孫の手 【エロ注意】 (エロくない人には分からんとです)
これはたとえ話だ。
彼女は俺を孫の手だと言った。高くて手が届かない所などを代わりに届かせるからだ、と。
自分勝手な話だと思った。自分が立ち上がりたくないからと別の部屋にいた俺を呼んで窓を開閉させたり、と奴隷の言い間違いではないのかと思う。もしくはリモコンのつもりじゃなかろうか。
あるときなどは、ちょっとトイレ行ってきて、と宣う。行ってついでに本当に用を足して戻ると、やっぱりダメだね、と自分でトイレに向かっていった。
いや、それは分かるだろ。
◆
それはラッパのような形をしていた。名前は知らない。ラッパのように口で息を吹くのではなく、ゴムボールのようなものを潰して、そこから空気を押し出す仕組みのようだ。古い物だから所々錆が浮いていた。
そのラッパもどきから鳴らされる気の抜けたような音が隣の家から響き渡る。
彼女が俺を呼ぶための合図だ。無視したい。だが後で酷い目にあわされる。
以前は俺のマンガが売られた。その前は俺のプラモを先に作られるという暴挙。そして俺は諦めることを覚えた。
仕方なく俺は部屋を出て、下に行き、サンダルを履いて外に出た。
外は夕暮れ時ではあったが、まだ暑く、気だるげだ。ため息が零れる。
◆
隣の家に行く。勝手に玄関のドアに手を伸ばして開ける。中に入ってから「お邪魔しま~す」と言って上がり込む。
脱いだサンダルの向きも直さない。
勝手知ったる他人の家。
二階へと上がっていく。突き当りのドアに手を掛け、ため息をまた一つ。気が重い。
―― ガチャッ ――
「何か御用ですか~」
「おっ、やっと来たか。5秒で来い、5秒で」
無茶なことを言ってくるが無視する。このぐらいは問題ない。
この、人を呼びつけることを何とも思わない暴君が、隣の姉ちゃん。
ベッドの上で薄着で雑誌を読んでいる。その豊満な胸が潰れて形を変えている。
「それで何?」
「孫の手になれ。ちょっと痒い所に手が届かないんだ」
何、その横暴。隣の家から呼んですることか?
大きなお尻が揺れている。対比から折れそうな感じの細い腰。
「薬でも塗ったらどう?」
「あとで薬も塗る。だか今は掻け! 痒い所を掻き毟る! その快感に勝るものは無い!」
まあ、そうかも知れんけども……
振り返って言うその目は勝気そうな釣り目。濃く形のいい眉が印象的だ。
◇
まったく。やっぱり横暴だ。
服を脱ぎ、横たわる。エロい。室内にいて焼けてない白い肌。
「あん♪」
触れると、えっちな声が上がる。顔が火照る。無視して続ける。
ピンクになった患部を掻き毟った。
「ん、うん。うっ、んんん」
声を出さないようにしてるのか、より艶っぽい。
ぷっくりとした唇から漏れる声。開いた口から覗く歯並び。八重歯が魅力的に見える。
「そこそこ。もっと強くっ」
言われるまま、隣の姉ちゃんの柔肌を蹂躙する。
直に掻き、縦に、横に、周囲も。
時に激しく、時に優しく、上下に、左右に、前後に。
細い肩が合わせて揺れる。
撫でるように、擦るように。
その背中が、太腿が、俺の手の動きでその形を変える。
次第にマッサージもさせられる。
あと、そこは届くだろ、って所も。
次第に汗が浮き出てくる。もちろん俺もだ。
汗の粒が集まり、集団となって、大きな雫がその体の曲線を示すかのように伝っていく。
滴り落ちていく汗。
湾曲し、振動に弾け飛ぶ。
まるで秋の紅葉のようだ。
白かった体が、高揚によって赤く染まっていく。
息が上がり、乱れ、声が漏れる。
「はぁ、はぁ。ん、んん」
彼女に合わせ、回したり、小刻みに動かしたり、強く引っかいたり。
彼女が気持ち良くなるように、動きを合わせる。
彼女が自分が良くなるように誘導してくるからだ。
そして最後に彼女が白い薬を絞りとる。
俺は言われるままに、たっぷり出されたその薬を患部へと優しく塗りたくるのだ。
沁み込むように。
その間に呼吸を整える。
◆
彼女は言う。
「また疼いたら、掻きに来て。そして白い薬もたっぷり塗ってね♪」
俺は着替えを持ち、風呂場へと行く。
そしてシャワーを浴びて汗を流す。
服を着て、タオルを一枚濡らして、また部屋に戻る。
濡れタオルを渡す。
そしたら代わりだろうか、冷温庫から、アイスを取り出して渡してきた。
報酬のつもりなのだろう。
ありがたく頂戴して、帰路に就く。
階段を降り、サンダルを履き、ドアを開ける。
来たときは夕暮れだったが、もう完全に日が落ちたようだ。
ふとアイスを齧ってると地面に影が出来てる。
切れていた街灯が点ったと思い振り返るとやはり街灯は切れていた。
しかし、代わりにその向こう側に満月が昇り、照らしている。
微風が爽やかに流れていた。
描写してないだけです。
隠喩とか、暗喩とか。
痒いとこ掻き毟ると快感ですよ、マジ。◯ナニーよりも気持ちいいですよ。
これで理論武装は完璧。