アンチキラー
アンチキラー、それはひどい殺し屋。
アンチキラー、それは無慈悲な生き物。
「俺の知り合いも殺された、お前も気をつけろよ」
「なんで殺されたんだい」
「確か、ある作品にひどい感想を送りつけたとか言ってたな」
「あぁそうか、それはきっとアンチキラーのせいだな」
「アンチキラー? なんだそれは。新手の殺し屋か?」
「どうやらそうらしい。世界中の作品を守るとかなんとか言ってる奴だよ」
「下らないなぁ、アンチのおかげで盛り上がってる節もあるだろうに」
「おっと、君もアンチ賛成派なのかい?」
「そうなるのかな。だって彼らのお陰で炎上してPVが増えることだってあるだろう?」
「ほうほう、それは一理もないね」
「なぜだ? 時にはアンチだって必要だろう? 彼らは抑止力なんだよ、作者が調子に乗らないためのね」
「ほうほう、もしかして君はやったことがあるのかい?」
「ないことはないさ、褒められすぎて作者が調子に乗ったら作風が変わったり時には変な展開に行ったりする事があるだろう? それを止めるための必要悪だからね」
「下らないな」
アンチキラー、それはどこにでもいる。
アンチキラー、それは一瞬の激痛。
「痛っ……」
「僕はアンチキラー、俺はアンチを殺す者」
「一回……たった一回だけだぞ! たった一回のアンチコメントをしただけで殺す必要なんてないじゃないか!」
「それは刃だ、たった一回でも作品という生身の心を抉る」
「それがどうした! 作品は読者あっての物だろう!」
「なにを言う作品は作者あっての物だ。そして希望の種、努力の結晶、夢だ。それを傷つける者などこの世には必要ない」
アンチキラー、それは無慈悲な輝き。
アンチキラー、それは執行者。
「っ────」
アンチキラー、それは希望を守る者。
アンチキラー、それは創作者を守る者。
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