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#1 魔人となった、火山洞窟 1

一応ダンジョンマスター物のつもりです。

よろしくお願いします。

「ここ何処だよ?」

 目を覚まし体を起こした俺が見た周りの様子は、日本ではあまり見られないごつごつとした岩肌に、不均一な岩があちこちに転がる洞窟の一角のような場所だった。

 さらに可笑しいことに本来なら真っ暗で何も見えないはずなのに、暗いと分かりながら周りを視認できたことが俺の困惑を深めていく。

「どういう事だよ。俺の目可笑しくなったのかよ、っそうだ俺刺されたはず、・・・なんだよこれ?」

 胸を刺されたはずと傷を確認しようと、服を着ておらず全身の肌が岩でできたプロテクトスーツのようになっている。指や肘に肩など関節の可動部がひび割れており、その隙間から赤黒い物が見えている。

 岩肌の手で反対の腕を触ると、硬質な手応えと共に確かに俺自身の腕だという感触が返ってきた。

 続けて触った顔は岩の仮面を触っているようで、でも確かに自分の顔だと確信が持てた。


「俺、いったいどうなったんだよ。」

「はい、その辺の事も含めてこれから説明させて貰いますね。」

 突然上から降ってきた中性的な声の方に振り向くと、妖精の姿そのものというような小さな羽を光らせた小人が浮かんでいる。

 人懐こそうな笑顔を浮かべるその妖精は、俺の目線の高さまで下りてきた。

「先に自己紹介をさせて貰いますね、私は輪廻転生を司る神に仕えている者です。名前は明かせないことになっておりまして、お好きなように呼んでください。今回担当された神の御一方からあなたの身の上に起きた事や、今後のあなたの身の振り方に係わる事などを説明するよう派遣されてきました。高山 陸雄さん。」

「俺の事、知ってるのか?」

「はい、失礼とは思いましたが円滑なコミュニケーションの為に、魂がその体に定着した時点で眠っているあなたの記憶を少し読ませていただきました、ご容赦ください。お詫びと言ってはなんですが、この世界で広く使われている大陸語の知識を刷り込んでおいたのでお役立てください。」

 勝手に記憶を読まれたと聞いて、どうしても表情が憮然としたものに変わってしまう。

「勝手に記憶を覗かれたのはいい気しないが、とにかく分かった。俺の身の上に起きた事、起こってる事を説明してくれるんだな、なら早速始めてくれるか?」

「分かりましたが、その前に私の呼び名を決めておいてくれますか高山さん、あんたやお前なんて呼ばれたくはないので。」

「名前は明かせないんだったか、それじゃあリンって呼ぶことにする。それから俺も高山じゃなくてリクオって呼んでくれ。」

「分かりましたリクオさん、説明の前提条件として確認させて頂きたいんですが、ここで目を覚ます前にご自分の身に起きた事を覚えていらっしゃいますか?」

「ああ、胸をナイフで刺されて意識を失ったところまでは覚えている。」


 きちんと思い出そうと傷が在ったはずの胸の辺りに手をあてると、胸に刺さったナイフの冷たさや、引き抜かれたとき自分の暖かさも一緒に流れ出していく感覚が蘇ってくる。

 どうしても顔をしかめてしまうが何とか表情を戻してリンと向き合うと、飛ぶのに疲れたのか間を取ってくれたのかは分からないが、リンは近くの岩の上に下りた。

 俺もそちらに向けて座り直すとリンは説明を続けてくれる。


「なるほど、私も担当の厄神様からリクオさんが此方に来る直前に起こった事を伺っていますし、記憶も見せて貰っていますが、その辺りの確認から始めさせてもらいますね。伺った事をお話しすると、リクオさんはコンビニ強盗に失敗して興奮した犯人と、その店の前で鉢合わせしてしまう。スマホを操作していて気付くのが遅れたリクオさんは、興奮からパニックになった犯人が襲ってくるのに反応できず刺されてしまいます。刺された場所が運悪く急所で、リクオさんはそのまま亡くなってしまわれた。ここまではいいですか?」

「ああ、俺の不注意による自業自得ってことだな。続けてくれ。」

「リクオさんは単に運が悪かっただけだと思いますが、後はこの世界ミストガイアの神の一柱で火山や火山噴火を司る厄神様が、ご自分で用意された魔人の体に波長の合った魂をしていたリクオさんを転生させたということです。ここまでで何か分からない事が在りますか?」

「まあスマホでネット小説とかよく読んでたから、ある程度は分かるよ。ここは地球の日本じゃなくて、ミストガイアっていう異世界なんだな。加えて俺は人間じゃないその魔人ってやつに転生したって事だ。」

「理解が早くて助かります。付け加えるとここは火山の火口周辺にある洞窟ですね。ではこれまでについての説明はこれ位にして、これからについての説明をしますね。まず掌を上にして手を前に出してくれますか?」

「これでいいか?」

掌を上に左手を胸の前に出すと、リンはふわりと飛び上がって俺の左手の上に降り立ち、こちらを見上げてきた。


「ここからはその体に備わっている基本的な能力の使い方を説明しますね。最初はリクオさん自身の能力確認です。私もお手伝いしますからリラックスして自分の中心に意識を集中してみてください。」

 リンに頷き目を閉じて右手を胸に当て集中していく。

 一瞬だったのか10秒位掛かっていたのかは分からないが、周囲の感覚が薄れていくとふっと体の中から何かが浮かび上がってきた。


高山 陸雄 Lv 1

溶岩神造魔体

生命力 S

力 S

体力 A

魔力 A

敏捷 B

感覚 B

地脈炉

眷属創操

炎熱支配

溶融同化


 浮かび上がってきた情報には項目ごとにさらに詳しい解説情報がついており、それらにも一通り意識を向け終えると、

「どうですか?リクオさん。」

リンの声で一気に感覚が戻ってくる。

 目を開けて掌の上のリンに視線を落とすと、リンも俺を見上げて笑みを崩さず頷いてくれた。

「分かったと思うけど、なんだかネット小説に出てくるステータス表示みたいだったな。」

「やはりそう感じられますか。今使って貰った自身の能力確認は、過去リクオさんと同じように魔人に転生された方が、自身や部下を適正に沿って鍛えたいと担当された厄神様に頼んで手に入れられた能力なんです。そしてこの能力が大きな成果を上げたので、以降の神造魔体には標準でこの能力は付加されるようになっています。頼まれた魔人の方はリクオさんと同じ日本から転生された方でしたから、見慣れているのでしょう。付け加えるとこの能力はご自身と眷属にしか発揮されないので覚えておいてください。」

「なるほど、納得した。って新しい能力を貰えたりのするのか?」

「はい、先程も説明しましたが、魔人転生された方の体は、担当された厄神様が手ずからお造りになっています。ですから作られた厄神様と強いつながりがありますので、神と交信する能力を手に入れられるか、その能力を持つ者を配下とすれば、比較的簡単に担当の厄神様とはお話が出来るようになりますよ。意思疎通が出来るようになれば、対価を納めて新しい能力を頂いたり、私が話せないような事も伺えると思いますよ。頑張ってみてください。では実際に能力を使ってみましょう。」

 そう言ってリンはふわりと俺の手の上から舞い上がった。


お読み頂き有難う御座います。

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