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Fairy Earth  作者:
2/3

第二話「Lost and Awakeing"HERO"」

第二話です。

長らくお待たせしました。

 人類が逃亡の歴史を始めてから、一年が経った。最強の生物、フェアリー。彼らの反逆は人類にとってあまりにも予定外な出来事であり、そして同時に、抗うことのできない最悪の脅威だったのであろう。わずか一ヶ月で、人類の既存の社会システムは破壊された。人類の数も半分以下にまで減らされ、人類は世界各国に存在する防衛都市に点々と隠れ住む毎日を送ることを余儀なくされている始末だ。いまや地球の覇権はフェアリーのものであり、このままでは人類が完全に滅ぶのも時間の問題であろう。

 そんな状況下。

 翠蘭と紅葉は、つかの間の休息を取っているかと思いきや、そんなことは全然なく。日夜フェアリーについての対策会議に引っ張り出されていた。


「──では。これにて、今日の対策会議を終了とします。皆さんお疲れ様でした」


 そうして今日の対策会議が終わる。

 進行役の人に続いて皆でそろって締めの挨拶をすると、それぞれ思い思いのペースで帰り仕度を始める。軽いざわつきの中を抜け出し、会議室の外へと出ると、対策会議の進行役である村上彰(むらかみ あきら)が翠蘭達へと話しかけてきた。


「いやー、いつもすまないねえ」


「いえいえ、別にかまいませんよ。フェアリーに対して何も対策を講じないわけにはいけませんから。ね? 翠蘭」


「ん、ああ。そうだな……」


 疲労の蓄積からくる眠気のせいか多少吃りながらも、紅葉の言ったことに対して賛同する翠蘭。

 確かに何とかしないとな……、もうあれから一年だし。

 歩きながら一人考え込み始める翠蘭に気づいているのかいないのか、村上は苦笑いを浮かべながら話を続ける。


「まあ、そうなんだけどね……。君たちのような若い人にまで頼っておきながら、大した進展がないのはどうも、ね」


 そう言うと、掛けている黒縁の眼鏡を人差し指で軽く上げなおして、目を閉じながら茶髪を短く切り揃えた頭を軽く左右に振る村上。


「あんまり気にするな、彰。こいつらはお前が思っているよりしっかりしてるさ」


 背後からの声に軽く驚いて振り向くと、こちらへと歩いてくる一人の人物が三人の視界に入った。

 180cmを超える身長に、適度に筋肉のついた鍛えられた体躯。その長めの黒髪はうなじの付近で──軽い装飾の入ったリングにより──一本結びに括られており、サングラスで隠されたその蒼眼からは多少きつい印象を受ける。

 六年前に起きた御剣革命の英雄、御剣天也である。

 三人がいた廊下にざわめきが起こるが、村上がそれを鎮める。


「よう、久しぶりだな。元気にしてたか?」


 そう声をかける天也に対して、真っ先に反応を返したのは紅葉であった。


「お久しぶりです天也さん。ご無事のようで何よりです」


 少なからず興奮しているのだろう、その長い銀髪を揺らしながら勢いよく喋りかけ、お辞儀をする紅葉。

 それに対して天也は、少しニヤリとしながら機嫌良さげに返した。


「おう、別にお兄さんって呼んでくれても構わないんだぜ? ……うん、翠蘭も元気みたいだな」


 ──お兄さんだなんて……いい響き。ああ、結婚はいつかしら。

 天也の返答を受けて、悶えている紅葉を脇に、翠蘭の頭に手を置く天也。

 そのままワシワシと翠蘭の頭を力強くなでる。


「ちょっ、やめてくれよ兄貴。元気なのはわかっただろう?」


 恥ずかしそうに頭上の手を払いのけながら、ぶっきらぼうに応える翠蘭。一見嫌がっているようでいても大した文句を言わない辺り、やはり翠蘭も天也に会えたのが嬉しいのだろう。

 その様子を見た天也がハッハッハと笑っていると、今まで黙って見ていた村上が彼に話しかけてきた。


「しかし久しぶりだな、天也。だいたい一年振りくらいか?」


「ああ、東京の本部には長いこといたしな。まあだいたい、十一ヶ月くらいだろう」


 そう、実は天也はしばらくの間この都市「新横浜市」から離れ、フェアリー対策機関「超級危険生物対策機構──アマテラス──」の本部が存在する、第一級極東防衛都市「東京」に滞在していた。理由は、昨年五月──フェアリーが人類への侵攻を開始してから約一ヶ月の時──にアマテラスに呼び出されたからである。案件はもちろん、フェアリーへの対抗方法についてである。フェアリーをどうにかしないことには人類の未来は存在しないのだから、当然のことと言えるだろう。

 これは一般にはあまり伝わっていないが、実はフェアリーに対する専門対策機関では無いのだ。アマテラスとはもともと、環境の異常変化に対応した生物が人間に害をなさないように対処するための組織であった。発足したのは、遥かな昔。第三次世界大戦から約一年後のことである。だが、アマテラスが有効に活躍できたのはそれこそ最初の100年程だけであり、それから後は徐々に役割を失っていき、ただ形だけ存在するかのような組織になっていった。これは、諸外国にある同様の目的の組織も同様である。理由は実に簡単、対処するべき対象がいなくなったからである。フェアリーが戦争に使用されていた150年間に、地球上では様々な新種の生物が誕生していた。少人数でも対処できる程度のものから、それこそ国家を滅亡させかねない規模のものまで。大戦が終結してからも、人類は新たな脅威に脅かされつずけていた。だがそれらの化物達は、フェアリーが無力化され幽閉したことを境に徐々に地球上から消え始めた。人間が討伐したわけではない。まるで彼らの存在そのものが幻想であったかのように。彼らは姿を消していった。そうして戦争終結から二年もするころには、アマテラスが対処すべきような生物は殆んどいなくなったのだ。それは人類にとって喜ばしいことであったが、フェアリーの存在によって引き起こされた第三次世界大戦という例がある以上、警戒を完全に無くすわけにはいかなかった。そうしてアマテラスは現在まで存続することになったのだ。


「……それで、どうだったんだ? 本部の対策会議は」


 体の向きを変え、天也の眼をまっすぐに見つめる村上。

 話の空気が変わったのに気づいたのだろう。天也もまた、そのサングラス越しの双眸を村上に向けなおし、真面目な顔で彼の言葉に応えた。


「……悪くは無い、って辺りだな。いまだ情勢は圧倒的に厳しいとはいえ、奴等に対抗する手段ができた」


「それは、本当のことか?」


 天也は応えない。だがその代わりに、いまだ眼を合わせたままである村上に対して挑発的な視線を向ける。

 さあ、考えてみろ。お前なら分かるはずだ。

 そう言いたげな天也の眼差し。

 考える村上。これは、天也が親しい間柄の相手に対して時々仕掛ける一種の遊びである。「人は考えることをやめてしまってはいけない。ずるずると堕ちていき、最後には何も考えなくなる。人間は、満足した豚ではなく、不満足なソクラテスであるべきなんだよ」とは彼の考えであり、古代に存在したと言われる一人の賢人から引用した言葉でもある。彼は昔からこの考えに基づいて行動しており、長い付き合いである翠蘭や村上は勿論、付き合いのそこまで長くない紅葉とまで──どうやら妙に気が合うらしい──やったことがある程である。

 考えることおよそ数秒。村上は結論を出した。


「……どうやら本当のようだな。ここで嘘を吐く必要は無いし、それにその眼は嘘を吐いてるような眼じゃない」


 天也はその村上の言葉を受けて安心したような溜息を吐き、再び村上に対して笑顔を向けた。そしてそれと同時に言葉を紡ぐ。

 サングラスのせいで分かりにくいが、その笑顔は今までのようなどこか斜に構えたような印象を他者に与えかねないようなものでなく、おそらくあまり親しくない人間が見ても、心からの笑みだと分かるものであった。


「なら、今日はゆっくりするといいさ。今日の会議はもう終わったし、お前も戻ってきたばかりで疲れているだろう」


「ああ、そうさせてもらうよ」


 ──もう本部の爺さんたちの相手は懲り懲りだ。

 村上の言葉を受けた天也はそんな言葉を吐き出し、溜め息を吐く。そうして肩を竦めると、おどけた様に笑うのであった。

 自然とお互いに顔を見合わせ、苦笑する二人。


「ん? もうこんな時間か……。天也、俺は次の用事があるからそろそろ行くが」


 時計を確認して、天也に視線を向け直して尋る村上。

 ──スマンな。久しぶりに有ったというのに。

 それに対して、気にするなと返す天也。このご時勢、忙しいのはお互い様だしな、と。


「まあ、俺は家に帰るかな。ほら、翠蘭、紅葉。行こうぜ?」


 そう二人に声を掛け、村上に向かって手を挙げる天也。彼もそれを見て、何をしようとしているのか察したのだろう。

 お互いに無言で歩み寄り、手を挙げる。

 すれ違う体、ぶつかり合う二人の手。

 ──あばよ、親友。

 心地よい音が響き、二人は逆方向に進む。

 久しぶりに会った親友同士の、友好の証であった。


「行きましょう? 翠蘭」


「おう」


 天也の後を追いかける二人。

 遠巻きに見ていた野次馬ですっかり人が多くなっていたが、天也が通してくれと言うと、海が割れるかの如く道ができた。

 天也は笑いながらその中を通ったが、翠蘭は正直心の中で呆れていたのは誰も知ることのないことである。

 その翠蘭にしても、天也ならば仕方ないだろうと考えているのだから、やはり天也のカリスマ性は凄まじいものがあるだろう。

 それもこれも、六年前の御剣革命からである。

 ──御剣革命。それは、現代に起きた最も身近な革命。その内容は、当時の朝鮮半島全域を支配していたアセキアという独裁国家に対して行われた"自由を勝ち取るための闘争"である。酷く劣悪な独裁政治の状況に対する、住民達の反乱。主導者は、天也の父である御剣焔天(えんてん)であった。

 彼はその地の生まれでも無ければ、アセキアの住人でもなかった。彼は生粋の日本人であり、アセキアには仕事で赴いただけであった。

 だが、彼には大きすぎる正義感があった。ただの一人が憤ったところで国を変えることはできないと、一時は諦めようともした。

 だが、彼は優しすぎた。圧政に喘ぐ国民の声を無視することなど出来なかった。

 彼は、秘密裏に国内の不満分子を纏め、その話を聞いた。さらに政府の高官とも話をした上で、平和的解決を図ろうとした。

 平和的解決が無理だと理解した時、彼の目的は新政権の樹立となったのだ。

 そこからの彼の行動は極めて迅速であった。一時的なリーダーとしてアセキア国内の反乱分子を率いて、クーデターを実行し、それを成功する後一歩のところまで辿りついたのだ。

 だが、現実は甘くはなかった。反乱は戦乱へと繋がり、戦線は硬直した。アセキア政府に対する他国の支援はないものの、反乱軍に対する支援もなかった。メリットとデメリットを考えた結果、日本も援助を行うことはできなかった。

 多数の死者が出た。抗戦状態が長引くことで、革命軍は徐々に劣勢を強いられるようになっていった。

 彼らは懸命に抗ったが、量の差を士気の差で覆すことは不可能であった。

 泥沼化する状況。そうして決定的な事件が起きた。

 指揮官である焔天を襲った凶弾。彼は戦乱の中で重症を負い、革命軍はその昨日を著しく落とした。もともと焔天のカリスマによって纏まりが成り立っていたのである。彼が動けないとなれば、そうなるのは必然であったと言えよう。

 治療の甲斐も無く、焔天はそのまま命を落とすこととなった。

 混乱の中でそのまま潰れていくかのように思われた革命軍。リーダーの力では混乱を収拾しきることはできなく、誰もが革命の失敗を予想した。

 だが、そこである一人の人物が立ち上がった。焔天の息子、御剣天也である。父の遺言に従い、彼は革命軍を再び纏め上げた。当時15歳にして、既に持ち前の天才的な戦闘の才能を発揮し、持ち前の実力と父以上のカリスマ性で軍を率いたのである。

 そうして革命は成功した。前国王は戦火の中で死に、新政権が樹立されたのである。

 天也は新政権に参加することはなかった。希望の声は多く上がったが、本人が辞退したのである。曰く、「私はこの国の人間ではありません。前政権のような悲劇を招かない為にも、この国は成長しなければならないでしょう。そこにこの私が入る隙間はありませんし、あってはならないのです」とのこと。

 彼はそのまま前線を退き、日本に戻って日本軍に入隊した。そうして、一年前まで故郷で穏やかに過ごしていたらしい。

 その特殊な経歴のため人からいい反応はされなかったが、彼の持ち前の人徳によって、誤解は徐々に解けていき、最終的には受け入れられたのである。

 まあ、一年前からは穏やかに過ごすことなどできなかったわけであるが。


「ふう、相変わらず兄貴は人気だな」


 ──おかげで随分と快適だったよ。

 廊下を通り過ぎて建物の外に出ると、皮肉ったようにそう言う翠蘭。

 疲れた上にあの人ごみは、そうとう応えたようである。


「まあそう言うな、数日もすれば静かになるだろう。」


 軽く笑いながらそう答える天也。

 街中を歩きながら、翠蘭と会話を続ける。


「それより、今日はゆっくり休もうぜ?」


 ──俺もお前らも疲れてるだろうしな。

 確かにその通りであった。天也は東京から戻ってきたばかりであるし、翠蘭は日頃の会議の疲れが溜まっているのだから。


「えー、せっかくだから遊びましょうよー。"このコメ"シリーズの最新刊とか、話し合いません?」


 不満げに頬を膨らませて、そう主張する紅葉。

 このコメとは、『このコメディ作品が面白くないはずがない』という、現代屈指の総合作家「水田米太郎」が作成している一連の小説のシリーズである。読者の予想斜め上を行く展開と天才的なギャグのセンスによって人気の作品であり、天也が好きな作品である。

 これには、天也が紅葉に薦めたところ彼女も相当気に入って、一晩中話し合っていたという事件もあったほどである。

 ちなみに、翠蘭が堪えきれず途中から見事に寝ていたのは余談である。


「まあ後でな、なんだったら明日の会議が終わってからにしようぜ。たぶん、明日は早く終わるからな」


 天也がそう言い返すと、絶対ですよ? と天也に念を押す紅葉。

 その様子は夕日に照らされることで、さらに彼女の可愛らしさを惹きたてる。


「おう。まあ明日まで待ってくれ」


 そう返す天也。その顔に焦りが生まれないのは、年長者としての余裕か、それとも持ち帰ってきた情報がそれほどのものなのか。もしくは、その両方か。

 紅葉の頭に手を乗せ、ぽんぽんと叩く。

 嬉しそうな笑顔を浮かべる紅葉。そうしてその手からするりと抜け出し、少し後方を歩いていた翠蘭に絡みつく。

 右腕を絡ませ、そのままべったりと寄りかかろうとする。まあ案の定、それを鬱陶しがる翠蘭に片手で止められているのであるが。


「恥ずかしがらなくてもいいじゃない。私たちの仲でしょ?」


 ぶーぶーと文句を言いながら翠蘭に尋ねる紅葉。

 確かに今話してるのはこの三人だけであり、身内と言っても問題ないほどの親密な関係である。が、しかし。ここは道中、延いては夕方の街中である。故に、少なからず周囲に人がいるのは当然のことであろう。

 人前でベタベタすることを、翠蘭はあまり好まないのである。


「分かったよ。家に帰ったら、な」


 そう返し、歩きにくいと自分の体から紅葉を引き剥がす翠蘭。

 紅葉も特にそれに反発することはなく、そのまま翠蘭と天也の間に収まって歩く。

 その様子が微笑ましかったのだろう。笑う天也。

 そうして笑いながら話しているうちに、家へと到着した三人。

 目の前にあるのは、立派な一軒家。二階建てであり、けっこうな大きさを持つ上に庭まである。

 天也の家であり、一年前の襲撃から翠蘭と紅葉が暮らしていた家でもある。本来はもっと大きな家になる予定であったが、天也が「あまり大きすぎると落ち着かない」と言って抑えさせたものである。

 言葉通りの意味でもあるが、あまり大きすぎると付近の住民に迷惑をかけるだろうとの配慮の結果でもある。


「さ、入って休もうぜ」


 ──ところで、俺がいない間に散らかしてはないよな?

 ──大丈夫だって。まあ、紅葉はどうか知らないがな。

 ──ちょっ、翠蘭ばらさないでよ。

 等と。

 三人で談笑しながら屋内へと入る。

 その夜は久しぶりに、三人として穏やかな時間が過ぎていった。

 そうしてその翌日。早朝、フェアリーの対策会議室にて。


「──さて。では、これから皆さんにはとある資料を見ていただきたい」


 モニターの前に立つ天也がそう言い、持っていた黒いマジックペンで傍らのホワイトボードをこつんと叩く。

 その声に合わせてモニターの横に備えている女性がパソコンを操作し、モニターに一枚の画像が表示される。

 それは、さながら医学か何かに用いられる解説図のような画像であった。左側には人体のような黒塗りのシルエットが、右側にはいくつかのまとまった文章が書かれていた。


「これは東京の対策本部で行ってきた会議の内容を、俺なりにわかりやすくまとめた画像だ。今回はこの画像を中心に話していきたいと思う。

 まず……」


 そう言いながらペンのキャップを外し、ホワイトボードに①と書き込む。それと同時にパソコンが操作され、文章の一部に赤い下線が引かれる。


「これはフェアリーを模したシルエットだ。そうして、周知の通り、こいつには既存のどんな攻撃も通じない」


 ホワイトボードに「通常攻撃」と書き書き込み、それをその上から大きく×で搔き消す。

 黒いペンを手元の机に置き、換わりに赤いペンをその手に持つ。


「だが」


 ペンのキャップを外し、


「なんと、このフェアリーにダメージを与えることの可能な物質を発見することに成功した! それが、これだ」


 力強く手元の机を叩き、赤いペンでホワイトボードに②「神秘」と書き込む。

 それをぐるぐると何重にも線で囲みながら、説明を続ける天也。


「この、神秘という物質だが、この物質は既存のどんな物質とも異なる構成を持つ。これが有機物なのか無機物なのか、生物なのか無生物なのか、それすらも今の人類の科学力では判明できていない」


 「神秘」という文字の上に、大きくクエスチョンマークを書く。


「ただ、これだけは確定している」


 言いながら、ホワイトボードに次々と書き込んでいく。

 「世界中のどこにでも存在」「極めて微量」「通常は粒子状」「フェアリーに有効」「生まれつき神秘を宿した能力者」などなど。

 このように約十数の事柄を書き込んだ上で、その場にいた数十名の聴衆をぐるりと見渡す。


「──という訳だ。俺の発表は以上となるが、後ほど詳しい資料を配布するので、そちらを確認してほしい」


 そう言い渡し、一礼する天也。

 張り詰めていた緊張と静寂が切れ、対策会議室に歓声が溢れる。


「いやしかし、これは凄いな……」


 いっきに慌しくなった室内を、部屋の隅から眺め呟く翠蘭。

 今回の報告は翠蘭にとっても非常に重要で興味深いものではあるが、いかんせん細かい部分にはついていけない。

 紅葉なんかは目を輝かせるかとおう程の勢いで興味深そうに聞いている。が、いくら彼女でも理解はしきれていないだろう。

 その辺りは自分たちの役目じゃない。

 研究は学者にでも任せておけばいい。俺たちの役目は、フェアリーの対処だ。

 ──二度とあんな悲劇は、目の前で起こさせはしない。


「どうだ? 凄い情報だろ」


 発表が終わった天也が、ボトルで飲み物を飲みながら、翠蘭に話しかける。

 その顔はどことなく自慢気であるが、これほどの情報であるならばそれも納得であろう。

 これは、まさしく人類を救うかもしれない情報。

 もしこれがもう少し落ち着いた状況であれば、発見者は賞の一つや二つは軽いだろう。

 そして今必要なのは、この情報を活用すること。

 それが必要なのは戦闘のプロ。つまりは軍隊である。


「そうですね。これで少しは人類も楽になってくれればいいですが」


 ほんの少し苦笑しながらも、素直にそう返す翠蘭。

 テンションの上がってる紅葉を二人で眺めながら、二人で今回の情報について話していると、二人に近づいてくる人物がいた。


「やぁ、お疲れ」


 それは村上であった。

 いつもの白衣姿でありながら、しかしいつもより笑顔が見える。

 何か言いたげなのを察し、紅葉を引っ張ってくる翠蘭。


「あぁ、すまないね。

 まずは。お疲れ様、天也。この情報はあんまり凄すぎてね、しばらくは対策会議を開くことはできなさそうだ。

 そこで、君たち三人に五日間の休暇を与えたいと思う。日頃の疲れもあるだろうし、ゆっくり休んでくれ」


 苦笑しながらそう三人に告げる村上。

 その内容は天也が予想した通りのものであり、彼はこっそり後ろ手で翠蘭と紅葉に対してVサインを作っていた。

 その後は適度に挨拶をして自宅へ帰っていったわけだが、その帰り道にて紅葉が笑顔で騒がしかったのは言うまでもないだろう。

 そうして五日間の休暇を三人で楽しみ、その後通常の日々に戻ってから一週間が経った。




       ◆





「皆、よく来てくれたな!」


 天也が嬉しそうに喋る。

 その先にいたのは、たくさんの人であった。それもただの人ではない。

 彼らは鍛えられた集団。戦闘のプロフェッショナル、軍隊である。

 500名ほどが綺麗に整列しているが、その中の一人がスッと前に歩み出る。

 三歩ほど前に出た後に、ぴたりと静止し、敬礼の姿勢を取る。


「地球復興軍極東支部第一部隊隊長、朝霧です。この度は、此処新横浜市の守護の任を受けて東京より参りました所存です!」


 声を張り上げる若い男性。

 どうやら隊長格らしく、この場における代表として挨拶をしていた。

 それに天也が応える。


「承知した。貴官には追って連絡をする故、今一先ずはこちらの村上殿の命令に従ってもらいたい」


「新横浜市フェアリー対策室室長の、村上だ。よろしくお願いするよ」


 天也に紹介を受けた村上が続く。


「ハッ、承知致しました! 村上殿、よろしくお願いします」


 隊長の男性が村上と話し始める。

 そうして、それを少し離れた場所で眺めている影が二つ。そう、翠蘭と紅葉である。

 二人でなにやらごしょごしょと話している。

 ──はー、天也さんってやっぱり凄いのね。

 ──だな。しかし俺ら場違いじゃね。

 ──大丈夫よ、たぶん。……ってあれ、誰か近づいてきたわ。


「Hey、ちびっ子たち。元気かい?」


 その人物は、一言で言えば「デカかった」。

 190を軽く越しているであろう長身。

 筋骨隆々とした体格。

 禿げ上がった頭。

 なんだかよくわからないが、とにかく存在感のでかい男の出現にびくっとする二人。


「ガッハッハ、そんなに怯えんなよ! リラックスしようぜリラックスを」


 そんな二人の様子を笑い飛ばす男。

 とりあえず怖い人ではなさそうだと判断した翠蘭が、話をしてみようとする。


「あのー、すいません誰でしょうか?」


「誰だとは挨拶じゃねえか。OKオレの名前を教えてやる。

 オレの名前はマーク・デイビス。マッチョなナイスガイとはオレのことだぜ!」


 そう言いながら、謎のポーズを取り始めるマーク。

 笑顔が眩しい。

 反応に困り愛想笑いをするしかない翠蘭であったが、そこに新たな声が聞こえてくる。


「おいおいマーク、何やってんだ。子供を怯えさせてじゃねえよ」


 マークの後ろから響いてくる気さくな声。

 マークが身を逸らすと、そこにいたのは翠蘭より多少大きい程度の、赤髪の青年であった。

 飄々とした雰囲気を漂わせており、一見軽く見えるが隙はない。

 例えるなら、地面に刺された抜き身の刀。

 そこに塚はなく、真なる者にのみ忠義を尽くす。


「あぁ、すまないな君達。うちの馬鹿が迷惑をかけた」


 そう言ってほんの少し頭を下げる男性。

 隣で、馬鹿とはなんだ馬鹿とは、とマークが騒いでいるのは無視の方向で進めるらしい。

 しかし、と前置きして続けるのは疑問である。


「なんだって君たちはこんな所に? 関係者には見えないが……」


 実にもっともな疑問であり、むしろマークがそれを質問しなかったのが不思議である。

 翠蘭がそれに答えようとするが、それを遮るかのように別の声が挟まる。


「そいつらは、まあ俺の弟だと思ってくれ。それとその彼女だな。

 こう見えてフェアリー対策にはかなり貢献してるんだから、あんまり苛めんなよ?」


 そんな言葉と共に、にこやかな笑顔を浮かべながら天也が歩いてくる。

 その場の二人が、敬礼をしようとするのを手で止めながら、翠蘭と紅葉に話しかける。


「こいつらは俺の部下で、マークとアーサーだ。まあ見ての通り賑やかな連中だが、仲良くしてやってくれ」


「うん、わかってる。これから一緒にこの町で過ごすことになるんだろう?」


 確認の意味も込めて天也にそう返す翠蘭。

 それに肯定の頷きで返す天也。そうしてそのままマーク達の方に向き直り、話しかける。


「お前らも、お疲れ。残りのメンバーはちゃんと東京で大人しくしてたか?」


「それは大丈夫です、ボス。まあ、また後で追って伝える必要はありそうですが。

 ところで、これからの行動ですが」


「ああ、とりあえずは晴香に従ってくれ。お前らの居住地は既に決定してるから、そこに案内されるだろう」


「了解です」


 そのまま会話を続ける天也とアーサー。

 それを側で眺めていた翠蘭であったが、ふと気になって後ろを振り返って見る。

 ──ぬぅ、嬢ちゃんなかなかやるじゃねえか。

 ──マークこそ、私とここまで渡り合うとは。なかなかの強さじゃない。

 ──そいつはどうも。だが、最後に勝つのは俺だ……!

 何故か紅葉とマークがじゃんけんをしていた。

 しかも白熱した勝負で、二人とも熱中している。


「ちょっと──」


 ──しかし、話しかけようとしたその声は銃声によって唐突に遮られる。

 ざわざわと空気が震える。

 どうやら軍の後列で何かがあったらしい。

 天也とアーサーが頷きあい、アーサーが後列へと走っていく。

 何があったのだろうか。

 一年前のことがあるだけに、思わず顔がこわばる翠蘭。紅葉もそれを察したのだろう。手をぎゅっと握り、翠蘭に寄り添う。

 一分と少しがたっただろうか、アーサーが戻ってくる。

 息をほとんど乱していないが、その顔色は芳しくない。


「何があった」


「……列の後方にて、複数のフェアリーが確認されました。数は十ほどで、中にはあの"狂者(ザ・フール)"もいます!」


「────」


 誰かの。

 息を飲む音が聞こえた。

 誰のものかはわからない。もしかしったら皆がそうだったのかもしれない。しかし、それは間違いでない。

 そう断言できるほど。

 その時確かに空気が凍ったかのようであった。


「アーサーは村上にこのことを伝えに! マークは抗戦の準備を!

 俺は皆を静めに向かう! 二人は安全をとって後方で待機していてくれ」


 すぐさま、天也の的確な指示が飛ぶ。

 流石は軍人というべきだろうか。この事態に直面してもなお、自らがやるべきことは頭に染み付いている。

 その指示に従って動く四人。

 翠蘭と紅葉は、安全な場所まで後退して遠さがったが、その内面は酷いものであった。

 紅葉はどうかわからないが、翠蘭は一年前を思い出して、脂汗が噴き出している有様である。

 走って乱れた息を整わせる。その背中には紅葉の手があり、その影響かなんとか気持ちを落ち着かせることができているようだ。


「……すまないな。もう大丈夫だ」


 そう言って、紅葉の手を優しく払う。

 そのまま背を伸ばし、あたりを見渡す翠蘭。

 町のはずれ、普段は穏やかな雰囲気で覆われている市民広場。しかし今は、さながら地獄のごとき混乱の場であった。

 天也の指示があったとはいえ、突然現れた死の恐怖に怯え戸惑う人々。

 さらに、町の人々が各々バラバラに避難しているのだ。

 とてもでないが、統制は不可能だろう。


「ここも、ああなるのか……?」


「いいや、そうはさせない。そのための俺たちだ」


 そう言いながら、いつのまにか戻ってきていた天也が翠蘭の肩に手を置く。


「そう、だな。……うん、ここで諦めるわけにはいかない」


「天也さん、私たちの役目はなんですか?」


 紅葉が問い詰める。

 天也はどう喋ろうか迷っているようであったが、紅葉と翠蘭の目を見て決心したようで次のように答えた。


「紅葉は俺たちと一緒にフェアリーの対処にあたってくれ。ただし、無茶はするな。翠蘭はここで──」


「ボス、前線が突破されました! 間もなくこちらにも来ます!」


 翠蘭にも何かを伝えようとした天也であったが、そこにアーサーが飛び込んでくる。


「チッ、イカレてやがるぜ。

 二人とも、今聞いた通りだ! いいか、死なないことを前提に動け!」




       ◆





 風が吹き、砂が舞い上がる。

 周囲の喧騒の中、今この場所だけは不気味なまでに静かであった。

 前方の人の群れが不自然に開け。

 そこから、四体の悪魔が歩いてくる。


「来やがったな……!」


 その人型の怪物は、不気味に笑い。

 ──ニヤリ、と口角を吊り上げた。


「さあ来いよ!」


 一体のフェアリーが、天也に向かって飛び掛る。

 紅葉に宿る能力を感づいているのだろうか。残りの三体は、紅葉と翠蘭の方へ。


「翠蘭は私の後ろに。大丈夫よ、私の強さは知ってるでしょう?」


 そう言い放ち、庇うように前に一歩出る紅葉。

 それに納得はできないが、事実その通りなので反論できず後ろに下がる翠蘭。

 好戦的な笑みを浮かべる紅葉。


「zi……gyiaaaaaaaa!」


 叫ぶ怪物。

 襲うは三体の化物。

 応対するは、一人の少女。


「──ッ」


 飛び掛ってきた一体の腕を受け流す。

 そうして走りかかってきたもう一体のフェアリーに向けて先程のフェアリーをぶつけ、二人纏めて回し蹴りで蹴り飛ばす。

 さらに残りの一体に虹色の光弾を浴びせ、吹き飛ばす。


「ふ、ぅ」


 そこで初めて一息つく紅葉。

 その流れるような動作を、翠蘭は驚愕の意で眺めていた。

 まるで芸術かのように三体ものフェアリーを吹き飛ばした紅葉。

 強いということは知っていたが、まさかここまでとは。

 実際、翠蘭が紅葉の能力を間近で見るのはこれが二回目であった。

 一回目は、一年前のあの校舎で。二回目は、今ここで。

 紅葉に生まれつき宿っていたというこの能力。どうやら家系が関わっているらしいが、翠蘭はそのことを知らされていなかった。

 ──凄い。これが紅葉の強さ……!


「……やっぱり、今のじゃ大して効いてないかぁ」


 立ち上がるフェアリー。

 その顔は怒りに満ちている。

 自分より格下である人間ごときにいいように吹き飛ばされたのが耐えられなかったのだろう。


「これで単調になってくれればいいんだけ、どッ!」


 言い終わらないうちにフェアリーが再び襲い掛かってくる。

 先程までよりも苛烈に、特大の殺意を込めて。

 しかも、紅葉が先程言ったように単調になるのでもない。

 むしろ、最初に襲い掛かった時よりも精密さを増していた。

 それを先程までのように捌く紅葉。

 まるでそれは型の決められた演舞のように。

 一種の美しさを持った一進一退の攻防は、そのままずっと続くかのように思われた。

 しかし、その均衡は数十秒の後に唐突に崩れ去る。

 不安定な足場故か、紅葉が足元のバランスを崩す。

 その隙をフェアリーが見逃すはずもなく。


「ッ、あァ──」


 腹部に一撃をもらってしまい、紅葉が吹き飛ばされる。

 エネルギーをとっさにためて防御したらしく、本来なら穴が開いているのを回避できた。

 しかし、その拍子に地面に頭をぶつけてしまい、血を流して気を失う。


「紅葉ッ!」


 その様子を見てとっさに駆けつける翠蘭。

 二人とも潰そうとフェアリーがそこに向かおうとするが、突如として相手の足元に砲撃が放たれる。


「大丈夫か二人とも!」


 見上げると、その砲撃を放った人影はアーサーであった。

 突然、二人の体が持ち上げられる。

 フェアリーかと警戒する翠蘭であったが、目の前にあったのは筋肉。

 そう、マークであった。


「お前ら! 何故こっちに来た!」


 その様子を見て、天也が駆けつける。

 能力を持たない身ではあるが、どうやらフェアリー相手に上手く戦っていたようだ。

 その声には怒りが含まれている。

 ひとまず後退する五人。


「ボス、周りを見てください。もう軍は壊滅状態、ボロボロです」


 そう言われて天也が辺りを見回すと、それは惨々であった。

 たくさんの人間だったものが転がっている。

 それを見て冷静になったのだろう、天也がアーサーに謝る。


「そうか……いやすまない二人とも。よくこっちに来てくれた」


 そう言い、翠蘭に向き直る。


「いいか翠蘭、お前は逃げろ。紅葉を連れて二人でここから逃げるんだ」


「けど兄貴、それは……!」


 その言葉を聞き、思わず言い返す翠蘭。

 天也が言っているのはもっともなことであり、ここで逃げても誰も二人を責めることはないだろう。

 このままここに留まっていては、翠蘭は間違いなく死ぬだろう。それに、紅葉は気絶しているのだ。

 しかし。


「いいか、紅葉と二人で東京にいけ。そうすればなんとかなるだろう」


 そう言って翠蘭の肩に手を置く天也の顔はとても穏やかで。

 ここで別れたら二度と会えない。

 そんな思いが翠蘭の胸をしめつける。

 これが今生の別れだなんて嫌だ。また自分は、親しい人を失わなければいけないのか。


「生きろ翠蘭。ここは俺に任せて、お前は先に行くんだ」


 その天也の目には、有無を言わせぬ力強さがあった。

 それで翠蘭もようやく納得したのだろう。

 後ろを向き、一言だけ告げる。


「……わかったよ。──兄貴も後で」


「ああ。──サヨナラだ、兄弟」


 その言葉を皮切りに、翠蘭は紅葉を背負って走り去っていく。

 わき目も振らず、一心に。

 天也たちとの距離は離れ。

 そのうち、もう完全に見えなくなった。

 不思議と涙は出なかった。

 しかし、心には何か大きな穴が空いたかのようで。

 ぽっかりと空いたその穴から流れるもの。

 それを人は涙と名づけるのかもしれない。

 この時、翠蘭はとても大きなものを失った。


「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。ハアッ」


 四十分ほど走ったであろうか。

 翠蘭は走るのをいったん止め、その場に座り込んでいた。

 こんな所で止まっているわけにはいかない。そうわかってはいるが、もう体力が限界であった。

 元々そんなに体力がないことに加え、紅葉を背負って走っていたのだから当然ともいえるだろう。


「……!」


 複数の足跡が聞こえる。

 人かフェアリーか。

 どちらにせよ、確認しないわけにはいかない。

 そう思い後ろを振り返ると、そこにいたのは二体のフェアリーであった。


「──」


 心臓の鼓動が早くなる。

 脂汗が出て、精神が警告をかける。

 しかし、もう足は動かなかった。体力は限界なのだ。

 ──俺は、ここで死ぬのか?

 そうだろう。紅葉が起きていない以上、この状況はどうにもならない。

 そう思うと、力が抜けてくる。

 もういいんだ。

 完全に諦めかけていた翠蘭。


「ふぅ……」


 今までの人生の出来事が脳内を駆け巡る。

 ──紅葉。

 彼女との思い出が脳内に現れる。

 それを見て翠蘭の心に変化が起きる。

 ──何を考えている。こんなところで終わっていいはずがないだろう? お前は何をしている。いつまでも守られっぱなしで、たまには自分が守ってみろ。


「そうだ……!」


 今度は自分が彼女を守るんだ。

 体に力が入る。

 心に勇気が宿る。

 立ち上がり、こちらを襲おうとしている相手を睨みつける。


「俺が、紅葉を守るんだ! 今彼女を守れないなら、こんな命に意味なんてない!」


 叫ぶ翠蘭。

 心の底から、全力で。

 その時、彼の身に不思議な出来事が起こった。

 体が金色に光る。

 内側から、光が溢れてくるのだ。

 その光は目の前で球状にあつまり、一つの形になる。

 黄金の剣。

 光り輝く一振りの剣が、翠蘭の手に収まる。

 これなら彼女を守れる。

 そう思った翠蘭が、剣を構える。

 それを不味いと感じたフェアリーが襲い掛かってくるが、もう遅い。


「ウォォォオオ──!」


 その黄金も一振りは、フェアリーの体を真っ二つに切り裂き。

 そうして、二体は一瞬で絶命した。

 それと同時に、翠蘭の目の前が暗くなり気を失う。

 後に残ったのは、真っ二つになた二体のフェアリーと。

 地面に倒れている二人の男女だけであった。

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