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カップルの日常〜ヒゲ編〜

作者: 03


「痛いって!!」




真昼間の部屋に彼女の声が響いた。

その原因は俺だ。



俺が何をしたって?


叩いた?暴力なんて振るいません。

関節技を決めた?格闘技なんて専ら興味ありません。

ケツバットをした?某笑っちゃいけない番組じゃありません。





ほっぺたとほっぺたをスリスリしました。




ん?スリスリと言うとニュアンスが違うかな?

厳密に言うとジョリジョリだな。




もちろん、ほっぺたをプニプニする時もあるけれど、今回は違う。

そう、ヒゲを生やした俺が、白くて柔らかい彼女のほっぺたに頬ずりしたのだ。


その結果があの声だ。



「俺は痛くないよー」

「そりゃそうでしょ!」



そりゃそうだった。もちろん彼女のほっぺたにはヒゲが生えていないし、お世辞抜きでスベスベである。



「自分の腕にやってみなよ!そしたらわかるから!」




いやいや、そんなに大声出すほど痛くないでしょーって思いながら彼女の言う通りしてみた。







「いてぇ!」












痛かった。



なんだこれ、凶器かよ。

針地獄か何かか?




「こんなに痛かったんだね。傷とか付いてないよね?」

「ねー、痛いでしょー。どうかな?付いてる?」




と、ジョリジョリしたほっぺたを近づけてきた。


うん、大丈夫みたいだ。良かった。





と、彼女のほっぺたを見ているととある欲求が湧いてくる。

うずうずしてくる。この欲求を彼女にぶつけたくなる。

うん、ぶつけてしまおう。








「え、何してるの?」












その欲求は食欲だった。






なぜ、この流れでお腹すいてるんだよというツッコミはちょっと待てくれ。

弁明させてくれ。いや、弁明というか説明だけれども。







そう、彼女を食べたのである。










いや、性的にじゃないよ?

食欲だって言ってるじゃんか。





つまりは彼女のまんじゅうのように白くて柔らかいほっぺたにかぶりついたのだ。


かぶりついたというと語弊があるけれど、歯は立ててません。

そう、彼女のほっぺたを自らの口に含んだのである。

そして吸ったり引っ張ったりした。




そりゃ、おいしいわけじゃないよ?

でも、なんか良いじゃん。何が良いのはわかんないけれどね。






彼女が困惑しているので、さすがにさっきの質問に答えた。













「食べてる」






見ればわかる。わかるのか?いや、わかるだろう。






「好きにしていいけどさ、やっぱりヒゲが痛い」




この方法も痛いらしいので、彼女を食べるのをやめた。

ほっぺたが唾液だらけになってしまったので、タオルで拭き終わった時に、彼女が言った。







「もっとしたいならヒゲ剃ってね」








名案だ!考えつかなかった!!







俺は洗面所に行って、ヒゲを剃るのであった。

その後、何をしたかなんて言うまでもない。


小さい頃、父親がヒゲでジョリジョリしてたのって、きっとこんな気持ちだったのかもしれないね。

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