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四季  作者: ばう
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第五部:体育倉庫

走った甲斐もなく体育は部活生が帰ってしまってしんと静まりかえっていた。


月の光が体育館を照らしある意味神秘的であり、ある意味不気味な雰囲気がある。窓もドアもしっかりと閉じられ体育は整然としている。


栞を探すのは明日になってしまいそうだと思いながら体育館を横切り、体育倉庫の扉に手を掛けた。


キィー


『!?』


なんと今日に限って鍵をし忘れてくれたようだ。なんと有り難いことだろう。狭い部屋にはたくさんの体育道具所狭しと並び、部屋をさらに窮屈にしている。


早速体育倉庫の明かりを付け二人でバスケットボールの籠の下、跳び箱の中などくまなく探したが、見つからない。小笠原に目をやると瞼に涙を溜めながら必死に探している。自分にエスパーでもあれば小笠原にこんな顔をさせずに済むのにと思いながら僕も必死になった。


ふと、時計を見ると9時を回っている。下校の時間遠に過ぎていた。


『小笠原、小笠原の家族も心配しているだろうからまたあしたにしよう?明日も手伝うから』


『…』


『なっ?協力するから』


『うん。ありがとう、犬神くん…』


小笠原は涙目ではなくなったが、悲しい表情をしている。僕は、そんな顔を見たくない。


尾を引かれている小笠原の背中を押して、出口へ促した。

倉庫を出ようとした時、小笠原は『あっ!?』と言う声と共に急にしゃがみ込み、感嘆の声をあげた。


『あった!栞あったよ!』


小笠原は急に振り返り鼻と鼻がくっつきそうな位置に小笠原の顔があった。目からうれしい涙がこぼれ、頬を伝っている。


『良かったな』


『犬神くん、ありがとう!』

涙と笑みがこぼれている。


『見つけたのは小笠原だよ…』


『ううん、一緒に探してくれてありがとう。』


小笠原の息を感じ、胸の置くがキュンとなる。


『じゃ、帰るか。もう、だいぶ下校時間過ぎちゃったし…』


僕らは体育倉庫を出て、玄関に向かった。

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