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#37 スカウトした、トロスのスラム 2

「リク様、不死特効を付加した剣の試作品が出来ました。」

 朝の魔物掃討を終えトロスの地下室に帰ってきたらそう呼び止められ、振り返ると確かに1本の剣を抱えたクライフが浮いていた。

 融合昇華で強化したせいか、人間からゴーストになった為か、生前からそうなのかは分からないが、どうやら気合を入れ昼夜兼行で作業をしてくれたクライフは3日で市販品の剣に不死特効を付加してくれたようだ。

「さすがだな、クライフ。でも不死特効を付加された剣をスカルウィザードのお前が持てて大丈夫なのか?」

「リク様が人間に使わせると仰っていたので、この剣は人の魔力を吸収して始めて不死特効が発揮されように調整してあります。ですから私が持っていてもただの剣なのですよ。」

「なるほどな。じゃあティータにでも実際に試して貰うとしようか。」

「そうして頂けますか。あと使い心地をわたしの方にも教えて頂けますか?」

 クライフが差し出してきた剣を受け取り格納領域へ仕舞う。

「分かった。ティータにはクライフへ使用感の報告をするよう言っとく。」

「ありがとうございます。では私は続いて奴隷化の首輪の調整へ移りたいと思います。リク様は実物をお持ちですか?」

「ああ、持ってるぞ。」

 格納領域から奴隷化の首輪を一つ取り出してクライフへ手渡す。

「確かにお預かりしました。早速作業を始めます。」

 俺から首輪を受け取ったクライフはそそくさと自分の研究室へ戻っていた。


 この時間だとティータはこの家にいると思い気配を探ってみると確かに家の中にいるようだ。

 階段を上がり気配のするティーエとの相部屋に入ってみるとティータはティーエと向かい合って座りその間に護衛につけているガロを置いて手を取り合って恐らく精霊使役の訓練をしていたみたいだ。

 いきなり声を掛けて集中を乱し事故が起こらならないよう持っていると目を開け手を離したてティーエが俺を見上げてきた。

「お待たせしてすみません、リク様。何か御用ですか?」

「実はいま下でクライフから例の不死特効の武器の試作品を受け取ったんだ。ティータにその剣を試して使用感を聞きたいんだが頼めるか?」

「勿論です。お任せください。」

 頷いたティータが立ち上がり俺の前まできたので格納領域からクライフか加工してくれた剣を取り出して手渡す。

 ティータが重さや握りを確かめているとティーエも立ち上がった。

「リク様。私もついて行っていいですか?」

「ああ、構わない。じゃあ、一緒に行こう」

 俺が声を掛けると二人とも頷き返してくれた。


 地下室へ戻り楔の転移で廃坑の最下層へ移動する。

 警備をしていたガディとダルクに声を掛け立坑まで移動し上へ向かっていると今日上層の魔物掃討を担当しているバルバスが途中の横穴から出て来た。

 俺達の気配が立坑を上がってくるので様子を見に来てくれたようで丁度良いのでまだ今日の掃討が終わっていない場所へ案内してもらう。

 程なくスケルトンとゾンビが混在している群れと行き当たったのでティータに不死特効の剣を試して貰う。

 援護の必要は無いというので後ろから見ているとティータが剣を突き刺したゾンビは刺した個所から崩れ落ち、逆手で袈裟切りにしたスケルトンは一撃でばらばらに散り双方とも魔石に変わった。

 あっけなく終わったのでもう少し試してもらうため今日上層の魔物掃討の残りはティータに任せて後をついて行く。

 6つほどのスケルトンとゾンビの群れをティータが仕留め上層の魔物掃討を終えた所で俺から声を掛けた。

「実際にそいつを使ってみてどうだった?」

「この長さの剣は使い慣れていないんですが、ほんとに軽い手応えで倒しにくい事で有名なスケルトンとゾンビを一撃で仕留められるとは思いませんでした。後斬りつけるたびに魔力を消耗するようですけど消費量は大した事は無いと思います。他に問題になるような不具合があるとは感じませんでした。」

 ティータの魔力は一般人より大分高いのでティータにとって大した事無い消費量でも一般人にはきつい場合もあり得る。

 雇った奴に使わせるときは魔力の消耗に気を付けるよう注意するとしよう。

「取り敢えずその試作品に問題は無さそうだな。ご苦労だった、ティータ。トロスの家に戻ったら今日中に今の話をクライフにもしてやってくれ。じゃ、魔物掃討も終わったようだしみんな一緒に引き揚げるとするか。」

 三人は頷いてくれティータから不死特効の剣を受け取り一緒に立坑を下って楔まで帰るとトロスの家へ転移した。


 クライフへ報告行くティータやそれについて行くティーエと別れ、地下室から出て一階に上がり俺はバルバスと向き合った。

「なあ、バルバス。首輪の調整はまだだけど一応剣は使えそうだ。試しに2〜3人雇ってみてそいつ等にも試し使いさせてみるべきかな?」

「それが良いでしょうな。首輪も調整が終わればだれかで試さねばなりませんし、それをティータやティーエに試させるおつもりはないのでしょう?」

「ああ、そのつもりない。」

 早速動けるか窓の外を見るとまだ昼過ぎ位なので下見をする時間位はありそうだ。

「それじゃあ、少し遅くなったが昼を食べた後、目ぼしい奴がいないかスラムに行って探してみるか。バルバスはどうする、ついてくるか?」

「無論お供しますが、リク様。スラムから人を引き抜くおつもりなら顔役も探して話を通しておいた方が後々面倒がないですぞ。」

「どういう事だ?」

「今回の2〜3人で済ますおつもりなら気にしなくてよいと思いますが、これから継続的にスラムから人を引き抜こうとお考えならそれはかの場所の顔役にとって島を荒らすのと同義。こちらから出向き話を通して面子を立てて納得させねば、どんな妨害をしてくるか分かりませんぞ。」

「なるほどな、面倒だがそういう事なら話をつけておいた方が良さそうだ。その顔役ってやつは探せばすぐに見つかるかな?」

「蛇の道は蛇と言いますし、雇うと決めたスラムの者に案内させてはどうですかな?」

「確かにその方が俺達自身で探すより手っ取り早く済みそうだな。じゃ、それで行こう。」

 御意っとバルバスが頭を下げてくれている所でティータとティーエ地下から出てきてくれたので昼食の用意を頼んだ。

 昼食後流石にティータやティーエをスラムに連れて行くと余計な揉め事を引き寄せそうなのでバルバスだけ連れてトロスの家を出た。




お読み頂きありがとうございます。


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