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#28 偵察に来た、港町トロス 2

(ティータ、その魔石を買い取ってくれる場所、確か傭兵ギルドって言ったか。そこまで歩いてどれ位だ?)

(そうですね、4〜5分位だと思います。)

(なら着くまでの間に教えてくれた事のおさらいをするから付き合ってくれ。)

(はい、リク様。)

 視線だけ俺に向けてティータは頷いてくれる。

(じゃあ、教えてくれた事を話してみるから聞いてくれ、傭兵ギルドは建前として傭兵による互助組織だとうたってるが、実態は各種依頼の仲介斡旋に魔物から取れた魔石などの素材の売買を主としている組織だ。大陸全土に支部があり西部と東部に一つずつ本部もあるが、大体は個々の支部による独立採算で運営されている。ギルドに登録すると色々恩恵を受けられ実績を残して評価を上げれば恩恵も増えていくけど依頼を強制され断れない事もある。傭兵ギルドの概要はこんなもんだと思うが間違って覚えていた所はあったか?)

(いえ、ありませんでしたし、それだけご理解いただいていれば十分だと思います。)

(そうならいいが、もし俺が変な事を言ってると思ったら念話で注意してくれ。)

(お任せください。)

 念話を終えると歩きながら周囲の様子を観察してみる。

 両脇に歩行者がいても大型の馬車がすれ違えそうな幅の広い道の両脇にびっしり石作りの建物が並んでいるが、そんな道や建物の威容に比べて明らかに道行く人の数が少ないように感じた。

 そんな街の風景を眺めながら差しかかった曲り角をこっちですと言ってティータが曲がるので後について行く。

 角を曲がりきるとティータが指さすのでその先に視線を向けてみると盾と剣が交差して描かれた看板が掲げられていた。

(あれが傭兵ギルドの看板です。)

(分かった。ここからは俺が先頭を歩く。変わってくれ。)

 俺の指示に立ち止まったティータを追い抜いて傭兵ギルドの看板を掲げている建物へ歩いて行く。


 両開きの扉を押し開けてその建物に入ると中は広めのホールになっていて正面の奥にカウンターが置かれている。

 壁際に数組のテーブルとイスが置いてあり、反対の壁には色々な依頼が書かれた紙がかなりの数張り出されていて数組のパーティーが依頼票を凝視して受ける仕事を吟味しているようだ。

 視線を左右に振ってそんなギルド内の様子を確かめるとカウンターに近づいて20代前半位の受付嬢に声を掛ける。

「魔石の買取りを頼みたい。魔物素材の買取りに対応してくれる受付はどこになる?」

「当ギルドではこの受付で全ての業務に対応しています。勿論買取りも行っておりますので買取りを希望される品をお出しください。」

「分かった。これが買い取って貰いたい魔石だ。」

 左手首に嵌めている格納庫から魔石の入った袋を取り出し受付嬢の前に置いた。

 失礼しますと言って袋の口を開き中を覗いた受付嬢の表情が一瞬固まるが、すぐに何事も無かったかのように袋から魔石を一つずつ取り出して鑑定しているようだ。

 多少時間が掛かったが100個強カウンターの上に取り出し終わると受付嬢が口を開いた。

「全てオブリンとオークの魔石ですね。特異個体や上位個体の物は無いようですので定価で買い取らせて頂きます。カードをお出しください。」

「俺達はフリーの傭兵でギルドに登録はしてないし、する気も無い。買取り手数料が割増しになるのも知ってるからこのまま買い取ってくれ。」

 ギルドへ登録するには魔力の質を調べられその記録を登録カードと発行元のギルドに残すとティータに教えて貰っていたのでトラブルになっても登録はしないと決めていた。

「承知しました。ではどの通貨でのお支払いを希望なさいますか?」

「ここではどの通貨が主に使われてるんだ?始めて来たからよく知らないんだ。」

「この街が所属する王国では主にロブロが流通していますが、ここは交易船も立ち寄る港町ですからダルやギムも使えますよ。」

 これもティータに教えて貰った通りならロブロは東方貨幣の単位でダルが西方貨幣に単位、ギムは傭兵ギルドが発行し信頼を保証している大陸中央部の小国群で主に流通している貨幣だったはずだ。

「そういう事ならロブロで支払ってくれ。後ギルドと提携している所でいいから幾つか店を紹介して欲しい。」

「承りました。」

 魔石をカウンターの中に仕舞っている受付嬢に紹介を希望する店の種類を上げると、魔石を片付け終えた受付嬢が紙とペンを取り出して簡単な地図を描いてくれる。

 服屋に武器屋や防具屋と家具屋に宿屋の場所を書き入れたこの街の大まかな地図と大小あるロブロ銀貨と銅貨を俺の前に差し出してくれた。

「魔石の代金とご要望のあった店の場所を書いた地図です。お納めください。」

「確かに、感謝するよ。最後に君の名前と仕事をしている時間帯を教えてくれないか?」

 お金や地図を格納庫に納めながらそう受付嬢に質問すると露骨に嫌な顔をされてしまう。

「ああ、君を口説いた訳じゃないから気を悪くしないでくれ。暫くこの近辺で魔物を狩ろうと思っているから今度ギルドへ素材を売りに来る時もなるべく君に受付をやって欲しかったんだ。新しい人だとまたギルドへの登録や手数料の話をしないといけないし君は仕事も出来るみたいだったから、さっきの質問をしたんだ。」

「失礼しました。私はサラといいます。主に昼から受付に立っております。」

「覚えておくよ。魔物の素材が溜まったらまた換金に来るから。」

「又のお越しをお待ちしております。」

 表情を戻ししてくれたセラがお辞儀をしているのを横目に俺達はギルドを出た。


 セラに書いて貰った地図を頼りにまず宿屋を訪ね四人部屋を一部屋確保するとまた街へ出る。

 宿に近かった服屋から順に武器屋と防具屋を訪ねたがそこで日が暮れ来たので宿に引き返した。

 一人数着ずつ古着だが綺麗な服を手に入れ、魔術や精霊術を増幅する短剣や杖をティータやティーエ用に買い、俺も加えた3人分の革鎧も手にいれたがバルバスの革鎧だけ特注になってしまい今日は前金として半額だけ払って納期は一週間以上先になった。




お読み頂き有難う御座います。

サブタイトルを少し変更しました。

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