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#35 いろいろ見つけた、廃鉱山 4

「お前の名前は、ウォルトとする。よろしくな。」

 俺の足元にいる水の精霊に名前を付けてやると嬉しそうに2〜3度頷いてくれる。

 俺の用事が一段落するのを見計らってバルバスが念話を送ってきた。

(リク様、次のご指示をお願い出来ますかな?)

「ああ、みんな待たせて悪かったな。バルバスとクライフでミシェリさんに見本として渡す使えそうな鉱石を集めて来てくれ。精霊を四体とも残していくからティータとティーエはここの警備を頼む。他の眷属に紹介するからネイミとマドラは俺に付いてきてくれ。」

(御意、お任せくだされ)

(良さそうなのを見繕ってきます。)

 返事を返してくれたバスバスとクライフがホールから出て行くのを見送り、俺もネイミとマドラを連れ楔を使って転移した。


 冥炎山の楔の元へ移動すると運よく眷属達全員が楔の部屋に集合していた。

 急に現れた巨体のマドラを見上げ全員一様に驚いていたが俺を見つけると説明を求めるように全員の視線が集まった。

「丁度みんな集まってるみたいだな。紹介する。新しく俺の眷属になったネイミとマドラだ。仲良くやってくれ。」

「私がネイミで、この子がマドラ。これからよろしく。」

 俺の紹介に続いてネイミが挨拶しマドラが4つの頭を下げると他の眷属達も自己紹介を始めていく。

 その様子を見守っていると先に挨拶を終えたマジックマグマアーマー達3体が俺の周りに集まってきた。

(リク様、折り入ってお願いがあります。)

(この洞窟じゃあ手狭になってきて、俺達の間で獲物の取り合いになってきてるんですよ。眷属全員がここに揃ってたのも今日の狩りがもう終わったからで、魔物狩りが出来る場所を広げて貰えませんかね?)

「アデルファ、アグリス、その要望は眷属達の総意か?」

 アデルファとアグリスは揃って頷いてくれる。

「なら新しく魔物の湧く廃坑道を俺の領域下に収めたから、そっちの魔物掃討もやってくれ。一応確認だがそこに湧く魔物も楔で一番強いのが湧くように設定すればいいか?」

(はい、そのようにお願いします。)

(これで皆も喜びますよ。ここの魔物掃除も引き続ききちっとやりますからお任せあれ。)

「分かった。楔で自由に行き来出来るようにしておくから、よろしく頼む。ガディの話も二人と同じものか?」

(いえ、シャドウフレイム経由でハックから伝言がきているので、そのご報告に。)

「今聞こう、言ってくれ。」

(御意、どうやら隠れ里の里長がリク様への面会をハックに願い出たようです。どうされますか?)

 俺から要望を聞くといったので話を聞く義理があるが、機密を考えるとここへ呼ぶ訳にはいかないので俺から出向こう。

「俺が話を聞きに里へ行こう。ガディは付いてきてくれ。」

(御意、お供します。)

 ガディへ頷いて早速楔を調整し俺の眷属なら自由に他の楔へ転移出来るようにすると、ここの護衛番にギャルドを残して他の眷属達は坑道の方へ転移する。

 それを見送ると俺もガディを連れ獣人の里へ転移した。


 里の広場に出ると急に現れた俺とガディに周りいた獣人達は驚いていたが、何人かの獣人が気合を入れて俺に話かけてくる。

 里長と話をしに来たと伝えると獣人が一人呼びに行ってくれ残りが俺達を案内してくれ以前話し合いに使った家の部屋へ通された。

 俺は座りガディを傍に立たせて待っていると里長のタイトスが入ってきて座り深々と俺に頭を下げた。

「この度は私の要望を聞き届けて頂きありがとうございます。」

「何かあれば話を聞くと言ったのは俺の方だから気にするな。それで俺に面会を要望した理由は何だ?」

「はい、まずはお礼を言わせて頂きたかったのです。守護石兵の方達に命じ荒れた耕地を修繕して頂きありがとうございます。」

 頭を上げてタイトスはこう言うが特に指示を出した覚えがないのでハックへ念話をつなぐ。

(ハック、ここ数日で俺の指示以外に何かしたか?)

(はい、アデルファ殿に提案され奴隷狩り共を潰す時荒らした耕地を元に戻し、ついでに血肉の混じった土を山に捨て森から新しい土を運びましたが不味かったでしょうか?)

(いや、いい仕事をしてくれた。ありがとう。)

 どうやらタイトスはハック達の自発的な仕事を俺の指示だと勘違いしたようだ。

 下手に正すのも野暮なのでハック達にも礼を言うよう促してこの話は終わりでいいだろう。

「俺は指示を出しただけだ。お前達の言う事をちゃんと理解出来るから礼ならハック達に直接言え。」

「勿論石兵の方々にもお礼を言わせて頂きます。実はここからが本題なのですが、その石兵の方々の仕事ぶりを見て自分の畑の修繕や新規の開墾を希望する者が急増しております。順番待ちが長くなれば里の不和の原因にもなりかねません。リク様のご命令を遂行するためにも石兵の方々の増員をお願い出来ないでしょうか?」

 そう言ってタイトスはまた深々と頭を下げた。

 耕地の改善や拡張はこの里の発展につながるし、部下の増員はいい仕事をしてくれたハックへの褒美にもなるだろう。

「話は分かった。他にも何か要望があるか?」

「いえ、今回はこれだけです。」

「じゃあ、ついて来い。」

 会話を打ち切り徐に立ち上がるとガディにタイトスを連れて家を出る。

 里の広場へ向かいハックの傍まで行くと奴隷化の首輪を取り込んで得た分の残り5000ポイントを使い前回と同じステイタスで4体のハイドロックゴーレムを生み出した。

(ハック、里から要望があったんでお前の配下を増員する。楔の防衛に支障が出ない範囲で出来るだけ希望に答えてやれ。)

(御意、全力で任務に当たります。)

 もう一度ハックに念話で頼むと声を掛けているとタイトスや周囲にいた獣人達が頭を下げてきた。

 気にするなと獣人達へ声を掛けるとガディを連れ坑道へ転移した。


 楔で作った料理や酒をふるまい坑道のホールでクライフやネイミ達の歓迎会をやった翌朝、バルバスにティータやティーエを連れ廃坑を出る。

 面倒だが歩いてトロスに戻り街中に入ると三名には先に家へ戻って貰い俺は花街の方へ足を向けた。

 あの路地の前に着くと覚えた通りに奥へ進みミシェリさんの店へ着く。

 扉に鍵は掛かっていなかったので中に入りカウンターまで進むとミシェリさんも奥から出てきてくれた。

「あら、いらっしゃい。確かリクだったわね。」

「こんちわ、ミシェリさん。約束の物拾ってきたよ。」

 俺がそう挨拶を返すとミシェリさんは少し驚いた表情を浮かべた。

「もしかしてもう鉱石を取ってきてくれたの?」

「ああ、最下層に幾つかある横穴の先端数カ所から見本の鉱石を拾ってきた。どれが使えるか見てくれるか?」

 ミシェリさんが頷くのを見て、クライフとバルバスから預かった鉱石を拾った場所ごとにカウンターの上へ並べていくと彼女は鉱石を一つずつ手に取り食い入るように鑑定を始めた。

 クライフの鑑定だとこの鉱石はどれも当たりだが、錬成の腕が未熟だと扱えない難度の物もあるそうだからミシェリさんの今の腕前がどれ位かこれで分かるだろう。

 カウンターにもたれ掛り暫く待っていると鉱石を置きミシェリさんが俺へ視線を向けてきた。

「どれも使えそうだから全部引き取る。あと鉱石の比率は今回と同じでいいから、次からはもっと量を取ってきてほしいわ。じゃあ、鉱石の代金分の魔法薬を準備するから待ててね。種類は疲労と魔力の回復用でいい?」

 俺が頷くとミシェリさんは魔法薬の準備を始めてくれる。

 今の受け答えを考えるとどの鉱石もきちんと扱えそうだが一応確かめてみよう。

「ミシェリさんの鑑定を疑う訳じゃないんだけど、本当にこの鉱石は全部使い物になるのか?」

 そう問いかけると苦笑いしたミシェリさんが瓶を2本俺の前に置いた。

「本当の所を言うと私にはまだ扱えない鉱石が確かに幾つかあるわ。でも腕を磨く練習台にはなるしすぐに扱えるようになるつもりだから、心配しなくてもきちんと相場の値段で全部引き取るわ。これからもよろしくね。」

 クライフは全ての鉱石を扱えると言っていたので今の時点での錬成の腕はミシェリさんの方が下のようだ。

 それでもミシェリさん貪欲に腕を磨こうとしているのでこれをクライフに伝えれば喜ぶだろうし、自分もと張り切ってくれそうだ。

「分かった。鉱石が溜まったらまた顔を出すよ。」

 ミシェリさんへ返事をして報酬の魔法薬2本を左手首の格納庫へ仕舞うと店を辞した。

お読み頂きありがとうございます。

誤字の報告ありがとうございました。

#33へリクも体を溶岩体に換装する表現を付け加えました。

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