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ネトゲ三昧を目指す(仮)  作者: 忍ちゃん
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始まり

今から思えばネトゲにハマったのは高校生の頃だった。中学生まではリトルとシニアで野球三昧。一部では神童なんて呼ばれてた。強豪校私立にスポーツ推薦で入りすぐにエースになった。そこまで俺の人生は順調だった。


転機は夏の大会。まだ入学したばかりで身体が出来てない中での夏の連投は身体が悲鳴をあげた。昔に怪我した古傷が再発して甲子園準決勝の途中に投げれなくなりそのまま降板。結局そのままチームも敗戦。試合後病院に直行したが医者にはもう野球は諦めた方がいいと言われた。


その後の行動は自分でも驚くほど速かった。マネジャーも打診されたが即退部。スポーツ科から進学科に入れてもらった。元々頭は良かったから必死に勉強すれば偏差値の高い進学科でも余裕が出来た。しかし途中からの編入だから進学科にあまり馴染めず暇を持て余した事からネトゲに手を出したのだ。


そして気がつけば抜け出せないほどハマっていた。課金で親に迷惑は掛けられないからバイトを始めた。普通のバイトでは効率が悪いので時給の高いホテル宴会のバイトだ。


ホテルのバイトは基本的に怒声や高い接客スキルが要求されるがネトゲの為にとひたすら頑張った。怒られる事はあるが本音と建前を使い分けた。基本的に清潔感があって怒られても真摯に受け止める…風を装う。


指摘して頂いた事に口では感謝を述べ内心では激昂する。そうすれば大体の上司からは今時礼儀正しい子と思われるものだ。周りと仲良くなれば多少の失敗は見逃して貰えるしハードモードがイージーモードに様変わりする。ひたすら建前を使い続けてそのストレスをネトゲで発散する。それが俺の1つのルーティーンにもなった。


まあそんなこんなで高校生活を過ごしそれなりの大学に合格し1人暮らしで夢と希望を持ち、ネトゲ三昧に更に夢を膨らますのであった。


そして今の俺のミッションが入学式で友達を作ることだ。ネトゲ友達からスカイプで大学攻略の為の情報をはリサーチ済み。友達を作りそこでその友達を利用して単位を楽に取る。理系には通じないと聞くが幸い俺は文系。偏差値63の経営学部だ。


効率よく友達を作り効率よく単位を取る。それが4年間ネトゲ三昧の秘訣。投資に必要な額はまたホテルのバイトでも探せばいいだろう。経験者だし、優遇される可能性は高い。


とりあえずはスーツを着て入学式の会場に向かう。慣れない土地だが乗り換え案内のアプリを駆使すれば容易いものだ。それにしてもチラシ配りの人が多すぎる。入学式の会場に辿り着くまでに何十枚のチラシを貰わないと行けないのか。この辺りの情報もリサーチするべきだったな…と内心後悔しながら歩き進む。


会場に向かうと学籍順に並ばせて…って感じか。友達のいない大学(元からいないが)に来た俺が友達を作るには積極的に話すしかない。通常時にコミュ症な俺は話し掛けるのを戸惑うが…こういうのは理想を演じるのだ。バイト時の爽やかな好青年の自分を!!


さあ話し掛けるとでもするか。……横にいる男は既に隣の女の子とめちゃ盛り上がってやがる…この出来上がった輪には入れまい。逆隣りは緊張してるのか話してないな。よし!話し掛けよう。

「すみません!入学式前って緊張しません?この大学に知り合い居ないから俺緊張してて…」


「わっ私もです!地元がここから遠くて友達居ないので…仲良くして下さい!!…えと私は秋沢千尋アキサワ・チヒロと言います。」


「千尋さんね?俺は佐伯明サエキ・アキラ。アキラって気軽に呼んでくれて良いから!」


「明君…てもしかしてあの東雲高校で甲子園で活躍したあの明君!?」

急に声を荒げる千尋さんにかなり戸惑いながらも返事をする。


「あってるけど…どうしたの?ちなみに甲子園で古傷が再発した後すぐに辞めたから俺は今では普通の学生だし…2年前なのによく覚えてたね」


「古傷……とにかく!明君!これからよろしくね!折角の縁だし仲良くしよ!まずは連絡先交換しようよ!」


一瞬彼女の顔が曇ったがすぐに切り替わる。喜怒哀楽の激しい子だ。彼女の呼びかけに応じてスマホの連絡先を交換した。まず第一ミッションをクリアし安堵した頃には入学式の時間になった…

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