表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/142

#16 襲撃した、冥炎山 2

 溶岩湖の畔でバルバスと戦闘訓練いていたお蔭でタリンダの影にはすぐ気がつけ、訓練の手を止めて彼女が下りて来るのを待つ。

 火口の切り立っている縁にタリンダは舞い降りると念話を送ってきた。

(リクいましたね、お前が言っていた場所に人間の船が2隻現れましたよ。)

「そうか、偵察感謝するタリンダ。次はその船に乗り込む時に手を借りると思うからこれから2〜3日は楔の傍に居てくれ。」

(構いませんが、わたしを拘束する分あの子たちの魔石を余計に持ってくるのですよ。)

「了解だ。タリンダ。」

 俺の返答を聞くとタリンダは羽ばたいて舞い上がり外輪山の方へ飛び去っていった。

 タリンダを見送って傍にいるバルバスに視線を向けると、俺と同じようにやる気がみなぎっているようだ

「いよいよ来たな、バルバス。」

(御意、皆に楔の元へ集まるよう念話で招集を掛けますぞ。)

「ああ、頼む。俺達も急いで戻ろう。」

 歩き始めた俺に念話を飛ばしながらバルバスが続いてくれた。


 楔の元に着くとドグラとグリアが今日は警備をしてくれていたようで、俺達が着いて暫くするとアグリスとアデルファの組が、その後にガディとダルクにギャルドの組が楔の元に戻ってきてくれた。

 全員集まると皆が自然と俺に視線を向けてくれる。

「バルバスが念話を送ったので知っていると思うけど、タリンダが予測した場所に船を見つけてくれた。恐らく近日中の夜間に襲撃があると思うんで、今日から襲撃があるまで日が沈んだら楔の近くで待機してくれ。」

 一旦言葉を切ると皆頷いてくれた。

「大雑把になるが俺達の行動も決めておく。監視しているシャドウフレイム達から奴隷狩り共が動いたと連絡がき次第、俺達もここから獣人の里近くの楔に移動する。その時ハックにはここへ戻って貰って楔の警備について貰うつもりだ。獣人の里近くの楔に転移したら俺達も2組に分かれて移動を開始する。2つある獣人の里の門周辺に1組ずつ別々に待機して、獣人達が行動不能になったら念話でタイミングを合わせて俺達も突入しよう。奴隷狩り共が失敗するようなら個別に待ち伏せする。最優先目標は姿を偽装しているあの女だ。こいつは絶対生け捕りにしてくれ。後の奴隷狩り共は始末して構わないが、情報は欲しいんで1人か2人位は生け捕りにしよう。俺が考えたのはこんな所だが、何か意見や質問があるなら言ってくれ。」

(主、組分けはどうするのでしょうか?)

「戦力が偏らないように、俺、アグリス、アデルファ、ダルク、グリアの組と、バルバス、ガディ、ギャルド、ドグラの組に分けるつもりだ。」

 ガディにそう答えると他からも門周辺で隠れる場所などの質問が出て、皆で実際の行動案をすり合わせていった。

 話し合いが終わると自由行動を許可し皆一旦楔の元から散ったが、夜になるときっちり戻ってきてくれる。

 俺の影響で食事をするようになった皆と楔で実体化した料理を食べながら、今日襲撃は無いだろうなと思っていたが夜半前シャドウフレイムの一体が伝令として戻ってきた。

 伝令のシャドウフレイムが見せてくれる光景は、テントを引き払い移動の準備を始めている10名程の人間達の様子で、襲撃の前兆と見てよさそうだ。

 報告が終わり行くぞと声を掛けると、言葉は色々だったが皆気合の入った返事を返してくれた。


 獣人の里近くに打ち込んだ楔に転移を終えると、ハックにも頼むと声を掛け洞窟の楔の警備に向かって貰う。

 ハックが転移を終えると俺達も事前に決めた組分けに別れて移動を開始した。

 獣人の里からは十分距離を取り岩陰から岩陰へ移動していく。

 俺達が担当する門周辺は見晴らしがいいので、少し離れる事になるが全員が隠れられる岩場に身を潜めた。

 しばらくじっと身動きせず待機していると、随伴してくれ門の監視を任せていたシャドウフレイムから念話が送られてくる。

 目を閉じると現在の門の様子が浮かび、あの女が開いた門の隙間に5名の人間が大荷物を抱えて滑り込んで行きまた門が閉じられた。

 今見せられた光景を報告し準備を促す為バルバスへ念話をつなぐ。

(今人間達があの女の手引きで里の中に入った。呪具の発動の感知はお前の方が正確だと思うから、仕掛けるタイミングの指示を頼む。後里に来た人間の数が半分くらいに減っていた、何かあるかもしれない十分注意してくれ。)

(御意、リク様もご注意くだされ。)

 念話を切ると格納領域から刀を取り出し、周りに戦闘準備を促す。

 いつでも走り出せる待機姿勢を取りはやる気持ちを押さえて10分程待つと、獣人の里全体を強力な魔力が包む。

 30秒程続いた魔力の反応が消えると同時にバルバスから突入と念話が送られてきた。


 俺を先頭に全員岩陰から飛び出し里の門へ向かって全力で走る。

 俺が先頭で門に取りつき、居合抜きの要領で門を閂を両断するとアグリスとアデルファが体当たりして門を押し開いた。

 呪具を設置する場所は分からなかったのであの女と奴隷狩り共を探す事も想定していたが、里の中をざっと見渡すと門から真っ直ぐ伸びる道の先にある広場に全員固まっている。

 俺達とほとんど同時に広場を挟んで里の反対側にある門をバルバス達が開き、上手く挟撃できそうなのでそのまま里の中へ踏み込んだ。

 奴隷狩り共にプレッシャーをかけるため全速で間合いを詰めるが、ダルクが砲撃の連射で三人の腿を撃ち抜きバルバスとギャルドが一人ずつ炎の槍で足を貫いて無力化してくれた。

 ならば俺は女をと間近まで近づいてみると、偽装が解けダークエルフの姿に戻った女が割れた黒色の水晶球のようなものの前に疲労困憊の様子で座り込んでいた。

 女に逃げる余力は残っていないようなので人間達の拘束しておこうかと周りを見たら、ガディにアグリスとアデルファが土魔術を使った枷を人間たちに嵌めていて俺は出番なしに終わった。


お読み頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ