最終回
いきなり最終回!!
「YOU!! 兄貴と付き合っちゃいなよ!!」
「い、いやいきなり付き合えとか言われても……」
私がモロミちゃんに事態の収拾を目論んで振ってみると、半笑いで困った顔だけど……そう簡単には諦めないわよ!?
「ほらほら、よーく見てみなよ? 顔もそんな悪くないし、背も別に低くないし、仕事も不真面目じゃないし、ついでに彼女居ない歴イコール生誕以来だし、オマケに少しなら貯蓄あるかもよ? たぶん。」
「う~ん、そう言われれば、そうかもしれないけどさ……」
私はモロミちゃんと一緒に、スーパーホモ野郎さんと揉みくちゃになりつつ必死に抵抗してる兄貴を眺めながら、思い付けるだけの長所を挙げてみたけど……いまいち推しが足んないかな?
「……あ、きっとモロミちゃんみたいに凛々しくて、すっごくカッコイイお姉さんタイプが大好きかもしれないから!!」
「えっ!? そ、そうかな? そうなのかな!? う、うふふ……お姉さんタイプ……うんうん、悪くないかも!?」
ん~? 少しピントのずれた喜び方してる気がするけど……まー、ようじょチックなのが、どストライクだって言ったら確実にノーセンキューだろうからねぇ。嘘も方便って感じ?
「ほらほら! 今すぐ付き合っておかないと、愛しのフィアンセがホモの洗礼をびっしゃり浴びて、姉貴って呼ぶ存在になっちゃうかもよ!!」
「わー!! み、未来の優良物件タンマっ!! ナウで掘るなカマすなほじくるなぁ~ッ!!」
絶体絶命のピンチを迎えてる兄貴を助けるべく、モロミちゃんが肉団子みたいになってる二人にデデデッと駆け寄ると、
「こぉらぁ~ッ!! 下僕のクセにご主人様の前で盛るなぁ~ッ!!」
ひゅっ、って爪先を勢い良く振り上げて、あー、ジャストミートした……。
「はあああああああああぁ……あぁん♪」
うっわ! キッモイ声上げて兄貴から離れたホモ野郎さん。でも痛くないのかな? 後ろから蹴り上げられて軽く浮いてたけどなぁ~?
「……ひ、久々のご指導ご鞭撻、誠に光栄でござりますぅ……」
お股を押さえながら横たわったまんま、ヒクヒクしながらお礼言ってるわ……ドMさんでもあったのね……いやぁ、間口広いなぁ、このヒト。
「あ、あの……二次元三次元含めて、男のヒトと付き合うのは初めてだけど……いいですか?」
「ハイッ!! こちらこそ宜しくお願いします!!」
何故かガッシリと握手し合いながら、モロミちゃんの告白を受け入れた兄貴。う~ん、ホモの魔手から逃れる為とはいえ、実に清々しい程の答えっぷりだなぁ。チクショウ、なんか悔しいかも……ま、いっか?
……それから数週間後。
「いってきまぁ~す!」
「はーい、いってらっしゃあ~い!!」
周囲の視線も何のその、兄貴とモロミちゃんは今日もバカップル全開で暮らしてます。
「……で、ホモさんは何してるの?」
「あー、僕ですか? 今日は【自由恋愛を推し進める為にジェンダーフリーな社会を実現させる運動】の講演会に出掛けたわよ?」
う~ん、彼も彼なりにエンジョイしてるみたいね……何か物凄く精力的に活動してるよーだし、幸せなのかな?
「……さて、私も学校行ってきまーす!」
「はーい、行ってらっしゃあ~い!」
モロミちゃんに見送られながら、私は学校に向かった。あれから同居人が二人増えたけど、お父さんとお母さんは気にしてないみたい。懐の深い家族で良かったわ、ホント。
……ちなみに兄貴のパソコンは、いまだにローションまみれなんだけど、そろそろ掃除しないと絶対にマズイと思うんだけど……二人が消えちゃうかもしれないから、そのまんまにしておけって兄貴は言ってた。有る意味、懐の深いヒトなのかもしれない。
……ただ、時々勝手に電源が点いて、中から黒いマント羽織ったヒトがジタバタしながらコッチに来ようてしてるから、またパソコンに自家製ローションぶち撒いてリターンボタン押すと、ローションまみれになってスッ転んだりしてるから、たぶんオッケーなんだと思うんだけど。
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そしてコラボしてくださったしいたけ様、感謝致します!!
ではまた!!




