どうやら俺の学校で一騒動あるらしい
投稿日が遅くなってすいません!
リアルが忙しくて中々書けませんでした、相変わらずな駄目文章ですがお楽しみください。
人通りもなく周囲は静かに寝静まっている夜の住宅街の離れに、一つのガレージがぽつんと置かれている。昔から放置されているようで、何処を見ても埃を被っていた。普通なら近付かないその場所から何故か声が漏れていた。
明かりは外に漏れださないように最小限の光しかつけられておらず、数人がそこにいることは人影でしか確認出来ない。自分の手ほどの距離なら見えるが離れている人物の顔は判明出来ないほど暗い中な集まっていた。しかし、その人物はしっかりと声の人物を理解できているようだった。
「おい小次郎、例の計画は進んでいるな。」
「へい、兄貴。必要な物も手に入れましたし計画は順調ですぜ。」
「そうかそうか、ならあれも手に入ってるってことだな?」
「へへへ、しっかりと中国の方から取り寄せやしたぜ。」
小次郎と呼ばれた男は大きめのアタッシュケースを男に渡した。ケースを開けるとそこには数丁の拳銃が入っていた。
「ほう、ちゃんとした拳銃じゃねぇか。」
「へい、でも兄貴。それで俺らの資金が空っぽになっちまったんですよ。」
「……は?」
「……へ?」
小次郎の言葉でお互いが固まった。男は驚きあまり口が大きく開いたまま固まり、小次郎は何か間違ったのかと疑問の顔を浮かべていた。
数分後、男が全身を震わして怒りを露にしていた。
「拳銃分の金はアタッシュケースに入れてお前に渡したじゃねぇか!確かに俺たちの資金のほとんどは入れたが、全額は入れてねぇぞ!」
「いや、何でもあの引き取り相手の中国人が実は金がもっと必要だって言うからわざわざ一応全額持っていったんですよ。でもこれでも足りないって言われちまって。これが全部だと言ったら渋々取引してくれたんすよ!いやあ、ほんとに助かったすよ!」
「お前…それはその糞中国人に騙されたんだよこの馬鹿野郎!」
「ええ!それ本当ですか兄貴!」
「当たり前だ!何でそれにも気づかねぇんだよ、その頭は飾りか!小次郎!」
「ひぃ!す、すいやせん兄貴!」
自分が犯した失態の理由が分かった小次郎は、すぐさま男に土下座をした。お互いに怒りと恐怖で震えていた。
「……今お前にキレてもしょうがねぇ、後どれぐらい残ってんだ。」
「へ、へい。流石に資金がないのはヤバイと思ってメンバーでバイトして5万ほどあります。」
「はぁ、まあそんだけありゃあ十分だろ。」
「へ、へい。と、所で兄貴?」
「あ?何だ小次郎?」
「拳銃の件については申し訳なかったのですが、他に必要な物なんてありやしたか?確か必要な物は拳銃と弾とかぐらいなはずでしたが?」
「お前、分からねぇのか?」
「へ、へえ。俺にはさっぱり」
小次郎の質問に飽きられたようにまた一つため息をついてから小次郎をジッと見た。
「何が必要か。それはな……」
その場にいる者全員が男の言葉を待っている。誰かが唾を呑み込んだ音が耳に入る。
「襲撃用の服だろ!格好いいのを着るのに金掛かるじゃねぇか!」
その言葉にその男以外の動きが一瞬止まり、ガレージの中から大声が放たれた。
「「「あんたのが一番どうでもいいじゃねぇか!!!」」」
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「恭ちゃん~、朝だから起きてよ~」
この十数年聞き続けている声の言葉通り起きるためと腹の辺りの謎の違和感を確かめようと布団から出ようとする。目を開けるとそこには満面の笑みでお互いの息を感じれる程の近さで俺を見ている親父の顔があった。
「おはよう、親父。今日は楽しいそうだな。」
「えへへ~、おはよう恭ちゃん♪うん、そうなんだ~、後で恭ちゃんにも教えてあげる!」
どうやら機嫌がいいのか親父がは嬉しい気持ちが抑えられないらしく俺の上に乗っかったようだ。親父は見た目からもそうだか体重も凄い軽いので俺に負担は無いのだが……うん、一言だけ言わせてくれ。
(子供かっ!)
身長から子供に見られるのを極端に嫌がってる親父の前では決して口には出して言えないがまあ、心の中ぐらいなら大丈夫だろ。その考えが甘かったのだろう…
「……む~、恭ちゃん今私のこと子供っぽいと思ったでしょ。」
「え!?い、いやそんなこと思ってないって。」
「今えっ!?って言った!聞こえたんだからね!」
鋭い、これが女の勘って奴なのか。下手なことは親父の前では考えられないな。頬を膨らまして怒ってますからオーラを出しながら部屋を出ていった。これは後で謝っとかないといけないな。
大きく背中を伸ばしてカーテンを開ける。うん、今日も良い天気だ。軽くストレッチをしてからリビングに向かった。すると、すでに朝食を作ってくれている親父が席に着いていた。
チラッとこちらを向いたと思ったらすぐにそっぽを向かれた。どうやらそんなすぐに機嫌は直っていないらしい。自分のせいだがどうしたもんかと考えながら席に着く。
「悪かったって。もうそんなこと思わないからさ。」
「……本当に?もう思わない?」
「ああ、もう思わない。それより親父の作ってくれた朝食食べようぜ。見てるとお腹空いてきた。」
今日はスクランブルエッグとハムにロールパン、そして彩り用の新鮮なサラダだ。親父が作るサラダにはいつもコーンが入っている。何故か親父はサラダはコーンが入っているものだと思っているらしい。
この前に一度コーンは別にいらないんじゃないかと聞いたことがある。その時に親父はこう言ったんだ。
「えっ?それってサラダなの?それじゃあただの野菜盛りになっちゃうよ恭ちゃん?」
といったビックリ発言を聞いてから説得を諦めた。普通のサラダは親父にとっては野菜盛りらしい。……意味は同じじゃないのかよ。
「よし♪じゃあ約束だよ?恭ちゃんには美味しく食べてほしいからこの話これでお仕舞い!」
「了解。じゃあ食べるか。」
「「頂きます。」」
昨日の美咲さんのクリームシチューも美味しかったけど、親父も美咲さんに負けないぐらい料理が美味しい。
スクランブルエッグはふわふわに作られていて砂糖の甘さが丁度良い感じだ。ロールパンにハムとエッグを挟めば喫茶店のメニューに並んでも可笑しくない見た目と美味しさだ。
「そういえば、聞いてなかったが何で今日は機嫌が良いんだ?」
「あっ、うん。前に私の仕事って裏方の仕事ばかりだって恭ちゃんにいってたよね?でも、やっと上から認められて正式に表だって仕事できるようになったの♪」
「へ~そうなんだ、おめでとう親父。」
「ありがとう恭ちゃん!えへへ~」
親父の仕事はある程度大きい会社で働いているらしいんだが、いつも裏仕事ばかり任されているらしい。まだ親父の所属している部は会社の中ではそんなに力が無かったためらしいが、どうやら仕事での業績が認められたのかしっかりとした役職として働けるみたいだ。
しかし、親父に会社の名前を聞いてもいつも教えてはくれない。いつもはぐらかされるためだ。美咲さんと一緒に働いているというのは知っているので仕事については心配していないが、何でそこまで秘密にするのかが不思議だ。
まあ、親父ならいつかポロっと言ってくれるだろうから、気長に待つようにしている。
俺も親父もコーヒーを飲むため朝は親父がいつもコーヒーを作ってくれる。豆を挽いてから作るので匂いを楽しみながら飲める程上手い。
俺の知ってるなかで親父が作ったコーヒーほど美味しい物は飲んだことがない。美咲さんからも絶賛するほどなのだ。俺も親父からコーヒーの淹れ方を教えて貰っているが、親父の味には程遠い。
それでも俺の作ったコーヒーを親父は美味しいと飲んでくれるため悔しいとは思ったことがない。因みに奈々はコーヒーが飲めないため普通のコーヒーと何と違って美味しいのかは分からない。飲めないのなら分からなくて当たり前だっての。
「いつ飲んでも親父が作ってくれたコーヒーは美味しいな。」
「えへへ~、ありがと恭ちゃん。」
二人でコーヒーを楽しんでいると、テレビから8時になったお知らせが鳴った。気付くと親父はミミちゃんを抱いてソファーに座っていて、皿も洗いどころに置かれていた。いつの間に移動したんだこの親父は。
けど、後ろからでも分かるあのりりなが楽しみですオーラを見ると何故か微笑んでしまう。子供を持つ年じゃないが俺に子供が出来るとこんな気持ちになるんだろな。
その時は美人な嫁さんが隣にいて……はっ!危うく妄想に浸りそうになった。俺だって健全な高校生だしそんなこと考えても可笑しくないはず、うん。カップに入ってる残りのコーヒーを一気に飲み干して皿を洗い始める。
皿を洗い終わって自分の部屋に戻って用意をしようとした時にテレビからいつも聞いている主人公りりなの声が聞こえた。
「ゆいちゃん!貴方ゆいちゃんなの!?」
『ゆい』それは昨日奈々が話していた二期からりりなのクラスに転校してきた女の子だったはず。確かそのゆいって子を見た感想を教えてくれって言ってたな。
部屋に戻ろうとする足を反転させて親父の座っているソファーの隣に座った。そのことに親父が気付いていないらしく真剣に『りりな』を見ていた。
この集中力は今の俺にはないなと苦笑いして、親父と一緒に『りりな』を見始めた。内容は榊原ゆいが花月小学校に転校してきて一週間後の話らしくりりなは最近よくゆいが夢の中に現れることを同じクラスの一期から登場している十河日和とリオ・シシアーシチィの二人の女の子に話していた。二人とも一期から登場しているりりなの友達だ。
リオはロシア生まれの日本育ちで父親がロシア人で母親が日本人らしく、父親が日本をこよなく愛してるということで日本に住んでいるという設定らしい。
日和は今時古風な良家の一人娘で小学校というには落ち着き過ぎる程の性格と何でもこなす器用さを持っているまさに完璧な大和撫子だ。
「え?最近よくゆいさんと会う夢を見るの?」
「うん、いつもゆいちゃんと会うんだけど追いかけても声を掛けてもどんどん離れていっちゃうんだ。」
「何だか嫌な夢ね。でも夢で悪いことを見ると良いことがあるっていう夢もあるみたいだし悪いことじゃないかも!」
「でも、正夢っていうのもあるし……こっちでもお弁当一緒に誘っても来てくれないし……」
「それは今関係ないでしょ?夢の話は今考えてても何も変わらないんだし、もっと楽しいこと考えなくちゃ!」
「うん、私もリオと一緒の考えだよりりなちゃん。それにお弁当のことは今日もゆいちゃんを誘ってみよう?今日はきっと一緒に食べてくれるよ♪」
「リオちゃん、日和ちゃん。……うん、ありがとう!」
(この三人の仲良しさは一期の時から変わらないな。)
りりなが魔法少女としての力を持ってしまった時に自分の力の使い道に悩んでいたときに真っ先にりりなの異変に気付いて真剣に話を聞いたのがリオと日和だった。
その時のことがキッカケでりりなは魔法少女としてするべきことを決める術となった。自らの魔法で皆を幸せにするんだと。
横を見ると、親父が満面の笑みを浮かべていた。自分の思ったことを顔に出してしまうのでポーカーフェイスとは程遠いが裏表のない親父らしい。
(さて、そろそろ時間も良い頃だし着替えるか。)
親父の邪魔をしないように静かに自室に戻り、今日の用意を始めた。今日は昼からの教科の担当がいないため午前授業だけだ。早めに帰れることに越したことはないな。久しぶりに溜まってるゲームでもしてみるかな。
そんなことを考えながら用意が終わり。洗面所で身なりを整える。よし、こんなものか。リビングに行き親父に声を掛ける。
「親父、行ってくる。」
「は~い!いってらっしゃい~♪」
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玄関を開けると奈々が俺を待っていたようで家の前に立っていた。いや、それより俺は奈々が俺を待っている(・・・・・)ということに驚いた。自慢じゃないがりりなが放送されてから一年間、奈々は一度も俺より早くに家を出ていることはないのだ。
「ど、どうしたんだ奈々?」
「ん?あ、おはよう恭君!何を驚いてるの?」
「いや、お前が俺を待ってるなんて。今の時間帯なら着替えながらりりな見てる時間だろ。」
「ふっふ~ん!私がいつまでも恭君が来るまで家でりりなを見てるような女の子だと考えてるなら大間違いだよ!」
誇らしげに威張っている奈々の手を見てみると何故こんなに速いのかという意味が分かった。
「ワンセグで見てたのか。」
「うん♪お母さんが恭也君にずっと迎えに来てくれるのは悪いでしょうからワンセグでりりなを見て待っときなさいって言われたの!」
どうやら美咲さんの助言でワンセグで見ているようだ。別に俺は奈々を迎えにいくぐらい問題ないんだけどな。
「奈々、別に迎えにいくぐらい苦じゃないからギリギリまでりりなを見ててもいいんだぞ?」
「えっ?本当!ありがとう恭君!やっぱりりりなは家ぐらいのテレビで見ないと駄目だと思ってたから嬉しいよ♪」
「そ、そうなのか。ははは……」
奈々の興奮っぷりに苦笑いを隠せずに二人で学校に向かい始めた。いつもと変わらない登校風景を感じながら。すると、奈々を思い出したように話を切り替えてきた。
「あっ、そう言えば恭君!ゆいちゃん見てくれた?」
さて、その話を出してくれると思って朝のりりなを見たんだ。見てなかったらこの場で言葉の暴力というりりなの裏話をひたすらに聞かされる地獄が待ち構えてるため見ないという選択肢はない。
今日の朝に思い出さなかったらと思うと背筋がゾッとした。
「ああ、今日のりりなは見たぞ。ちゃんとゆいって子も見たけど、喋ってるシーンは見てないが可愛いというより綺麗とかの方が合う気はしたな。」
「今日はゆいちゃん一回も喋らなかったよね、どっちかというと一期からのキャラクターのリオちゃんと日和ちゃんとのお話がメインだったからしょうがないよ。」
「ああ、あの三人は二期でも仲良しそうで良かったな。」
「うん!三人とも可愛いから並んでいると三倍可愛く見えるよ~♪」
「まあ三人いるからな。」
「む~、恭君ノリ悪いよ~」
「へ?さっきのにノリ振られたのか俺?」
可笑しなことは言ってないと思うんだが、どうやら俺に奈々のツッコミ役には向いてないようだ。どちらかと言えばそういうネタは東花にしてくれ。あいつならネタを知らなくても完璧なツッコミをしてくれる。
「それにしても、奈々が俺を待っているもんだから驚いた。」
「今日は槍が降ってくるとか思ったんだ。」
「まあな。日頃からのりりな好きのお前が俺を待つなんて奇跡だと思ったよ。」
「……そんな意地悪言う恭君には、絶対槍の雨を降らせてあげるんだから!」
どうやら俺の言葉に完全に堪忍袋の緒が切れたのか、俺に苦し紛れの文句を言って早歩きで一人行っていく奈々に苦笑いしてしまう。
(少し言い過ぎたな。)
先に行く奈々を追いかけるように走り、待つように声を描けようとすると奈々が突き当たりの横を見ていた。すると、突然手を振って見つけた人物に声を掛けた。
「日和ちゃ~ん!おはよ~。」
「道の真ん中で人の名前を大声で呼ばないで奈々!恥ずかしいから!」
登校途中の東花がいたようでその呼ばれた本人は羞恥心のためか奈々にダッシュで近づいて口を塞いだ。どうやらかなり恥ずかしかったみたいだ。
東花もまだまだだな。俺なんてこの十数年間ひたすらに呼ばれたので慣れているのだよ!……全然自慢にならねぇけどな。
そう言えば、登校途中に東花と出会うなんて入学式の日に会った時以来だな。今日は珍しいことばかり起こるな。
「あんたがいるってことはあいつもいるんじゃ……あ。」
どうやら俺を見つけたようでこっちを見たまま固まった。人を見てあってなんだよ。失礼じゃないか?
なんて言ったらリアルファイト確定なので言えない。出来るだけ平常に挨拶をして穏便に済まそう。
「おはよう東花。」
「……おはよう、恭也。」
東花の俺に対しての挨拶はいつも通りっと。別に今さらそのぶっきらぼうな態度を悪いとは思わないんだが、さて何を話すか。
「んん!んん~~!」
「あっ、ごめんなさい奈々!」
どうやら奈々の口を塞いでいたのを忘れていたようで、奈々の苦しそうな(実際苦しいと思うが)声で気づいたようだが。良かったな奈々、どうやらお前の死に場所は友達の腕の中じゃ無さそうだ。
「ぷはっ!もう~日和ちゃん酷いよ~!急に口を塞いでくるんだもん。恭君も気付いてたなら日和ちゃんに声かけてよ~」
「ごめんね奈々、わざとじゃないの。」
「ごめんな奈々、そろそろ声かけようと思ったんだ。」
「「……意地悪」」
奈々からまだ苦しいのか涙目を浮かべながら睨まれ、東花からはまるで腐ったミカンを見ているような目をされた。……東花さん、貴女の目が一番怖いです。
「うっ、奈々すまん。」
「もう!日和ちゃん、恭君なんて放っておいて先に学校行っちゃお!」
「ええ、そうね。こんな意地悪な人は放っておきましょう。」
「二人ともごめんって!ちょっと待ってくれよ!」
完全に二人だけで学校に行こうと歩き始めたので、急いで二人の後ろを追いかけた。
二人に追い付いたのだが、すでに二人の話に入ってるようで俺が入れるような話題が出てこなかった。流石学年トップレベルの成績上位者の二人だ。……はぁ、暇だ。
ダラダラと歩いていると校門が見えた。生徒が次々と入っていくなかで、一人見慣れた髪色をした生徒が歩いていた。あいつは……
「奈々、先に行ってるな」
「へ?恭君?」
奈々に一言声をかけてその人物に近付いた。どうやら俺の予想は当たっていたみたいだ。
「よっ、理央」
「あっ、おはよう恭也。珍しいね、ここで恭也と会うなんて。」
「まあ、今日は朝から色々あってな。」
理央の肩を軽く叩いて挨拶を交わした。うん、いつも通りに男に見えない容姿だ。そう言えば、噂じゃ理央のファンクラブがあるって聞いたことがあるらしい。
そして、そのファンクラブ全員が男らしいが、お前ら目を覚ませ!理央は容姿は抜群にいいが男なんだぞ!
「恭也、どうしたの急に黙って?」
「へ?ああ、いや別に。何でもねぇよ。」
「そう?ならいいけど。」
理央が下から俺の様子を伺おうと上目遣いをして下から覗いてきた。……今ならファンクラブの気持ちが分かった気がした。
はっ!いかんいかん、あいつは男だ!落ち着け俺!
「あっ、理央だったんだ!おはよう~」
「おはよう神埼さん。」
「あっ、奈々と東花さん。おはよう。」
後ろから来た奈々と東花も俺たちと合流した所で教室に向かい始めた。なんか久し振りだなこの光景。
「何だか四人で登校するなんて久し振りだね~。あの時は同じクラスって知って四人で教室に行ったんだよね。」
「そう言えばそうだったね。」
「そうね。」
どうやら三人も少なからず思い出しているようだ。確か、丁度去年の入学式当日だったよな。
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一年前
「ねぇねぇ恭君!私たち同じクラスだよね!」
「だから同じクラスだって何回言わせる気だよ。」
「だって嬉しいんだもん!」
同じクラスだからってはしゃぎすぎだろ。結局中学の時もずっと同じクラスだったし飽きないのかね。……俺はそっちの方が助かるんだがな。
奈々は東花高校に続く花道を嬉しそうに見ながらはしゃいでいた。……うん、頼むスカートをそんなに揺らさないでくれ。後ろからチラチラと見てはいけない物が見えてるから。
後ろから見えないように一歩下がって歩いていると後ろから大量の殺気を感じた。入学式早々から闇討ちされるんじゃないのか。
嫌な汗をかきながら校門を潜り本館の前に大きく紙が貼り出されており、クラスの場所が詳しく書かれていた。
どうやら一年は東館、二年は西館、そして三年が本館に教室がある仕組みか。どの館も三階建てにされているようで、体育館やプールは別途に建てられているようだ。
完全に学年を分けているのは俺からすれば覚えやすいため別に問題はないな。奈々は上級生と仲良くなれないとか言って愚痴を言っていた。
中学の時も上級生の女子に一番仲が良かったのも奈々だったな。まあ奈々の付き添いとして俺のこともかなり覚えられてたな。
俺達のクラスは、東館の二階の階段側のAクラスか……
「愚痴ばかり言わずに行くぞ奈々。」
「へ?あっ、待ってよ恭君!」
奈々を置いて教室に歩き始めた時に、急に俺の前に何かが飛び出して来た。驚いて足を止めると、後ろから走ってきた奈々が俺にぶつかって尻餅を着いた。
「いったぁ、もう急に止まるなんてどしたの恭君?」
「いや、急にこの子が俺の前に出てきたからさ。」
「へ?」
素早く立ち上がり奈々が横から俺と一緒に目の前の人物を見る。その子は奈々よりも小さく綺麗な長い銀髪で顔を隠すように俯いたまま立っていた。一瞬見惚れてしまった俺は首を振ってその子に話しかけた。後ろから奈々に睨まれているような気がするが今は無視しよう。
「えっと、どうかしたのか?」
「……」
「何か言ってくれれば力になれると思うぞ?」
「私も協力するよ?」
声をかけても返事が無かったので何かあったのかと思い、奈々と一緒にもう一度声をかけると一緒に声をかけた。
すると、その子は顔を思いっきり上げた。その顔は熟れた林檎のように真っ赤な顔をして目に涙を溜めていた。
「Aクラスはどこの教室か教えてもらってもいいですか!」
「「へ?」」
頑張って言った言葉の内容に拍子抜けしてしまい二人して間抜けな声をあげてしまった。その子が俺達の返事を聞いた瞬間に頭が煙が出るぐらいに顔を赤くして顔を手で隠しながら、全速力で学校から逃げようとしたので走り出す前に二人で肩を掴んで止めた。
「いや~!離して!恥ずかしくて死にそう!」
「ごめん、俺達が悪かった!それに全然恥ずかしくないって!」
「そうそう!私達もAクラスだから一緒に行こう!」
「尚更恥ずかしくて行けないよ~!私の学校生活終わった~!」
二人でなんとかその子が入学式当日から休まないように必死に引き留めていたが、その小さな身体のどこからそんな力があるんだというくらい強かった。
「じゃあ、友達になろう!」
「へ?」
何も思い浮かばず、がむしゃらに言った言葉にその子の抵抗が終わった。息を整えながらその子の顔を見ると、涙と鼻水に顔がぐしゃぐしゃになっていた。それでも絵になってるとかどんだけ美形なんだよ。
奈々?ああ、横で膝に手をついて息もするのも一杯な状態だ。現状何にも役にもたてない状況だな。
「今、友達になろうって言った?」
「ああ、友達なら恥ずかしいことでも話せるだろ?少なくとも俺はそう思ってる。」
「うん。そうかも……」
鼻を啜りながら先程の話をしてきた女の子に息を整えながら近付いていく。女の子として人前に見せちゃいけない顔をしてるな。
「まあ、その顔をこれで拭いたら友達ってことでいいか?」
ハンカチをポケットから取り出して手渡す。その時に触れた手はとても小さく感じた。
「あっ……うん!」
俺にとびっきりの笑顔を見せてくれてからハンカチで涙を拭いていた。……あっ、鼻まで咬むのか。いや、そのハンカチあげるよ…うん。
そんなことを話していると東館の方から誰かが走ってきた。……誰だ?
「貴方達Aクラスの三人ね!」
「あ、ああ。確かにAクラスだ。」
息を切らさず俺たちを睨みながら言ってきた女の子に答えると、怒鳴り声で返された。
「今何時だと思ってるの!入学式はもう始まってるわよ!」
……へ?
慌てて腕時計を見ると、針は9時10分を指していた。
「「「ああーーー!!!」」」
「早く行くわよ!」
「ま、待って~、まだ足が動かない~」
「そうだった!奈々じっとしてろよ!」
「あっ、置いていかないで!」
奈々を背負って四人で入学式が行われている体育館に走っていった。その日、東花高校で前代未聞の入学式に遅れるという黒歴史が生まれた。
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……うん、思い出してもいい思いでじゃないな。他の三人も思い出して思い思いの顔をしているようだ。理央だけは満更でもない顔をしていた。
思い出せば入学式から理央と友達になったんだよな、でもその時は東花も第一印象は悪かったが今のような対応じゃなかった。いつ頃だったかな。
「恭君、危ない!」
「へ?」ガンッ
奈々の声を聞いて顔を上げると運悪くドアに顔を思いっきりぶつけてしまった。痛みを堪えている俺を奈々は目を背けていて、東花は顔を背けて笑いを堪えていた。
理央はこっちを見て堂々と爆笑している。最初は何かいってやろうと思ったが、普段見せないぐらい笑われると逆に驚きが強すぎて怒る気が消えてしまった。
「ドアがあるから止まってって言おうとしたんだけど……遅かったね。」
「ああ、出来ればもう少し早く言ってくれると助かる。」
「いいのよ奈々、恭也が前を向いて歩いていないのが悪いのよ。」
「私も東花さんと同意見だよ。ちゃんと前を向いてないと駄目だよ?」
「うっ、すまん。」
自分の不甲斐なさを感じながら奈々にも感謝してから教室に入った。
はぁ、今日は悪い方向に運が行ってるな。出来ればこれ以上悪い方向に流れないでくれよ。
ドアを開けるといつも通りの男子からの嫉妬から来る視線が送られてきたのだが、今日はいつもより視線が強く感じた。な、なんだこの嫉妬の塊を投げつられてるような感覚は?
「「「この……リア充がぁ!!!」」」
「ああ、もう今日は厄日か!」
大量に襲ってきた男子から逃げるため奈々に鞄を渡して回れ右で全速力で走り出した。
「「「待てぇ!!!」」」
「待てるか!」
人には人生の内に何度か死にかけることがあるとテレビで聞いたことがある。普通の日常生活を送っていればそんなことはないだろうと思って親身に話を聞かなかったが、どうやらその時の話は当たっていたみたいだ。
それは、午前の授業が終わった直後にスピーカーから流れ始めた。
「聞け!俺たちは銃士団!この東花高校を占拠した!誰一人逃げられないと思え!」
人生初の事件に巻き込まれた瞬間だった。




