第8話 騎士団
リリカ様の後に続いて応接室を出て練兵場広場に付いていく。
すると広場には七人の男女が既に集まっていた。
その中には、バドさんとルーシアさんの姿もあった。
「皆、待たせたの。少し問題が起こっておりその報告を受けていた。」
「大丈夫です、リリカ様。」
バドさんが代表して答える。
そういえば今日は何で呼ばれたんだ?見た事ない人もいるな。
俺は今日集まった人を見て行く。
広場にいる七人の男女の内、顔を知っているのはバドさんとルーシアさんを含めて四人だけだ。
バドさんとルーシアさん以外の二人はクライスの剣術と魔法の師匠であった。勿論エリスとも顔見知りある。
剣術の師であるガイン、魔法の師であるエマの二人。
ガインは筋骨隆々の美丈夫である。凡そ美丈夫には程遠い肉体なのに何故か違和感が無く、整った顔立ちと肉体の相反する容姿がそこに磨きをかけている。剣術は言わずもながら、元王国騎士団団長であり厳しくクライスを鍛えている。
エマは整った顔立ちと出るところは出て引っ込むところは引っ込むと、女性なら羨ましがる身体をしていた。しかし、低身長であることが年相応に見えず発育の良い子供としか見られていない。
本人は大人の女性なのに低身長を揶揄われるのが一番悔しいと常日頃嘆いている。
魔法は現役の王国魔法師団第二団長を務めていてリリカの家庭教師でもあった。
だが、リリカが天才であり師事を始めて直ぐにエマと同等の実力に達したことからクライスの師を務める事になった。
それ以外の三名は見た事が無かった。
全身黒ずくめの口元を隠した線の細い男性、体格がふくよかな女性、クライス達と同年代と思われる前髪で目元を隠した男の子。一人を除いては普通の人選であった。
「リリカ様、今日は何の集まり何ですか?」
俺が疑問を素直にぶつける。
「今日はクライスとエリスの顔見せじゃ。」
「「顔見せ?」」
「そうじゃ、これからクライスとエリスの同僚になる者達じゃからな。」
同僚?話が全く見えないぞ。そもそも学院生なのに同僚ってどういう事だ?
俺が混乱した顔で思案してるとリリカ様が笑いながら答えてくれた。
「ははは、説明が足りなかったな。ここにいる者達は今日付けでわらわ専属になったんじゃ。元々専属の者もおるが兼任をしておった者もおるんじゃよ。」
「はぁ、それと僕達の関係は一体?」
「何じゃ、察しが悪いの?さっきも言った通り同僚じゃよ。わらわ専属の護衛騎士団じゃよ。」
え!!護衛騎士団?
「ええええええええ!!!」
「ええい、いきなり叫ぶ出ない。ビックリしたわ。」
ビックリするでしょ。エリスなんて放心してるんですよ。
「ふむ、突然の事で驚いておるようじゃの。しかし、この話は前から進められておったのじゃよ。この度学院に入学を機に父上が配置換えをしたんじゃよ。」
「そこに僕達も入っていると?」
「当たり前じゃ。おぬし達の実力と特異性を考えれば当たり前じゃろ。二人の実力は二年前とは比べ物にならんほど上達しておるしの。」
「ありがとうございます。」
「はっ!!!すいません、放心してました。私達は学院生でありながら騎士団って事になるんですか?その場合、リリカ様の公務にも付き従うという事でしょうか?」
「そうじゃ、取り急ぎは再来週のわらわの誕生日パーティーが周囲への初お披露目になるぞ。今日はその前に顔合わせをしたくて集めたんじゃよ。」
リリカ様は極上の笑顔で俺達に集まりの真相を教えてくれるのであった。
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