第11話 模擬戦 Ⅰ
「今日の相手はガインかぁー。なら、本気で戦えるな!!」
「だ~か~ら~、煩いのよ。少しは落ち着きなさい。」
「何を言うセレネ?久方ぶりの顕現だぞ!!この時間を楽しまんか!!!!」
「は~~~・・・・。それなら~、私はエリスちゃんとのお茶会に呼ばれたいわ~~。」
ははは、二人とも周りの状況を見てくれませんかね。俺一人戦闘態勢で恥ずかしいんですが。
「は~~~~~。」
「む?何を溜息などついている。これからガインと戦うのだろう?集中せんか!!」
「たぶんだけど~~~、インドラが煩いからだと思うわよ~~。ね~~、クライス?」
「何だと?そんな事は無いよなクライス?逆にセレネの緊張感の無さに嘆いておるのだろう?」
「何よ~~~。」
「何だ!!!」
「二人とも!!!いい加減に真面目にしてくれ!!」
「「・・・・・・」」
俺が我慢の限界が来て二人に喝を入れると二人は黙ってくれた。
はーーー、恥かしい。しかし、これで戦える。
「はははは、何時見てもお前らは面白いな。遠慮は要らんぞ、全力で来い。」
ガインさんが声高らかに笑い、左手で誘う。
既に右手には模擬剣が握られており肩越しに模擬剣を担いでいる。
俺は改めてガインさんに向き合い、自身のスイッチを切り替える。
カチリ!!!
脳内で何かが切り替わる音と共に纏う雰囲気を激変させる。
凡そ、12歳が出していい雰囲気ではない。
今までの呑気な雰囲気から鋭く尖った気配に変わる。
そして、顕現している精霊達もクライスに静かに寄り添う。
ガインもクライスに合わせて雰囲気を変える。
殺気こそ無いが、全てを飲み込む暴風の様に荒れ狂う嵐を連想させる。
「「・・・・・・・」」
お互いが睨み合った時間が続く。
一触即発。そんな言葉がピッタリな時間が流れる。
しかし、そんな時間は長くは続かない。
お互いが示し合わせたかのように地を駆ける。
「ふっ!!!」
ガインが掲げた剣を振り下ろす。
「セレネ!!!」
一言呟く。その一言でセレネはクライスの左腕に白銀の盾を作り出す。
セレネが作り出した白銀の盾でガインの剣戟を防ぐ。
ガキン!!!
金属同士がぶつかり合う鈍い音が響き渡る。
「インドラ!!!」
ガインの初撃を防いだクライスは右手にインドラが作り出す雷を纏いガインの脇腹に殴り掛かる。
「おらーーーーー!!!!」
「うお!!!危ないな。」
クライスと精霊達との魔力伝達は瞬時である。
お互いが混ざり合った存在であり、本来は言葉に出さずとも意思疎通が可能な関係。
その為、本来なら時間が掛かる魔法変換もインドラとセレネにより実質ノータイムで出来る。
その恐るべき速さの魔法行使を難なく躱すガイン。
クライスの攻撃を後ろに下がり避けたガインは余裕たっぷりに模擬剣を構え直す。
「ははは、先ずは挨拶代わりの一撃を防いだのを褒めてやる。だが、次はどうだ?」
再び、ガインが地を蹴りクライスに駆け寄る。
しかし、先程とは段違いの速度にクライスの反応が遅れる。
「くそ!!!」
右上段からの袈裟切りを後ろに倒れ込む様に間一髪躱し距離を取ろうとする。しかし!!
「甘い!!!!」
すかさず、ガインが距離を詰め右足でクライスを蹴り上げる。
ドガッ!!!
重たい音と共にクライスの腹に右足が突き刺さる。
「ぐはっ!!!」
肺の空気を全て吐き出しながら後方に吹き飛ばされるクライス。
地面を跳ねながら、地面に倒れ伏す。
「どうした?この程度じゃ無いだろ。半年で鈍ったか?」
ガインの言葉に反応して再び起き上がるクライス。
「がはっ!!強烈な洗礼、ありがとうございます。」
「どういたしまして。それで、まだ終わりじゃ無いだろ?」
「当たり前です。次は俺の番ですよ。」
俺は両足に黄金色の魔力を纏う。
黄金の魔力が次第にバチッ、バチバチ、と音を立て雷に変わり爆ぜる。
雷を纏った足で地面を蹴りガインさんとの距離を詰める。
その速度は先程のガインを軽く凌駕していた。
馬鹿正直に正面には行かない。この歩法には欠点があるからな!!
「馬鹿正直に正面か?舐めるなよ!!!」
よし!!掛かった。
ガインは正面に雷が現れると同時に模擬剣を振り下ろす。
しかし、模擬剣は現れた雷と空間を切るだけで肝心のクライスは切れていない。
「あん?がっ!!!」
突如ガインは右脇腹からの衝撃と共に弾かれる。
そこには、雷を纏った右足を振り切ったままの姿のクライスが立っていた。
さぁ、始まりました。この作品で初めての戦闘回。
書いてて、自分の文章力で戦闘シーンが伝わるか不安ですが精一杯書いていきます。
楽しんで読んでください。
本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。
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