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精霊と混ざりあった少年  作者: 田舎暮らし
第2章 魔法学院 騎士団設立編
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第12話 模擬戦 Ⅱ

今回は少し長いです。

俺は振り切った右足を降ろし右半身を前に出す形の半身に構え直す。


「ふーーーーーーー。」


深く息を吐きだし、ガインさんの次の行動に身構える。


堅ーーーーー!!!全力に近い勢いで蹴り込んだのに吹き飛んだだけかよ。

多分、右足が当たった瞬間に魔力で防がれたな。どれだけ反応速度いいんだよ。


「痛いなーーー、クライス!!!思いっきり蹴りやがったな。」

「えーーーー!!!ガインさんこそ思いっきり切り込んできてますよね!!!」

「俺は良いんだよ。お前の師匠だからな!!!」

「いや、いや、いや!!!意味が解らない事言わないでくださいよ。」


ガインさんが常識を疑うことを言いながら態勢を整えて俺と向き合う。


「しかし、さっきのは何だ?半年前までは真っ直ぐしか動けなかっただろうが。」

「いや、半年もあれば弱点を克服しますよ。」

「ははは、そりゃそうだ。もっと楽しませろよ!!」


ガインさんが話し終えるとともに、その場で模擬剣を振り下ろす。

振り下ろされた模擬剣からは魔力で作られた不可視の刃が飛んでくる。


「インドラ!!セレネ!!」


俺が声を掛けると二人がそれぞれの障壁を発生させる。

光と雷が作り出す帳の様な障壁が不可視の刃を防ぐ。


「障壁も強固になってやがるな。弟子の成長は嬉しいぞ!!」


ガインさんが嬉しそうに不可視の刃を繰り出す速度を上げつつ近づいてくる。

俺は障壁を展開するのに必死になりながらも次の一手を考える。


■■■■


~side~ペイン


僕は目の前の光景を茫然と眺めるしかなかった。

今日はリリカに前から言われていた護衛騎士団の顔合わせの筈だった。

何故、僕が護衛騎士団の一員になっているのかはこの際置いておく。

どうせ、リリカに聞いてもこう言われる筈だ。


「おぬしの実力を考慮してじゃが?それに、わらわを守ってくれると昔から言ってたしの。」


きっと満面の笑顔で行ってくるに違いない。

小さい時の僕の誓いなんて覚えてなくてもいいのに・・・・。


そんな事より、紹介された人の中で異彩を放ってたのが同い年と思われる二人の少年少女だ。

二年前、リリカがウースの街から二人の少年少女を連れて帰ってきたのは当時の貴族界で衝撃が走った。


『リリカ様が何故平民の年端もいかない少年と少女を庇護下に置くのか?』


当時は、どの貴族もリリカに取り入ろうと色々画策して動き回っていた。

勿論、僕の父であるチャイルド公爵も秘密裏に情報を集めたり僕を利用してリリカから直接聞き出すよう指示を受けたりもした。

しかし、貴族たちのそんな行動を読んでいたのか一切の情報が秘匿とされていた。

唯一手に入った情報はウースの街で仲良くなった。将来性のある二人と言う事だけだった。

それから二年。どの貴族も探っていた情報の一部が僕の前で曝しだされる。

初めは、自己紹介の段階で僕の身分に恐縮していた少年だった。

しかし、リリカが元王国騎士団長であるガインさんに模擬戦の相手を頼んでから意味が判らなくなった。

ガインさんが手加減しないと言い出し獰猛な笑みをしていたのだ。

ガインさんが手加減しない?それだけでも驚きなのに、クライスと呼ばれた少年がリリカに意味の解らないことを告げる。


「リリカ様!!!インドラとセレネはどうするんですか?」

「使って構わんぞ。インドラとセレネも戦いたいじゃろうし。」


インドラ?セレネ?誰の名前だ?今日の中にはそんな名前はいなかった筈。

僕が首を傾げるのと同時にハヤトさんとマーガレットさんも首を傾げていた。

すると、リリカが説明してくれる。


「三人とも、これからガインとクライスが戦うが驚く出ないぞ?特にクライスにな。ガインの事はおぬしらも知っていると思うがクライスの事は知らんじゃろ。これから夢かと間違える光景が繰り広げられるから心して観戦するように。あと、まだ他言は無用じゃ。然るべき時が来れば公表される。」


益々、訳が解らなくなる。僕はガインさんの実力は知っている。そのガインさんと同等の力を僕と同い年の子が持っているというのか?

茫然と二人の模擬戦が始まるのを眺めているとクライスが上着を脱ぎだした。

上着の下から現れた同い年とは思えない肉体と異様な両腕。

僕はその肉体に釘付けになった。

一体どんな訓練をすればあれだけの肉体を作れるのか?それにあの両腕だ!!幾重にも重なり混ざり合ったような模様は何だ?それに所々に光っているのは?何かが埋め込まれているのか?

僕が両腕に注目してると異常な魔力の高鳴りを感じる。

魔力の高鳴りを感じると同時に、彼の両腕から可視化された二色の魔力が現れる。


ま、魔力の可視化!!!一体どれだけの魔力を有してるんだ?


彼が尋常ならざる魔力の持ち主だと勘違いをした刹那、更なる衝撃が僕を襲った。

彼を包み込んだ二色の魔力から声が響いたのだ。


「はっはっはっは!!!ようやく我を呼び出しかクライスよ、待ちくたびれたぞ。」

「もう~~煩いわね、インドラは。まぁ久しぶりの戦闘だし、気分が高ぶるのはわかるわ~~。」


な!!!!なんだ?


いきなり現れた二体の圧倒的存在が僕の眼に焼き付けられる。


「リ、リリカ!!か、彼は一体何者なんだ?」

「ふふふ。驚いたじゃろ?クライスはこの世で唯一、上級精霊と融合した存在じゃよ。」

「上級精霊との融合!!!そんな事が可能な筈が無い!!!」

「普通はの・・・。クライスの場合は完全に事故による産物じゃ。それ故に貴族達に秘匿した存在じゃった。」

「当たり前だ!!!そんな存在、全ての貴族や研究者が欲しがるぞ!!」


僕は何時の間にか言葉を荒らげていた。


「それ故に、一部の者にしか知らせておらぬのじゃよ。このタイミングでおぬし達に披露したのはクライスの実力が想像以上に成長したからじゃ。」

「彼の実力だって?それはガイン様に匹敵するのか?」

「そうじゃのーー。ガインやエマ、それにバドやルーシアに聞いてみたんじゃが・・・・。」

「何だ?黙るなよ!!」

「周りの被害を考えずに力の赴くままに振るえばガインとエマの二人でも勝てぬかもと言っておった。」

「は?何だそれ・・・圧倒的じゃ無いか。」

「勿論、クライスにそんな事をする気は無いから安心するが良い。」

「当然だ!!そんな力・・・・第一級の監視対象だ!!王国の事を考えれば今すぐにでも拘束すべきだ。」

「そんな事はせんよ。それはクライスとの約束を破ることになるからの。それよりも、始まるようじゃ。今は大人しく観戦せぬか。」


リリカの言葉で二人の模擬戦に目を戻すとそこには・・・。

あり得ない速度での模擬剣の一撃と魔法の応酬が繰り広げられていた。

お疲れさまでした!!!!

今回は模擬戦の内容と、どうしても間にペインsideの話を入れたくなり長くなりました。

話を分けて書こうとも思いましたが流れ的に『ここだ!!』と思いぶち込みました。

明後日の更新には模擬戦に戻りますので楽しみにしていてください。

折角の盛り上がりの途中ですが、休みは欲しいので申し訳ありません。


本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。



『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。



感想もお待ちしています。(メンタルは弱いので誹謗中傷は控えていただけるとありがたいです。)



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