第18話 話し合い 前
祝、10万字達成!!!!
これからも頑張って執筆していきます。
「おや、クライス君とエリスさんはどちらに?」
わらわが二人を見送っていると後ろから声をかけられた。
「おお、バドか。どうやら、エリスが間違えて酒を飲み酔ったみたいでな。今クライスが別室に連れて行っておるのじゃ。」
「左様でしたか。今日の主役でもあるお二方が見えなかったので心配しておりましたが・・・そうでしたか、お酒に酔ってしまわれましたか。」
バドが苦笑いを浮かべながら何度も頷く。
何やら、一人で納得している様だ。
「何じゃ?バドはエリスが酒に弱いのを知っておったのか?」
「ええ・・・つい最近の事なのですが、エリスさんが私の晩酌を間違えて飲んでしまった事がありまして。その時は一杯だけでしたが、その一杯で酩酊されてたので納得していたところです。」
「ほぉ~~、そんな事があったのか。しかし、クライスは知らなかったみたいじゃぞ。」
「エリスさんに口止めされてまして、よっぽどクライス君には知られたくなかったのでしょう。」
好いた男には酔った自分を知られたくなかったと言う所かの。
しかし、自分から暴露しては駄目じゃろ。
わらわが、笑いを我慢してるとまた声がかかる。
「何だ、クライスとエリスは居ないのか?」
「ガイン・・・・先に、リリカ様に挨拶しなさいよ。」
振り向くとガインとエマの二人が立っていた。
「おっと、そうだったな。今日は御招き頂き有難うございます。」
「素敵なパーティーへのご招待有難うございます、リリカ様。」
ガインが左胸に手を置き深々と頭を下げ、エマはドレスの裾を摘み見事なカーテシーを見せる。
「ガインよ、いきなりそんな畏まれても気持ちが悪いだけじゃぞ。エマも今日は身内だけじゃ、そんなに気を遣うでないぞ。」
「ははは、リリカ様は話が分かって助かります。な、言った通りだろエマ。今日は無礼講って言ってたんだ、堅苦しい挨拶は逆にリリカ様は嫌がるってな。」
「あのね・・・・それでも最低限のマナーってものがあるでしょうが。申し訳ありませんリリカ様、この野蛮人には後で言っておきます。」
「野蛮人って酷いな!?それで、二人は何処に?」
「言葉通りよ、自分の性格や行動を考えてみなさい。先程、エリスちゃんを抱えたクライス君がホールを出ていきましたが何かありましたか?」
二人が何時ものじゃれ合いをしながらクライス達の事を聞いてくる。
こ奴らも相当の仲じゃのに今だに発展せんの・・・お互いもういい年じゃろうに。あれか、実は結婚してますって落ちか?自分が言うのも何じゃが、わらわの周りにはこんな奴らしかおらんのか?
「はぁ~~、おぬし等のじゃれ合いも大概じゃの・・・。クライスならエリスが酔っぱらったので別室に連れて行ったのじゃ。」
「酒を飲んだんですか?それじゃ、仕方ないですね。折角クライスにアドバイスしてやろうと思ったがまたの機会だな。」
「あらあら、エリスちゃんったらお酒に弱かったのね。私も魔法の開発で話がしたかったんだけど。」
「ガインよ、今のクライスにアドバイスいるか?傍から見ても異常じゃぞあれ?」
「そうですね・・・・。王国騎士団でもクライスに勝てるのは団長クラスだけでしょう。あ、勿論身体強化の魔法での試合ですよ。攻撃魔法も使われたらほぼ無敵でしょう。」
「おーーーー、おぬしにそこ迄言わせるほどに成長したか。これからの成長がますます楽しみじゃの。」
「ええ、恐らくクライスの特異体質も相まって歴代最強になってもおかしくありません。しかし、その反面で身体と心の成長に乖離が見られます。その異常な実力と精霊達の所為で戦闘を楽しむと言うか訓練の延長戦としかと捉えられないと思います。あいつはまだ子供です。人の生き死にを経験していない。戦場では一瞬の油断が命取りですからね。早いかもしれませんが、学院の実践訓練迄には戦場の感覚を教えときたいところです。」
「ふむ、その考えにはわらわも賛成じゃな。今後のクライスの教育方針に組み込んでもらえるか?」
「お任せください。しっかりと、育てますよ。あれ程未来が明るい奴はいませんからね。」
「程ほどにな、急ぐでないぞ。まだ12歳じゃ。環境が恵まれておるが生死を体験するにはまだ早すぎる。」
「それをリリカ様が言いますか・・・。まぁ、クライスは元々冒険者志望ですから覚悟はできているかも知れませんね。」
ガインが苦笑いを浮かべながら何か言いたげに話を切り上げる。
ふむ、わらわの境遇と重ねたか?王族に生まれたわらわとクライスを重ねても仕方なかろうに。
まぁ、良かろう。クライスについては決まったの。次はエリスじゃ。今日こそはエマからオリジナル魔法について聞き出さんとな。
わらわが笑顔でエマに向き直ると身体を強張らせる。
「えーーーと、リリカ様が何を考えているかは手に取るようにわかります・・・・。一応、今現在は秘匿情報なのでお手柔らかにお願いします。」
おお!!わかっておるぞ。だから、後退るでない。悪い様にはせんからの。
わらわは口から笑いが漏れそうになるのを抑えてエマへの質問に移るのであった。
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