第27話 誕生会開催前
「僕達が後ろに付き従って大丈夫なんですか!?」
「そうですよ。私達は護衛騎士団として所属していますが、本日はお披露目だけだったのでは?」
「何を言っておるのじゃ。お披露目じゃから護衛騎士である二人がわらわの後ろに付き従っても問題なかろう?」
「「問題ありです!!」」
「そんなに嫌か?」
「嫌ではなく、ガインさんやエマさん、それにペイン様など僕達より地位が高い人が居るじゃないですか!!どうして、僕達なんですか?」
「確かに、ガインやエマが本来なら適任かもしれんが今回はきちんとした意味があるんじゃよ。」
「「意味ですか?」」
俺達がリリカ様の後ろに追従するのに難色を告げる。
明らかに、自分達より地位が高い人達がいるのだ。普通はその人達が務めるのが筋である。
俺達の表情から不安を読み取ったリリカ様が即座に意味を教えてくれる。
「今日の誕生日パーティーには貴族当主や子息や子女が多数来ておる。この中で純粋にわらわの誕生日を祝ってくれている者が何人いるか・・・。それでも、数少ない祝いをくれる者を必要以上に威圧するわけにはいかん。わらわと歳が近い者が追従しておれば少しは話しやすかろう。まぁ、その所為でわらわを軽く見る者もおるかもしれんがの。」
「猶更駄目じゃないですか!!リリカ様が軽く見られるのは不味いのでは?」
「それに関しては大丈夫じゃ。しっかりと騎士団員を紹介する際に説明もしよう。先に言っておくとな、お主等を信頼しておるのと学院内での護衛も含めると一番接する時間が長いのでその延長線上とした説明じゃな。本音は、お主等二人はわらわに取って気兼ねなく話せる友人なんじゃよ。その友人が近くに居るだけで心が安らぐのじゃ。じゃから、わらわの我儘を聞いてくれんか?」
二年と少しの付き合いの中で初めて聞くリリカ様の弱音。
俺達はそんなリリカ様の初めての態度に驚きはした。
その心情を打ち明けてくたリリカ様の想いに俺達は心の底から応えたくなった。
「分かりました。僕達で良いならお供いたします。」
「リリカ様に友人とまで言われれては・・・友人の頼みは無下にできません。私もクライスと同じくお供いたします。」
「二人とも・・・ありがとう。」
リリカ様の自然な笑顔に一瞬ドキッとしたが直に気持ちを切り替える。
リリカ様の後ろに追従するという事は様々な視線を浴びる事になる。
今から、その視線に対して身構えておくに越したことは無い。
パン!!自らの頬を叩き気合を入れる。
俺の突然の行動に呆気に取られる二人とメイド達。
「どうしたのじゃ!?いきなり自分を叩くなぞ・・気でも狂ったか?」
「えっ!?大丈夫クライス?」
「「「「クライス様?如何なされましたか?」」」」
えっ!?何その反応?俺が気合入れるだけが奇行に見えたのか?それは少し悲しいぞ。
何でも無い。大丈夫だと皆に納得した貰う。
俺達の緊張が解れたのと同時にドアから老齢の執事が入ってくる。
「リリカ様、そろそろお時間です。」
「そうか、では行くとするかの。二人とも遅れるでないぞ。」
「「はい!!」」
リリカ様の後を付いて別室を出る。
執事の案内で奥に奥に歩いていくと音楽が聞こえてくる。
陽気な音楽なのに何故か厳かな雰囲気がある。
その音楽が鳴り響く会場のドア前には、豪華なマントと王冠を被った金色の体毛を持つ獅子の獣人が立っていた。
「リリカよ、待ちくたびれたぞ。」
「お父様!!!」
リリカ様の喜びを含む声が発せられる。
お父様!!!という事は国王様か!?
俺とエリスは直ぐ様に片膝を付き頭を垂れる。
初めて見る国王に感動するも、放たれる覇気に押し潰されそうになる。
「この二人がお前の護衛騎士か・・・・・。」
「お父様、威圧はお止め下さい。二人は私が認めた騎士ですよ。お父様にも説明していたじゃないですか?」
「ふふ、分かっておるわ。何、ちょっと試しただけだ。この程度の威圧で駄目になるようなら直ぐに交代させたのだが・・・、大丈夫そうだな。」
「当たり前ですよ。この二人は私の騎士の中でも選りすぐりですので。」
クスクスと笑いながら国王と会話をするリリカ様。
その間も頭を垂れたままの俺達は、威圧が解除されて安堵していた。
「二人とも、面を上げよ。」
「「はい。」」
「ふふふ、良い面構えだ。リリカの騎士はそうでなくてはな。これからリリカの為に力になって貰うぞ。」
「「はい、身命を賭して務めさせていただきます。」」
「お父様。今日は私の誕生日ですよ。これ以上、私の友人兼騎士を困らせないでくださいね?」
「可愛いリリカに言われては仕方ないな。では、私は先に入場するとしよう。煩い貴族共を黙らせておくよ。」
「まぁ!?それは貴族の皆様が可哀そうですよ。折角、楽しんでいますのに。」
「はっ!!パーティーと言う名の魔窟を純粋に楽しんでる様な者を可哀そうだと?リリカは優しいな。」
「王族の一人として、清濁併せて飲み干す度胸は持っておりますので。その程度は大目に見てあげて宜しいかと。」
「はっははははは!!!全く、我が娘はしっかりと成長しておるわ。」
国王は踵を返し、ドアの前に立つ。
すると、先程迄会場内から聞こえていた音楽と声が鳴り止み静寂が訪れる。
先に、入った執事の声と共に国王が先に会場に入場する。
再び、ドアが閉められると肺に溜まった空気を絞り出した。
ぶはっーーーー。なんて威圧感だ。あれが国王リカルド様か。
俺の心臓が激しく脈打つ。背中には大量に汗をかいており気持ち悪かった。
「すまんのう。まさか、お父様がおるとは思わんかった。本当なら先に入場しとる筈だったんじゃが。全く!!」
「大丈夫ですよ。凄く驚きましたが・・・・。」
「私も同意見です。流石は国王様ですね。」
「わらわからしたら、唯の悪戯好きの父親じゃ!!入場前に二人を緊張させてどうするつもりじゃ。」
リリカ様の小さな怒りに苦笑いしかできない俺達。
そんな、些細なやり取りをしていると別のメイドから「入場です。」と声を掛けられる。
「では、行くとするかの。二人とも緊張してると思うがよろしく頼むぞ。」
「「はい!!」」
俺達の返事と共に会場のドアが開け放たれる。
会場中の視線が集まる。
その視線の中をリリカ様の後を付いて会場に入るのであった。
気合を入れて書いてたら区切りが付けられなくなり長くなってしまいました。
区切りをつけるのは難しいですね。
そして、話が中々進まない自分に腹が立ちます。
書きたい事は沢山あるのに一向に進まない展開。
小説を書きなれてる方や書籍化してる方の展開のやり方のコツを知りたい(´・ω・`)
しかし、こんな自分の作品でも見てくださる方がいますので頑張って書いていきます。
では、何時もの後書きをどうぞ!!!!!
本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます
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