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迷宮へ行こう ~探索のお供はケモミミ幼女~  作者: 青雲あゆむ
第4章 上級冒険者編

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54.オーガとの苦闘

 11層で1角餓鬼オーガと戦ったら、その予想外の硬さに驚かされた。

 このまま探索しても危ういと思ったので、とりあえず地上へ帰還することにする。

 そして家へ戻るとすぐに、リビングで対策会議を開いた。


「硬い硬いとは聞いてたけど、あれほどとはなぁ」

「まったくだ。石の槍を弾かれた時は、驚いたぜ」

「まとうじゅつも、ききにくかったでしゅ」


 まずは愚痴の言い合いから始まった。

 事前に情報を集めてはいたものの、聞くと見るとでは大違いってやつだ。

 すると話は情報収集の方へそれていく。


「そもそも上級まで行けるパーティーが少なくて、情報自体が少ないですからねえ」

「だよなぁ。上級冒険者って、どれぐらいいるんだっけ?」

「どうでしょう。おそらく全体の5パーセントぐらいではないですか」

「まあ、そんなもんだろうな。俺の知る限り、この街の上級パーティーなんて10もないからな。それもほとんどが、10層か11層で稼いでるらしいぜ」


 そのルーアンの情報に、俺は興味を覚えた。


「へ~、11層で稼いでる人たちもいるんだ?」

「そりゃあ、魔闘術ができれば、とりあえず倒せるからな。ただし効率は悪いから、もっぱら資源で稼いでるって話だ。薬草や鉱物は、けっこう出やすいらしい」

「たしかにオーガの魔石と角は、それほど高くないからなあ」


 オーガは魔石が銀貨30枚、角が10枚で合計で銀貨40枚の収入になる。

 その強さからすれば、例えば1匹で35枚稼げる短剣猪ナイフボアの方が、よほど効率が良いだろう。

 それでも11層へ行くのは、上級冒険者ゆえの意地か、それともそれなりの利益が出せるのか。


「いずれにしろ、まずは俺たちも魔闘術を鍛えつつ、着実にオーガを倒していこうか」

「そうですね。しかしタケアキも槍を使うのですか?」

「う~ん、そこが悩ましいんだよね」


 俺も一応、聖銀鋼の槍を持っているものの、白兵戦は本業ではない。

 本来は魔法で倒したいところだが、石の槍は弾かれてしまった。

 何かいい方法はないものかと思案していると、ガルバッドから提案があった。


「石の槍に魔力を持たせるとか、できんのか?」

「え? う~ん、どうなんだろ。アルトゥリアスは知らない?」

「……ふむ、魔法に魔力をですか?」


 俺の問いに、アルトゥリアスが考え込む。

 やがて彼は顔を上げると、方策を示してくれた。


「そもそも魔法による改変には魔力が伴っています。その濃度を上げる方向で、地精霊ガイアと相談してみてはどうですか?」

「う~ん、上手く話が通じるかな。まあ、やってみるよ」


 アルトゥリアスの助言を受けて、まずはガイアを呼び出した。

 そして紙に絵を描きながら、槍の先端に魔力を集中できないかと相談してみる。

 相変わらず細かいニュアンスは伝わりにくいのだが、身ぶり手ぶりを交えながら説明すると、なんとか伝わった。

 魔力の説明には、現実に手のひらに魔力を集め、頭を撫でてやったら通じたようだ。

 とりあえずできそうだったので、みんなで鍛錬をするため、場所を移すことにした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


石槍屹立ハルバ・アガマト


 前衛陣が魔闘術を練習している横で、さっそく魔力付きの石槍を作ってみる。

 しかし出したはいいが、本当に魔力を伴っているのかどうかが分からない。


「う~ん、今までとの違いが分からないなぁ。どう思う?」

「私にも分かりませんね。しかしガイアができていると言うなら、できているのではありませんか?」


 アルトゥリアスも自信なさげだったが、ガイアは自信満々な雰囲気だ。

 するとニケが寄ってきて、相談を持ちかけた。


「タケしゃま。まりょくみえるように、ならないでしゅか? あたしもまとうじゅつ、できてるか、しりたいでしゅ」

「んん~……そんなこと言われてもなぁ。アルトゥリアスはそんな方法、知らない?」

「さすがに無理ですね。それこそ魔眼のようなものでも無ければ」


 するとそれを聞いていたガルバッドが反応した。


「魔眼か?」

「何か心当たりでもあるの? ガルバッド」

「うむ、そういえば昔、魔力を可視化する道具を、研究しちょる者がおったと思い出してのう」

「へ~、それは成功してないの?」

「あいにくと成功したとは聞いておらんな。じゃがしかし、そいつが使っておった素材を使えば、何かできるかもしれん。ちょっと研究してみるわい」

「ぜひ頼むよ」


 あまり期待するのもなんだが、成功すればいいなぐらいには、その時は思っていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その後しばらくは、鍛錬の時間を多めにしつつ、迷宮の10層へ潜っていた。

 比較的弱いオークを狩ることで、戦闘経験を積むためだ。

 そんなことを1週間ほど続けていたら、ガルバッドから朗報がもたらされる。


「できたぞ、タケアキ」

「え? できたって……ひょっとして、魔力を可視化する道具?」

「ああ、そうじゃ。まだ改良は必要じゃが、とりあえずの目処はついた」


 そう言って彼が出してきたのは、直径5センチほどの半球状のモノだった。

 黒っぽい色が着いているものの、中央がうっすらと透けている。


「凄いじゃないか。でもこれって、この前取りにいったあれ?」

「うむ、アサシンマンティスの目玉じゃ」


 どこか見覚えがあると思ったら、先日ガルバッドの要請で、迷宮へ取りにいったものだった。


「ああ、やっぱり。それでこれは、どうすれば使えるの?」

「こうして目に当てながら、魔力を通すんじゃ。すると魔力の強い部分が、光って見えるんじゃな」

「へ~、どれどれ」


 さっそく右目の前にかざしながら、魔力を通してみると、暗かった視界がわずかに明るくなる。


「え~と、これだけじゃ分からないな。ニケ、武器に魔力をまとってみてくれるか?」

「あい」


 ニケはすぐさま武器を取り出すと、フンスと気合を入れる。

 それを魔道具越しに見ると、彼女の剣がうっすらと光りはじめた。

 なるほど、あれが魔力なら、たしかに可視化できている。


「おおっ、なんかそれらしいのが見える。凄いよ、ガルバッド」

「フハハッ、そうじゃろう、そうじゃろう。これで魔闘術の訓練も、進むというもんじゃ」


 見事にやりとげたガルバッドが、胸を張ってカカと笑う。

 するとニケが寄ってきて、せがんだ。


「ニケも、ニケもみたいでしゅ」

「ああ、見てみろ」

「ありがとでしゅ」


 彼女は嬉しそうに道具を受け取ると、それを目に当てる。


「ん? なんかわかんないでしゅ。だれか、まりょくみせて、ほしいでしゅ」

「おう、いいぜ。俺の剣を見てみな」

「あ、私もやる~」


 すかさずルーアンとメシャが武器を掲げ、それに魔力をまとわせる。

 するとニケから嬉しそうな声が上がった。


「あ、ほんとでしゅ。なんかぶきが、ひかってるでしゅ。あれがまりょく、なんでしゅね」

「ああ、そうみたいだな」


 その後は道具をみんなで回しながら、魔力の可視化を確認していった。

 ついでに俺の石槍も、魔力をまとっているのかを確認してみる。


石槍屹立ハルバ・アガマト

「……ふむ、ちゃんと魔力が付随してますね。ただし皆の魔闘術に比べると、まだまだ弱い感じです」

「そっか。それなら今後、改良すればいいね」


 アルトゥリアスの確認によれば、とりあえず魔力をまとわせることはできているらしい。

 ならばそれを改良し、実用レベルに持っていけばよい。

 待っていろよ、オーガ。

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