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#18 襲撃した、冥炎山 4

 さて、次は奴隷狩り共の本隊を迎え撃つ準備だ。

 本来なら里を出て正面から当たるつもりだったが、罠を張りティータにそこへ誘導させればより確実だろう。

 同時にこの里の者達へ戦いを見せて俺達の力を誇示すれば、恐れられるだろうがより円滑に支配下に組み込めるはずだ。

 ただ数が多いともしも時に守るのが大変なので、見せる相手の数は4〜5人で里の有力者が無難だろうな。

「ティータ、この里の長や自警団の団長のようなこの里の有力者をしっているな?」

「勿論です。潜り込む時、入れ替わった獣人から聞き出しましたから。」

「よし、アグリス、アデルファ、ティータの案内で里長や自警団の長ともう2〜3人発言力の強い奴をここに連れてきてくれ。」

(御意、任せてください。)

 指示するとすぐに念話を返してきたアグリスが俺の前に土下座のまま座っていたティータを軽々と持ち上げ肩の上に座らせ、一回転してアデルファの前に戻り三名で念話を送り合い始めた。

 後はどんな罠を何処に仕掛けるかだが考える時間を少し貰おう。

「バルバス、ドグラと放置している楔を見てくる。無事だったら回収もしてくるからここを頼むぞ。」

(御意、お任せあれ、それとリク様ここは戦地も同然ですぞ、十分ご注意くだされ。)

 バルバスへ頷いてドグラに跨り、頼むと声を掛けるとドグラは張り切って走り出してくれた。

 周囲への警戒もドグラに任せ騎乗中は奴隷狩りの本隊への迎撃策を考えていく。

 無事だった楔を回収する時以外は策を考える時間に使わせて貰い、バルバス達の元へ戻るまでの間に何とか考えをまとめた。


 里の広場に着きドグラから下りるとティータ達も戻ってきており、アグリスとアデルファの前に4人の獣人が横たわっていた。

 このままだとこの獣人達を動かすだけで手間になるし話をするためにも解呪をしてやったほうが良さそうだ。

 本隊の誘導をやって貰うティータの回復や獣人達の解呪にも楔による治療が一番手っ取り早いので里の中に地脈への干渉地がないか探してみる。

 楔の機能を使ってみると幾つか刺せる場所がありそうだったが、他の場所には家が建っていたので広場の中心の干渉地に楔を刺した。

 楔が再び機能し始めてこの里やその周囲、瘴鬼の森の一部にまで俺の占有領域化するのを実感しながらティータに問いかけた。

「この獣人達は誰がどんな役の者だ?」

「壮年の男が里長のタイトス、大柄の男が自警団の団長でブルト、後の二人の老人は発言力のある長老です。」

「指示通りだな、3名ともよくやってくれた。」

 実力と占有領域化の確認のため獣人達へ看破眼を向ける。

 能力の詳細まで見通せ4人共特殊な能力は持っておらずレベルもブルトの14が最高で、基礎能力もこちらが大分上のようだしこの位ならもし暴れても俺一人で何とかできそうだ。

 呪いを解いても問題無さそうなのでティータを獣人達の傍に行かせ、楔の治療機能を起動して俺の体内のポイントを対価にティータの回復や獣人達の解呪を行う。

 同時に楔の回収中考えた奴隷狩りへの迎撃策を念話でバルバスに示し意見を求めた。

 策の大まかな部分は賛成してくれたが具体的な各員の配置の部分でバルバスから提案があり最終決定は実際の配置前となる。

 バルバスとの協議が終わると時間稼ぎのためゆっくり進めていた回復と解呪をさっさと済ませ、ついでにティータへつけた火傷も消してまだ上手く動けない獣人達の前に立った。

「自分達が今どういう状況にいるか、理解しているか?」

「はい、そこのダークエルフの女性に何が起こっているか伺いました。」

「そうか、だったら今この里がおかれている自体の説明は省こう。俺はこの近くに縄張りを持ちこの者達の主でリクだ。今日からはこの里も俺の支配下に置く。俺の為に働いて貰うが、安心しろ。生贄を出せなんて無粋な命令を出すつもりは一切ないし、外敵に襲われるようなら守ると約束しよう。俺の言葉が嘘ではない証明に、これからこの里へ奴隷狩りに来る者共を俺達が始末して呪いの解除薬を手に入れてやる。その一部始終を里を代表してお前達が見届けろ。」

 ここで一旦話を切って獣人達の反応を窺う。

 ブルトや長老は困惑した視線をタイトスへ向け、視線が集まるタイトスは値踏みするように俺を見上げながらゆっくりと姿勢を正した。

「お聞きしたい事があります。お答え頂けますか?」

「何だ?言ってみろ。」

「我らを問答無用で殺さず、支配下に置く理由をお教えください。魔人は人族を殺す事で力を得ると聞きます。ならば力を得る以上の何を求めて我らを支配下に置くのでしょうか?」

「答えてもいいが、どうしてそれを知りたい?」

「何故生かされているのか分からなければ、恐怖で心を病む者やここから逃げだす者が続出するでしょう。それはあなたにとっても都合が悪いのではありませんか?」

「確かにな。いいだろう、先の質問に答えよう。理由は単純だ。俺には特殊な能力が在ってな、殺すより支配下に置く方がより力を得られるからだ。分かり易いだろう?」

 これは掛値の無い本当の話で完全記憶領域のポイントログを見て確信している。

 具体的にはこの里から1日平均160〜170ポイントを占有領域化に置いてからの5日で得た。

 洞窟で魔物を倒して得たポイントと先程止めを刺した人間から得たポイントを比較し、里の規模から逆算すると獣人達を半年以上占有領域化にとどめ置けば、殺すよりポイントが手に出来ると見ている。

「なるほど、外敵から守って下さるというのもそれが理由ですか?」

「察しが早くて助かるな。俺は配下になった者を無下に扱うつもりは無いし、要望もある程度は聞いてやろう。だが敵対するというなら容赦はしない。具体的にどうなるかは奴隷狩り共を見て知るといい。」

「分かりました、今はご指示に従います。」

 タイトスが頭を下げると弾かれたように後の3人も頭を下げた。

「里の様子が心配だろう。奴隷狩り共が近づいて来るまでの間、確認してくるといい。バルバス、護衛役の割り振りを頼む。」

(御意)

「ありがとうございます。」

 バルバスが頭を下げると獣人達ももう一度頭を下げ、ガディ達ゴーレム組を護衛にして個別に里の中へ散って行った。


 獣人達が広場から離れるのを待ちティータへ声を掛ける。

「こちらへ向かっている奴隷狩りの本隊を見つけ出せるか?」

「問題ありません。」

「なら、伝令を装って本隊に合流し、里の西門へ誘導しろ。罠を仕掛けて一網打尽にするから本隊に妹がいないかも確認しておけ。里へ近づいたら念話で安全地帯に誘導してやるから、もし妹がいたなら一緒に行動しろ。無理だったなら念話をつないだ時に報告して来い、対応する。やれるか?」

「お任せてください、失望はさせません。」

「よし。じゃあ行って貰うが、奴隷化が解けているとばれないよう奴隷化の首輪を自分で嵌めていけ。」

 奴隷狩り達が持ち込んでいた荷物から首輪を出してティータへ手渡すと、微妙な表情をしたが首輪を嵌めて俺に一礼し里の外へ駆け出していった。



お読み頂き有難う御座います。

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