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43話:再天地創造<アルファ・リバース・オーバーライド>

“管理者”が倒されたことで、“終末演算機”がついにその本性を現した。


“終末演算機”が、これまでその真価を発揮せずにいた理由は……、特にない。

いつでも「終末コマンド」は起動できたのだ。だが、本来は“終末をしらせる演算機”として設計された物であるため、自分から積極的に動くことは稀だった。


しかし、このタイミングで「終末コマンド」を実行したことは偶然ではない。

“管理者”の撃破により、一時的とはいえ、この世界の“終末”が近づいたのだ。


その近づいた”終末”をお知らせする感覚で、「終末コマンド」は実行された。



『レイジ……』

ルナは震える手をジャスティス・ブレイクの頬に添える。そもそも顔面まで装甲に覆われているのだから硬いのは当たり前だが、それ以上に”停止”を思わせる硬さに、ルナは溢れそうになる涙をこらえる。


このままでは、この世界が消える。

ルナの脳裏に、様々な思い出が過ぎていく。



荒んでいたルナを受け入れ、良くしてくれたエルフの人たち。

一度は敵対したのに、受け入れてくれ、一緒に旅をしたリアムたち。

そしてレイジ。



動くことがない彼の腕に手を絡め、その肩に額を寄せる。



──レイジ、勇気を分けて



それは絶望でも、諦観でもなかった。

希望と勇気、そして少しの悲哀とともに、彼女は覚悟を決める。


<起動 再天地創造アルファ・リバース・オーバーライド



深紅の装甲だったレジリエンス・キラーの全身が、白銀に変化していく。背からは、天使のような翼が出現する。


これは、”次元のトリマー ゼノン”が「対終末演算機」として”ルナだけ”に搭載したシステム。


世界を強制的に終末させる「無あれ(フィアット・ニヒル)」に対し、「光再誕(レナスカット・ルクス)」を行うことで、再度天地創造を発生させる。これにより、お互いの処理をデッドロックさせ、両方を稼働不能状態へと追い込むためのシステム。



白い天使のような姿に変わったルナは、停止しているレイジに声をかける。


『帰る方法を探すって言ってくれたけど……、ごめんね。もう帰れそうにないや』

背中の翼が展開され、そこから燐光のような光が噴き出す。


『君のことは、ちょっと好きだったよ』

ルナの全身が、ひときわ強く光を放った。


光再誕(レナスカット・ルクス)



無音の衝撃が世界に轟く。



2日目。無あれ(フィアット・ニヒル)の効果で一つになりかけていた空と水が急速に分離する。

そして、”再天地創造アルファ・リバース・オーバーライド”は、光の再創造を開始する。が、なかなかその処理は進まない。

”終末演算機”の無あれ(フィアット・ニヒル)と、”再天地創造アルファ・リバース・オーバーライド”の光再誕(レナスカット・ルクス)で、処理が競合しているからだ。

だが、少しずつ、本当に僅かな進みではあるが、光の再創造は進んでいた。

そして、いずれ光は再誕するだろう。それは数年、数十年、あるいは数百年。時が消えた世界の人々には感じられない。ルナだけの体感時間の果てに。


その時、孤独に戦い続けたルナがどうなるのか、それはわからない。



遥かなる時の中への旅立ちを前に、”終末演算機”と繋がったルナに、演算機の持つ情報が流れ込んできた。



この世界が、悪意とそれを顕在化する”魔法”の存在により、仮に演算機が居なくとも、ゆるやかに崩壊に向かうこと。

その崩壊を止めようとする”管理者”と、そんな世界で異物だったルナとレイジ。その両者の戦いを”終末演算機”はただ無言で見守っていた。

”終末演算機”は勤勉であった。この世界の崩壊を見守るだけではない。手が届くなら他の世界へもその手を伸ばす。


それは地球、ルナやレイジが生きた元の世界。その世界へも”終末演算機”の終末は届いていた。

様々な要因で世界を終わりへと導く中、その影響の一端としてルナの妹の姿が映る。


『あの子の病気に、こいつが関わってる!?』


更に意識は時空を超え、今、この先の未来へ。


終末演算機が影響が消えた地球。そこには病状が消え、青空の元で笑顔を見せる妹の姿が……。


『あぁ、よかった……』

ルナの心に、もう迷いはなかった。自分の存在を賭け、コレを止める意味はあったのだ。ただ、少しの寂寥が、瞳から一粒の涙として落ちるのみ……。




体を動かせない状態のまま、ケンタは紫の異形と拮抗している白銀のルナを見上げていた。


なぜだか、ケンタには、ルナの心の声が聞こえていた。

ルナの心にどのような葛藤があり、何を覚悟し、賭けたのか。


動けるなら、今すぐにでも叫びだし、ルナを止めたい。

身動き一つしないレイジを揺さぶり、殴ってでも叩き起こしてやるところだ。


だが、ケンタは身動きできず、思考ができるのみだった。



──おいヒーロー!!


──今こそ出番じゃないのかよ!!


──お前のヒロインが泣いてるぞ!!


──その涙を止められるのは、ヒーローだけだろ!!






──レイジ!!!





<Recept Hero "勘" Expansion>


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