第24話 説明
「さて、取り敢えずは一難去ったの・・・・。しかし、少し離れた隙に付け込まれるとはな。あやつの色情狂いには恐れ入るわ・・・・。」
リリカ様が苦笑いを浮かべながら愚痴を零す。
「そうですね、偶然近くにいたから良かったですが、あのままならエリスは連れて行かれてましたね。そもそも、何故周りの人達は助けようとしなかったんですか!?」
俺が少し怒り気味に尋ねる。
「それはな「リリカ、僕が説明するよ。」」
「む!?そうか。ならお願いしようかの。」
「ああ、その間にリリカは叔父上様に報告する内容を纏めといて欲しいな。」
「そうじゃな。はぁ~~、、頭が痛くなる・・・。何故、馬鹿の為に時間を使わねばならん。」
ブツブツと小言で呟きながら報告書を書く準備を始めるリリカ様。
そして、リリカ様の代わりにペイン様が説明を始める。
「今回、何故周りの皆が助けてくれなかったか?だよね。簡単な話だよ、あの場にいた連中は皆がエラブルを恐れていた。正確にはエラブルの父親である、オーショク・フォン・パウルを恐れているんだよ。」
「「父親を?」」
「そう、父親だね。エラブルの父親は侯爵なのは知っているね。それ以外の顔は知っているかい?」
「「それ以外の顔!?」」
「うん、息ピッタリだね。微笑ましいよ。侯爵以外の顔は商人なんだ。それも飛び切り立場の高い商人だね。」
「息ピッタリだなんて・・・・。」
「高い地位の商人ですか?」
「そう、商業ギルドの幹部の一人なんだよ。その所為で皆強く出られないんだよ。商人じゃ無くても買い物は誰しもがするでしょ?その買い物にオーショク侯爵は介入してくるんだよ。貴族としての地位と商人としての地位の両方を使って追いつめてくるから質が悪いんだよ。」
「そんな・・・・、そこ迄汚いのですか?」
ペイン様が悲しい顔をしながら頷く。
「公爵である僕の家や王族の関係者各所は大丈夫だけど・・・それ以外は狡猾に追い詰めてるね。些細な事でも根に持つ性格みたいだし、一度睨まれると莫大な賄賂を払わないといけないみたいなんだよね。これも、表には出ていないから此方も動けないでいるんだ。」
「「酷過ぎる。」」
なんて家族なんだ・・・・。王国の恥部なんて可愛い表現じゃないか。
俺の憤怒の表情から考えを読んでくれたのかペイン様が釈明する。
「でも、安心して欲しい。リリカが言っていた様に叔父上様が手を打っているみたいですから。それにエリスさんに手を直接出したのと、クライス君に決闘を申し込んだのは間違いでしたね。」
「「どうゆう事ですか?」」
意味が判らないな。僕達に手を出したのが間違い?そりゃ、リリカ様の庇護はあるけどその庇護すら全く気にしてなかったぞ。
俺が疑問を顔に浮かべていると、ペイン様は笑いながら疑問に答えてくれた。
「二人は明日には正式に九尾の守護者として紹介されるんだ。騎士団の一員だから二人は騎士なんだよ。マルス王国での騎士は一代限りだけど男爵と同等の地位なんだよ。つまり、二人は明日から一応は貴族の当主になるんだ。対して、エラブルは貴族の次男と言うだけで正確には平民だよ。選民意識が強すぎるから認めたくないんだろうけど、冷静に考えたら貴族当主に対しての決闘申し込みはお互いの地位が平等でないと成立しない事ぐらい分かる事だけどね。」
なるほど、忘れてた。そう言えばバドさんが教えてくれたな。貴族の当主は実感湧かなかったから忘れてた。
俺は苦笑いを浮かべながら頷く。
「忘れてたでしょ・・・・。」
「はい。」
エリスから冷たい眼差しを受ける。
その姿にペイン様も笑いを堪えてくれているが全く堪えられていない。
「あ~~~、お腹痛い。だから、安心して良いんだよ。どっちにしても決闘は成立しないし、成立してもクライス君には勝てないでしょう。まぁ、エラブルの事だ、何かしらの妨害やら不正は普通にしてくるだろうけど君には無意味な事だと思うしね。」
「笑い過ぎです・・。安心できるなら安心したいですね。まぁ、負ける気はしないですが・・・・どれだけの非道を重ねてくるかが怖いですね。」
俺が心配事を呟くと、心配し過ぎだと言わんばかりの顔でペイン様から笑われる。
そんなこんなで話に夢中になってると、何時の間にか昼食の時間が終わりに近づいており慌てる俺達であった。
明日は月曜日なので更新をお休みさせていただきます。
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