
クライスが動くたびに神の身体に傷がつく。
瞬時に回復して傷など残らないが神の不機嫌さは増していくだろう。
「いい加減鬱陶しいぞ!!」
神の不機嫌さが爆発する。
感情に任せた魔力の波動が世界に吹き荒れる。
木々は揺れ花弁は吹き飛んでいく。
それでも世界は形を保っていた。
冷や汗を流しながらも自らの身体を元に戻すクライス。
神の雰囲気で今の戦法が通じなくなったのを感じる。
「さて、厳しい戦いになったぞ・・・・・・・。」
『元からだがな・・・・・・・・。』
『そうね・・・・・・・・・・。』
三人の呟きは揺れる木々の音にかき消されるのであった。
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