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精霊と混ざりあった少年  作者: 田舎暮らし
第2章 魔法学院 騎士団設立編
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第5話 学部説明と小さな騒動

入学式が終わり、俺はさっきの教室に帰ってきた。


「さて、次は学部選択じゃな。」

「そういえば、さっきは先生が来て説明の途中でしたもんね。」

「そうじゃったの。学部の説明じゃが、戦術と魔導の二つじゃよ。」

「「戦術と魔導?」」

「そうじゃ、戦術は言葉通り実戦を想定した授業がメインじゃ。変わって魔導は研究がメインになる。」


成程、つまりリリカ様とエリスは魔導で俺は戦術を選べと言う事かな。


「ちなみに、リリカ様は魔導ですか?」

「そうじゃよ。わらわが戦術を選ぶとでも?」

「いえ、確認しただけです。」

「別に怒っておらんぞ。研究者のわらわが戦術など選ぶはずが無いじゃろ。クライスには戦術を選んでもらうがな。」

「力をつけるためですよね?」

「その通りじゃ。この二年である程度は仕込んだがまだまだじゃ。学院で基礎を復習しつつ放課後も鍛えるぞ。」

「わかりました。しかし、学部が別れるのは寂しいですね。」

「はははは、そこは我慢じゃよ。何もずっと別れるのでは無い、初めだけじゃよ。学部が別れても共通の授業はあるから安心せい。」

「それを聞いて安心しました。」

「まぁ、おぬしの不安はエリスと離れる事じゃろ?」

「「な!!!!」」

「図星じゃろ?もう二人とも婚約してしまえば良いのに・・・・。」

「「まだ早いです!!!」」

「息ぴったし、じゃの。」


エリスとの婚約はまだ早い・・・・、もっと強くならないと。今のままだと駄目だ。

くそ!!!恥ずかしい。リリカ様も突然何言いだすんだよ。


顔を真っ赤にしてエリスの方を見るとエリスも顔を赤くして下を見ていた。

いきなりの言葉にそうなるのも無理は無いと心に言い聞かせてリリカとの話を続ける。


「それでは今日は学部を選んで終わりですか?」

「学部選択は今日中では無いぞ。今日は説明で後は一週間ほど考える時間をくれるはずじゃ。」

「え?それじゃリリカ様が説明しなくても良かったのでは・・・。」

「なんじゃ・・・?おぬしが聞いてきたのにわらわの所為にするのか、わらわ悲しいのー。」

「いや、そう言う訳では・・・。」

「クライス・・・・。最低!!!」

「えええええ!!!エリスも敵に回るのか?」

「はははは、冗談じゃよ。そろそろ、教員が来ると思うから席に座って待たんか?」

「はーーーー・・・、分かりました。」


三人で他愛無いやり取りをして席に着くとタイミング良く教員がドアを開けて教室に入ってくる。


「よーし、皆席についてるな。俺はこのAクラスの担任のジークだ。これから三年間宜しくな。」


「あの人、受付にいた人だよね。」

「軽い人だな。」

「三年間ずっとなの?」


先生が自己紹介すると周りの皆がヒソヒソと話し出す。


気さくな先生だな。まぁ三年間付き合うなら先生みたいな人がいいのか?良く判らん、後でリリカ様に聞いとくか。


俺が周りの声を聞きながら自己分析をしてると先生が当然とばかりに話し出す。


「はいはい、みんなの反応は概ね予想通りだな。どうせ、軽いだ・気さくだ・頼りなさそうだって所だろ?まぁ、おれの事は後々理解してくれたらいいわ。取り敢えずは学部の説明をさせてくれ。」


先生はいつも通りの反応だと言わんばかりに話を進める。

学部の説明も、先程リリカ様に聞いていた通りで特に変わった話は無かった。


「簡単にだが説明は以上だ。後は、渡した資料に詳しく書いてあるから読んでくれ。選択期限は一週間だから遅れるなよ。今日はこれで終了だから気を付けて帰れよ。」


説明が終わると先生はさっさと教室を出て行ってしまった。


あれで良いのか?今日だけか?もっと色々あるんじゃ・・・・。


俺が先生の行動にあっけに取られているとリリカ様が話しかけてきた。


「クライス、エリスよ、わらわは先に行くぞ。この後学院長に呼ばれておるから顔を出しに行ってくる。先に練兵場に行っておいてくれ。」

「「わかりました。」」


リリカが教室から出て行ったのでエリスと帰り支度を始めると・・・。


「「「「君達!!!二人ともリリカ様の知り合いなのかい」」」」


多数の生徒から声を掛けられた。


「「えーーーーと、はい」」


ビックリした!!!いきなり何だ?もしかしてリリカ様がいなくなる迄待ってたのか?


「何時からの知り合いなんだ?」

「君達、パーティーで見たこと無いけど何処の子なんだい?」

「君、可愛いね。この後お茶とかどうかな?」

「ねえ、この後遊びに行かない?そこでお互いの事詳しく話し合わない?」


おい!!そこ何エリスを誘ってんだ!!毛をもぐぞ!!!!てか、この女の子積極的すぎるだろ。


「えーーと、詳しくは言えませんがリリカ様とは知り合いです。後、お茶はご遠慮させていただきます、この後予定がありますので。クライス行きましょう。」

「ああ。そう言うこと何で失礼します。」


エリスの言葉に従い立ち去ろうとすると。


「用事ね・・・どうせ大した用事じゃないんでしょ?」


一人の金髪をオールバックにセットした体格の良い男がエリスに声を掛ける。


「いえ、とても大事な用事なので・・・申し訳ありません。」

「その男との用事かな?そんな男の事はほっとけよ。美味しいお菓子のお店知ってるからさ、そこでゆっくり話そうよ?」


この状況で誘うか?断られてんのが解らないのか?

多少は鍛えているようだけど・・・そんなのじゃエリスは靡かないぞ。


エリスの断りも気にせず尚も誘う男。

そして、エリスの肩に手を伸ばしたが


「その手を引っ込めろよ!!初対面で馴れ馴れしいだろ?」


俺が男の手を掴んで凄む。

まさか、反抗されると思って無かったのか手を掴まれた男は驚いた表情をする。


「いきなりだなーー、放してくれないか?」

「いいぞ、でも俺とエリスはこの後用があるんだ。自己紹介なら今度にしてくれないか?」

「僕との時間を無下にしてまで大事な用事なのかい?」

「当たり前だ!リリカ様からの呼び出しだ、時間に遅れるわけにはいかないだろ?それとも、リリカ様にあんたが事情を説明してくれるのか?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


まるで一触即発。俺とこの男の間で視線が交差し周りは静寂が訪れる。


「ふう・・・・。リリカ様の用事なら仕方ないな、行きたまえ。」

「ふん!!!!」


俺は掴んだ手を放しエリスの肩を押しながら背を向けて歩き出す。


「今日は引き下がるが、次こそはデートをしてもらうよ。勿論お邪魔虫は除いてだ。」

「残念だが、エリスの予定は一杯だ。あんたとデートをする時間など無い。」


俺は顔だけ後ろを向けて怒気を含ませて言い放つ。

そして、エリスと二人で教室を出る。

その時後ろからの殺意をはらんだ視線を気にせず学院を出るのであった。


と言う訳で・・・きちんとした自己紹介は無いですが、第二章初めての貴族の子息が登場しました。


第二章の第一話の前書きにも書きましたが、作者のご都合主義満載の貴族が沢山出てくる予定です。


取り敢えずの一人目ですが一応名前などは後々出てきます。

※咬ませ犬感が否めませんが(笑)


これからの展開等を期待してお待ちください。



本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。



『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。



感想もお待ちしています。(メンタルは弱いので誹謗中傷は控えていただけるとありがたいです。)



皆さんの励ましが原動力になります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 王家公認の婚約じゃないなら平民がちょっかいかけられても文句言えないよな
2021/03/24 19:29 退会済み
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