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精霊と混ざりあった少年  作者: 田舎暮らし
第2章 魔法学院 騎士団設立編
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第20話 決定事項

「どうぞ、此方の部屋をお使い下さい。」


メイドの案内でパーティー会場近くの休憩室にエリスを背負ってくる。


「ありがとうございます。」


メイドに一礼してからエリスをベッドに寝かせる。


「ほら、少し寝てなよ。」

「ふふふふ、クライスは優しいね~~~。」

「はい、はい。今は大人しく寝て酔いを醒まそうな。」


エリスをベッドに寝かせて早く寝るように促す。


中々の酔っ払い具合だからな。普段のエリスからはかけ離れ過ぎている・・・。

しかし、酒に酔うと普段以上に甘えてくるのか・・・。

この状態のエリスは周りへの被害が甚大すぎる。唯でさえ可愛いのに更に可愛くなるなんてな。

そこら辺の男はイチコロだぞ。絶対に酒は飲ませてはいけないな。


俺は、心の中で密かに誓いを立てる。

そして、気付けばエリスは静かな寝息を立てていた。


俺は、静かにベッドから離れて部屋を出ていく。


部屋を出ると扉横にはメイドが待機していたので、エリスの事を託してパーティー会場に戻ることにする。


「すいません、戻るのが遅くなりました。」

「おっ、やっと帰ってきたか。待ちくたびれたぞ。」


俺を出迎えてくれたのは、まさかのガインさん。

もの凄い笑顔で近づいてくるので少し気持ち悪い。


「それ以上近寄らないでください!!」

「あ~~ん!?何でだ?師匠が弟子に近づくなとは説明を求める!!」

「そんなの一言で解決します!!何を考えてるかが解らないからです!!その嘘くさい笑顔が物語っています。」


俺の全力の拒否が面白かったのかリリカ様とエマさんは腹を抱えて笑い出す。


「あっははは、酷い言われようね。まぁ、その笑顔なら仕方ないわね。」

「わらわを笑い殺す気か!!おぬし等二人は何時もこんな喜劇まがいの事をしておるのか?」


「おい!!!」

「リリカ様・・・喜劇じゃ無くて全力の拒否です。だって、ガインさんの笑顔程不自然な物はありません。」

「お前もか!?」


俺からの追撃に再度驚きの表情を浮かべるガインさん。

これ以上揶揄うと不味いので止めて置こう。


「で、どうしたんですか?俺を待っていたようですが?」

「なーに、今日の模擬戦の事だ。半年ぶりの模擬戦だったが鈍って無くて安心した。寧ろ、上達していた。しかし、攻撃に移る際の動きが単調なのは未だに直って無いな。『雷身歩法』だったか?あの動きの改善は良かったが、あれに頼りっきりになるわけでは無いだろう。バドさんにも伝えておくから俺が相手できない日々の鍛錬で意識しろ。」

「わかりました。忠告、有難うございます。次の鍛錬は何時頃になりますか?」

「お前にも学院生活があるからな・・・。恐らく、学院が休みになる週末だな。だが、安心しろ。これからは同じリリカ様の直属騎士団所属だ。俺は団長の職は止めているから、公務以外の日程で何時でも相手が出来るぞ。」


ガインさんが笑顔で親指を立ててくる。


うわぁぁぁぁぁぁぁ、滅茶苦茶有難いけど週末の休みで身体壊さないかが心配になってきた。


俺の苦笑いに気付いたリリカ様が救いの手を差し伸べる。


「まぁ、流石に学院生活に支障が出ないようにの。学院には教員以外には騎士団の事は伝えておらん。お披露目が終われば貴族の子息や子女には知れ渡るからそこまでは我慢してくれ。」

「つまり、お披露目が終われば遠慮は要らないと?畏まりました。」


あ!?救いの手じゃない。唯の延命措置だった。遅かれ早かれ、週末の地獄はやってくるのか。


俺の顔は引きついたままで固まる。

俺の表情に気付いたリリカ様とガインさんは、それはもう最高の笑顔で俺を見つめてくる。


あ!?二人とも協同してるな。俺達がいない間に何かの話し合いがあって決まりごとがあったんだな。

仕方ないけど、リリカ様の決定だ。俺にはどうすることも出来ない。


俺は二人の笑顔を見て全てを悟り肩を深く落とすのであった。

本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。



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