第109話 至った
全てを斬り裂かんと言わんばかりの刃が神を喰らいに空間を奔る。
クライス自身も自らの速度に内心驚いていた。
それ程までに会心の一撃。
しかし、無情にも神によってまたも止められる。
ガッキン!!
クライスの一撃は確かに防がれた。
しかし、前回とは違う。
前回は心象具現という固有結界を展開しての一撃とは違い、純粋に魔力を高めての一撃。
その一撃を障壁を強化してまで止めた。
その事実がクライスを歓喜させた。
「はっはははははは!!届いた!!その領域に手が届いたぞ!!」
今までは余りにも実力差が開きすぎて絶望しかなかった。
しかし、今は違う。
神が防がなければと感じるほどの一撃を放った。
これを喜ばなくて何を喜ぶのか?
クライスは全身で歓喜を表現しながらも神から距離をとる。
一方で攻撃を防いだ神は自らの右腕をじっと眺めるのみ。
クライスに視線を向けるでもなく、自らの右腕を。
今しがたクライスの一撃を防いだ箇所を見る。
「なんだ・・・・・・・・・・?」
『気を付けなさい。』
『嫌な感じが漂ってきたぞ。』
三人は神の変化を敏感に感じ取った。
明らかに先程の余裕を持った雰囲気がなくなっている。
斬りつけられた右腕を不気味なほどに見つめ続ける神。
そして、突如笑い始める。
「フッハハハハハハハハハハ、アッハハハハハハハハハハ!!」
異常なほどの魔力の奔流。
天に向かい光と闇の二種類の魔力が螺旋を描きながら上昇していく。
神の周囲を巻き込みながら。
その中心で神は高らかに狂ったかのように笑い続けるのであった。
本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしています。(メンタルは弱いので誹謗中傷は控えていただけるとありがたいです。




