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四季  作者: ばう
4/5

第四部:放課後

実はもうとっくに読み終わっていた。4巻より5巻の方が若干厚いので読み終わってしまうのはしょうがないが、急かすのは心苦しいのだ。


僕は本を大切に鞄の中にしまい帰り支度ができたので、顔を上げた。


『あれっ?…』


小笠原が何かを懸命に探していて困った様子だ。僕は空かさず聞いた。


『どうした?』


『栞が…ないの』


『栞?無くしちゃったのか?……家まではこのレシートでも挟んでおけよ』


栞の代わりになればいいのだから無いよりはましだろう。

『…あ、ありがとう。でも……』


『?』


ふと小笠原の表情が暗くなる。エイトイレブンのレシートでは駄目なのだろうか。エイトイレブンのレシートをしまってフェアリーマートのレシートを取り出した。


『…そういうことじゃなくて……』


微妙なボケにクスッと笑ったが表情は暗い。


『どうした?』『おばあちゃんの栞なの…』

いくら祖父の物を無くしてしまったからと言ってあまり怒られることもないし、僕なんかよく本に付いている栞を捨ててしまう方だから小笠原の顔が暗いのを不思議に思った。


『謝ってまたもらえ…ば…』

戸惑いは悲しみの表情に変わり僕はやっと気がついた。謝りたくても謝れないし、貰いたくても貰えない。つまり、もう小笠原の祖母はこの世にいないのだということに…


『ごめん…』


小笠原は黙って首を振る


『探そう…見つかるまで…』

『ありがとう…』


薄く溜まった涙の滴を指先で軽く払いながら言った。僕は早速身を屈め唯一無二の小笠原の宝物を探し出した。


しばらく探したのだが、栞はどこにも見当たらない。図書室には無いのではないのだろうかと思い始めた。


『小笠原?落とした場所に心当りはない?』


『私、今日図書室と教室くらいしか…あっ!?』


『心当りのある場所があったか?』


『体育道具倉庫っ!』


ちらっと時計を見た。


『運動部がまだ片付けしてるかもしれない!小笠原!急げ!』


僕たちは体育館に走った。

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