救いようのない話
― 1 ―
「おはよう。昨日はちゃんと寝られた? 眠たそうだよ」
朝の挨拶。
「こんにちは。今日は日差しが強いね。顔色が悪そうだよ」
昼の挨拶。
「こんばんわ。まだこんな時間なのに、もう寝ちゃっているんだ」
夜の挨拶。
これがジャックチョップの、一日における生首への言葉である。
そいて今宵もまた。
「おやすみ。また明日」
― 2 ―
スプーキーは怖い妄想が大好きな男の子。
頭の中にあるのは、お化けや怪物、化け物のことばかり。
ある日、火を噴く怪物が彼の頭の中から出て来てこういった。
「家にいる親も兄妹も家族を全員殺せ。さもなくば、焼き殺して食べてやる」
当然それをスプーキーは断りました。
「しかたない。だったらこうしてやる」
そういって、怪物はスプーキーを火だるまにしました。
火を消そうと近所の溜池にとびこんだけど、哀れスプーキー。
そのまま溺れて死んじゃった。
人知れず家族を守って死んだスプーキーだけど、そんなことだあれも知らない。
だってその日彼は、熱にうなされていたんだもの。
― 3 ―
コーンが大好きのポッピー。
いつもコーンばかり啄んでいる。
ある日、ポッピーは沢山沢山コーンを平らげた。
ついでにバターもペロリと食べた。
お腹がいっぱいで眠くなったら、今度はあっつあつの太陽の下で日向ぼっこ。
ポンポンポーンとコーンが弾けてお腹の中でポップコーンができちゃった。
お腹に一杯のポップコーンで、これにはポッピー大満足。
破裂して、最後は羽だけ残して消えちゃった。
― 4 ―
悪ガキのマーチンは家出した。
だけども、直ぐにお家に帰ってきた。
次の日も、帰ってきた。
また次の日も、帰ってきた。
そのまた次の日も、帰って来た。
毎日毎日、マーチンは家に帰ってきた。
そして一番最後に、指が帰ってきた。
これで無事に帰れたね。




