第94話 避難
「エマさん!!大丈夫ですか?」
自らに声をかけてくる者。
少年と少女を認識したエマは安堵から意識を手放してしまう。
「エマは童に任せておけ。」
少年と少女の後方から豪華な軍服を身に纏った一人の少女。
リリカがエマの横に立つ。
「お任せします。」
「任せよ。まぁ、言っても直ぐに被害のない場所まで下がるがの。」
少女、エリスの言葉に肩を竦めながら懐から小さな箱を取り出す。
「起動せよ。」
呟く様に紡がれる言葉。
短い言葉に魔力を乗せ箱に語り掛ける。
すると。
ピッ。
短い音がなったと同時に箱を地面に落とすリリカ。
箱が地面に接触すると同時に変化が起こる。
周囲の土を集め始め形を作り出す。
その形は人型。
つまり、作り出されるのは一体のゴーレム。
作り出されたゴーレムはリリカの前に跪き命令を待っている様である。
「さて、さっそく仕事じゃ。そこに横たわっておる女性を童と共に後方に連れて行くのじゃ。」
リリカがゴーレムに命令を下すと静かに立ち上がり、魔力を持って地面を操作し始める。
地面が隆起しエマの身体がゴーレムの胸の高さまで持ち上げられる。
持ち上げられたエマを両手で抱えたゴーレムを確認するとリリカは踵を返し歩き出す。
「死なないでください。」
一言。
リリカは小さく呟くと戦場から遠ざかっていくのであった。
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