表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/142

#19 襲撃した、冥炎山 5

 里の見回りを終え戻ってきた獣人達には西門の近くで隠れて貰い、俺達も眷属達の配置で一悶着あったが西門付近に罠を張り終えると気配を殺して待機に入った。

 長時間待つ事も覚悟していたが、配置を終えてから1時間程で監視を任せていたシャドウフレイムが念話で映像を送ってくる。

 ティータを先頭に40人程が森から出て来て獣人達の耕地を踏み潰しながら西門へ向かってきた。

 念話の映像からティータの妹や入れ替わられた獣人はいないように見えるが、確認と罠回避の指示をするためティータへ念話をつなぐ。

(よくやってくれた、ティータ。そのまま後ろとの距離を広げて門へ向かってくれ。確認するが妹はいないようだな、後本隊へ向かった奴らの情報もあったら教えてくれ。)

(妹は船の方へ残されたようです。連絡役の人間達は一人を残して私が合流する前に獣人の女を連れて船の方へ向かったと聞いています。)

(なるほど。よく聞き出した。繰り返しになるが、そのまま先頭で里へ向かえ。)

(ご指示に従います。)

 ティータの返事を受けて念話を切ると、すぐにバルバスへ念話をつなぐ。

(バルバスなら感知していると思うけど、奴隷狩り共の本隊が来た。予定通りティータが先頭を歩いていて確認したが妹も獣人もいない。だから最初の想定通りに纏めて殲滅する。作戦はバルバスの判断で初めて後続への指示も出してくれ。)

(御意、お任せくだされ。)

 自信に満ちたバルバスからの返事を受けると念話を切って待機に戻った。


 俺の役回りは獣人達の護衛で、策が上手くいくと出番がない。

 その分緊張せずシャドウフレイムが送ってくれる映像を見ていると、ティータがゆっくりと歩くスピードを上げて里へ近づいてくる。

 ティータが後ろと5m程距離を置き門まで10m位まで近づくと、突然地中から槍が突き出され奴隷狩りの先頭にいた男を下から貫いた。

 いきなりの事に奴隷狩り達の動きは止まり、その隙をつくように地中からバルバスが姿を現す。

 男達は咄嗟に下がって構えを取るがバルバスも下がってティータを背中にかばう位置を取り、その瞬間男達の足元が土柱を上げて爆ぜた。

 ダルクの榴弾を地雷のように幾つも埋めバルバスからの指示でダルクが一斉に起爆させ起きた爆発は、最後尾にいた数人以外ほとんどの奴隷狩りを巻き込んで吹き飛ばす。

 この爆発が作戦開始の合図でもあるので、シャドウフレイムからの念話を切り持ち場である門の真下に移動して土埃が晴れるのを待った。

 ある程度土埃が収まって見通しがきいてくると、巻き込んだ男達の半数程は爆発で即死したようで残りの半数も瀕死の上体が土に埋もれていた。

 巻き込まれずに済んだ数名が腰を抜かした状態から慌てて立ち上がり逃げようとするが、すぐ傍の地面の中から姿を現したアデルファが両刃両手持ちの溶岩でできたバトルアックスを振り下ろしまず一人仕留める。

 アデルファは間髪入れずバトルアックスを横にも薙ぎ払い残りの男達のも行動不能にすると、一人ずつ止めを刺していった。

 その間も地雷原の北と南の地面からガディとアグリスが現れ、ガディは溶岩で出来た両手持ちの大剣で、アグリスも溶岩で出来た両手持ちの大槌でバルバスと協力して瀕死の奴隷狩り達へ止めを刺していった。

 因みに地雷原の西にあたるアデルファが潜んでいた位置はバルバスの予想通りガディとアグリスも配置を希望し、話し合いでは決着しなかったので俺が教えたじゃんけんでアデルファが勝ち取っていた。


 奴隷狩り本隊の迎撃ではバルバスからの強い勧めもあって出番がなかったので、ここからは俺も働くとしよう。

 獣人達の監視を里の中にいたギャルドとダルクに任せ、バルバスが仕掛けてから同じ場所に立ちすくんでいるティータに近づいて俺から声を掛けた。

「ティータ、確認したい。」

「な、何でしょう?」

「奴隷狩り共の本隊は今潰したので全部だな?」

「その通りです。」

「なら船へ向かって移動中の奴等を捕捉できるか?」

「森の中にいるなら精霊を使って探索可能です。」

 もし森を出て岩場を西へ移動していても一旦海岸に出てから岩場を引き返してくればいいだろう。

「よし、バルバス、俺はティータとグリアにドグラを連れて船へ移動中の奴等を追撃する。ここの後始末と里の護衛は頼むぞ。」

(お任せくだされ、リク様も十分ご注意を。)

 俺の方を向いて念話を送ってきたバルバスへ頷きティータを連れて歩き出す。

 もう偽装の必要は無いので歩きながらもう一度溶融同化でティータから奴隷化の首輪を取ってやると、今度はポイントを得た感覚がして確認してみると103ポイント得ていた。

 後で残った首輪も溶融同化で取り込みポイントにしてしまおう。

 ついでに偽体の指輪もティータから回収して格納領域に納め、里から西へ少し離れた岩場へ向かい逃走者が出る事を想定し追撃役として待機して貰っていたグリアとドグラに合流した。

 俺がドグラに騎乗しティータはグリアの背に乗せて追撃を開始した。


 思った以上にティータは優秀で森に入るとすぐに追撃する方向を教えてくれる。

 レベルが上がったグリアやドグラは体格だけではなくパワーやスピードも大きく上昇しており、森の中を自動車に乗っているような体感速度で走ってくれた。

 進路上に時折ゴブリンやオークが現れるが二体とも気にした様子もなく跳ね飛ばして進んでくれ、追撃を開始してから1時間程で獣人を連れ船へ戻る奴隷狩り達の背中を捉えた。

 ドグラとグリアの移動音で流石に奇襲は無理だったが、男達が構えを取った次の瞬間にはティータが精霊を介して植物を操作し蔦を男達に巻き付けて動きを封じてしまう。

 男達がもがくなかドグラに騎乗したままと近づくと同時に刀を抜き魔力と炎を纏わせる。

 すれ違いざまにドグラから飛び降りて着地するまでに一人切り倒し、惰性の勢いを殺して切り返すと一人一刀ずつ全力で打ち込み全員灰に返した。

 すぐに獣人の女性へ視線を向けると急に俺のような魔人が襲ってきたせいだろう酷いパニックになっていたが、嵌められた奴隷化の首輪のために逃げ出せないようで苦しそうに地面でもがいている。

 この女性は里へ帰すつもりなので首輪に隷属刻印を打ちこんで締め付けを緩めてやり介抱のためティータを呼んだ。

 獣人の女性は流石にティータを覚えていてさらにパニックになりかけるが、グリアから下りて傍に来たティータが自分の首を見せて大人しくすれば後で首輪を外して貰えると説得すると次第に落ち着いてくれた。

 ここで引き返してもよかったが奴隷狩り達の船を直に見てみたいので、ティータと獣人の女性にはグリアに二人乗りして貰い俺もドグラに騎乗して海岸を目指した。



お読み頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ