第6話 その後の教室
クライスとエリスが教室を出て行った後静まり返る教室。
騒動の中心となった男と取り巻きと思われる数人の男達以外は解散していく。
金髪オールバックの体格の良い男は身体を震わせながらも怒気を孕んだ笑みを絶やさない。
「あの男失礼極まりないですね。エラブル様が声を掛けているのに邪魔をするなど。」
「ははは、今回だけだよ見逃すのは、リリカ様の用事と言っていたからね。」
「確かに・・・何やらリリカ様とも顔見知りと言ってましたからね。」
「そうだ、入学したばかりでリリカ様を敵に回すのは得策では無いよ。」
「では、どうされますか?」
「そうだね・・・先ずは三人の関係を調べるとしよう。」
「畏まりました。直ぐに調べさせます。」
「ああ、頼んだよ。あの娘はこの僕にこそ相応しい。あの様な男の傍にいてはならない。」
「その通りです。エラブル様の隣でこそ輝きましょう。」
取り巻きからの称賛に気を良くしたエラブルは気持ちが落ち着いたのか大人しく帰り支度を始める。
しかし、その顔はエリスを手に入れた後の事を想像しているのか下品な笑みを浮かべていた。
■■■■
エリスの手をいつの間にか握りしめて学院を出ていたクライス。
その顔と雰囲気は何時ものクライスでは無く怒りに満ちた状態だった。
「クライス・・・ちょっと痛いかな?もう学院からは出たから大丈夫だよ。」
「え?ごめん、興奮してた。」
「ふふふ、大丈夫よ。私の為って分かっているから・・・でも、誰だったんだろうね?」
「恐らくだけど、リリカ様の言ってた選民意識の強い貴族じゃないか?自分とデートに行くのが当たり前みたいな感じだったし。」
「やっぱりそうよね・・・・学院のルールがあっても意味が無いってことがよく判ったわ。」
「しかし、リリカ様が居なくなった途端か・・・、確信犯だな。」
「そうね、リリカ様には後で報告しないと駄目ね。」
エリスと二人で学院から練兵場の道のりを会話しながら歩いく。
二人と言う状況がクライスの怒りを静めていく。
しかし、学部を別れて大丈夫か?あいつ、確実にエリスを狙ってたぞ。
貴族でもどれ程の権力だ?それによって後々面倒臭いことにならないといいが・・・・。
冷静に考えて困り果てた顔をする俺にエリスが気付く。
「何考えてるの、もしかしてさっきの事?」
「そうだよ、落ち着いて考えたら貴族だった場合面倒臭いことにならないかなと。」
「そこは、リリカ様には悪いけど如何にかしてもらいましょ。私達では如何することも出来ないでしょうね。」
「そうだな。大人しくしとくしかないか・・・でも、向こうは待ってくれないだろう。」
「「はぁーーーーー」」
お互いが今後の事を考えて深い溜息をつく。
そのタイミングが同じだった事もあり自然と笑みが零れる。
「「はははははは」」
「何を二人して笑っておるんじゃ?」
そんな二人に声が掛かる。それは学院で別れたリリカであった。
「「リリカ様!!!」」
え、リリカ様がいる?という事は練兵場に着いたのか。
話に夢中になって気付かなかった。
二人は何時の間にか練兵場の前まで歩いてきていた。
恐らくリリカが声を掛けなければ通り過ぎていただろう。
「意外と早かったのう?もう少し時間が掛かると思うたのじゃが。」
「色々ありまして・・・・。」
「ほう・・・・・、早速か。堪え性の無いのがクラスにおったか?」
「はい・・・・。その事も含めてお話があります。」
「分かった。ここではなんだから中で話を聞くとしようかの。」
直ぐに学院で何かがあったと把握してくれたリリカ。
練兵場の入り口では無く中で詳しく話をする為三人は連なって中に入るのであった。
明日は月曜日なのでお休みさせていただきます。
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