第１０７話 異形戦 後
クライスが一歩進めば異形は一歩後ずさる。
距離を詰めようとするが絶妙な位置取りを維持し続ける異形。
よほど、クライスが刀に纏わしたセレネの力が怖いようだ。
「ギュァッ。ギャギャッ」
威嚇音を鳴らしながら後退する異形。
このままでは千日手。
決着がつかない。
そんなことは許しはしないクライスが仕掛ける。
バチッ！！
「ギュアッ！？」
突如、異形の後方から放電が起こり異形の意識が逸れる。
その瞬間を待っていたクライスが自らが編み出した歩法で距離を詰める。
『瞬雷』
雷を模した速度で異形に肉薄する。
一瞬のことで意識を逸らしていた異形はまたも困惑の声を上げる。
「ギャッ！？」
「終わりだ。」
振り下ろされる刀。
神聖な光の魔力を纏った刃が異形を唐竹割にする。
異形の抵抗などない。
綺麗に左右に斬り裂かれる異形。
「カッ！！ギャッ！！」
ボウッォォオォォォ！！
斬り裂かれた異形の身体に炎が灯る。
瘴気を帯びた魔力に相反する神聖な魔力が反発しあった結果だ。
本来なら、相反する魔力が混じり合う事は無い。
必ず、拒絶反応を起こし爆発する。
例外は自らの魔力を使った場合のみ。
それ以外はありえない。
今回の場合は瘴気の籠った魔力にクライスの神聖魔力が勝った結果だ。
青白く光りながら異形を燃やし尽くしていく。
瘴気の籠った魔力が燃料となり派手に燃える。
全てが燃えた後に残るは灰。
その灰も風に乗り散っていく。
確実に異形を滅ぼしたことを見届けてクライスは神へと向き直るのであった。
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