第十九.五話 続・二人の温度
別に一緒のベッドでも。
我ながら、ものすごく大胆な発言をしてしまって――頭の中がめちゃくちゃでした。
あわあわと転びそうになりながら、ベッドそばの安楽椅子にぽふんと身を沈めます。
有沢くんのほうは。
「ああ、うん……真川さんがそう言ってくれるなら……」
彼も彼で照れているのでしょうか、くるくると横髪を弄びながらそう答えました。
それから。
「……終わったみたいだね」
明後日のほうを向いたかと思うと、そんなことを呟きます。
「終わったって、笹川さんたちのことですか?」
「うん、とっても有意義な話し合いだったよ。きっと真川さんにはもう、二度と手を出してこないと思う」
「ありがとう、ございます。……ごめんなさい、わたし、何にもできなくって」
昨日からずっと、有沢くんに助けてもらってばかりです。
今日だって彼が来てくれなかったら、いまごろ――。
「ひとには向き不向きがあるんだよ」
暗い思考に沈みかけたわたしを引き戻すように、有沢くんがそう声をかけてくれました。
「僕は僕にできることをしただけ。真川さんも、真川さんにできることをすればいい」
「でも、わたしにできることなんて、何にも……」
「あるよ。さっき真川さん自身が言ってたじゃないか。――これから毎晩、暖めてくれるんだよね」
有沢くんは、俯くわたしに右手を差し伸べてきます。
「まだこっちの手が冷たいままなんだ。夜には早いけど、いいかな」
次で完結します