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第11話 (レン)
海岸を眺めるミライは沈んだ表情を浮かべていて、心が陰っているのが一目でわかる。僕は、役人に大体の状況は把握したから今日のところはもう帰る、すぐに解決するから問題ないと伝えて、彼らと別れた。
できればミライには、怖いことや危ないこととは縁遠い、穏やかなところにいてほしかった。悲しいことなんてなにも知らずに、毒ヘビが綺麗だって笑えるような子のままでいてほしい。
でも、僕がそれを望むのは、あんまりにも見当違いだろう。そもそも僕が彼女を作らなければ、彼女は苦しまなくて済んだんだから。