第106話 異形戦 中
クライスの一閃により上下に別れた異形。
臓物を撒き散らし地面に赤黒い血の海を作り出す。
正眼に構えなおしたクライスは異形を睨み続ける。
普通に見る限りでは勝負はついている。
何せ、異形は身体を上下二つに別れているのだから。
それでも、警戒を緩めないクライス。
すると。
ボコッ!!ボココッ!!ボコッ!!
先程と同じように激しく泡立つ血の海。
そして、泡立った端から上下に別れた身体に触手の様に赤黒い血が伸びていく。
『やっぱり、再生するか・・・・・・・。』
『全てを消滅させるしかないようだな。』
『私の力で浄化したほうが早いかも・・・・。』
クライス達三人はこの状況が読めていたので警戒を怠らなかった。
血の触手により身体をくっ付けた異形は起き上がるとクライスを睨みつけ叫ぶ。
「ギュアァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「あれしか無いのか?」
流石の神も同じ様に叫ぶ異形に呆れていた。
それと同時にクライスが異形に対してどのように対応するかを期待していた。
「はぁぁぁぁぁ!!」
正眼に構えたクライスが短く吠える。
すると、刀に神聖な光が宿る。
淡い光を宿る刀を見た異形が本能からくる警告なのか、少し後ずさり明らかな警戒を示した。
「ギュアァッ!!ギャァッイ!!」
クライスに向けて唾を撒き散らしながら警戒音を出す異形。
明らかな警戒と怯えが混じった態度にクライスは確信を得る。
『これで正解のようだね。』
『そうだな。早く、あの異形を倒すとしよう。』
『本戦が残っているしね。』
クライス達三人は異形を相手にもしていなかった。
生まれたばかりであり理性が備わっていない存在。
その程度の相手ならクライスに負ける要素が存在しなかった。
本命は神。
余裕をみせ油断している。
この時しか神に対抗できないだろう。
故に、時間を稼ぐ。
エリスの準備が終わるまで。
エリスの準備が終われば神はクライスと同じ土俵で戦うしかないのだから。
静かに準備を続けるエリスを一瞥し、クライスは異形に向き合うのであった。
本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしています。(メンタルは弱いので誹謗中傷は控えていただけるとありがたいです。




