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42話:終末演算機 ヨグ・ソトース

自称”次元のトリマー”であるゼノンは、いわゆる”超越者”である。

超次元的な世界に住む、超次元的存在である。


そんな“超越者”な彼(?)だが、その性質は好奇心旺盛で俗っぽく、おおよそ“超越者”とは思えないものだった。


そんなゼノンの趣味は、発明と、その発明品の活用。なお、活用する際には相手への確認や迷惑などは一切考慮しない。いや、考えもしない。

加えて、うっかり投入してしまう場合もかなりある。当然、この場合も確認などしない。



ゼノンは好奇心に任せ、いろいろな宇宙をめぐるのが好きだ。

が、この辺は”超越者”らしく、時間感覚などはブッ飛んでおり、数十年ふらつくなんて日常茶飯事。数百年、数万年、下手したら数億年は彷徨っている場合がある。


ゼノンにとっては、時間や空間は問題にならないため、時間感覚など存在しない。

しかし、そんなゼノンでも少し困る場合はある。

それは世界の崩壊に巻き込まれることだ。


世界の終末。その場に巻き込まれた場合、さすがのゼノンも……、ちょっと痛い。

地球人類の基準で言えば、曲がり角で向こうから来た人とぶつかった、あるいは、タンスに小指をぶつけた、くらいには痛い。

時間感覚がぶっ壊れている”超越者”様である。たびたび世界崩壊に巻き込まれ、そのたびにちょっと痛かったため、ゼノンは考えた。



──終末をお知らせしてくれる演算機作ろ



そうして、えいやーと作り上げた演算機は、

終末を知らせる演算機ではなく、

終末をもたらす演算機であった。


終末の予想計算時に、宇宙の量子コピーを生成し、そのコピー宇宙で終末加速をかけるはずが、本体側にかけてしまっていたのだ。凡ミスである。


試しに、自分で新しい宇宙を一つ構築し、そこで演算機を起動した結果、できたばかりの宇宙が瞬く間に崩壊。

その余波でうっかり演算機を落っことしてしまった。



落ちた先の宇宙が一気に終末へと向かう。

一瞬、ほっとこうかとも考えたゼノンだが、自分のうっかりで、宇宙が一つ消えるのは、さすがにちょっと、少しだけ心苦しいところが無いわけでもない。

それに、宇宙を崩壊させたあと、また別の宇宙へ……、永遠に宇宙を崩壊させ続けるのも、ちょっと問題がある”かも”しれなかった。


しかし、終末しそうな世界にあんまり近寄りたくない(へたに巻き込まれるとちょっと痛いから)。

と、悩みながら飛んでいたら、うっかり原始惑星の原始人の一匹をひき殺した(ちょっと猫を轢いた感覚)。


演算機どうしようかなぁなどと考えつつ、適当に猫……、もとい、地球人をサイボーグとして修復していて気が付く。


──あ、丁度いいや、コイツに演算機止めてもらお




********




『ギィィヤァァァァァァァァァ!!!』

2本の白い閃光に貫かれた”管理者”が耳障りな悲鳴を上げる。

その閃光は、”管理者”の体に蓄積されていた”闇”を浄化し、消していく。


浄化の余波は、黒いマネキンにも届く。


リアム達の目の前で、黒いマネキンが倒れ、蒸発するように消え去る。


「リアム様!」

「大丈夫だ……、さすがレイジたちだな」

リアムはセレスティアに支えられながら見上げる。そこには、光りの刃で”管理者”を打ち貫いた二人が浮かんでいた。



『闇ィィィィィ! 闇ガァァァァァァ!! 魔王ガァァァァァァ!!』

”管理者”が叫ぶ。大ダメージを受け、体が維持できないのか、その姿が揺らいでいる。


崩れかける“管理者”。その体の下から、ズルリズルリと赤紫の触手が這い上がってきた。


『アガガガガ──ガガガガ』


黒く巨大な“管理者”の体。その体の欠けた部位から触手が入り込み、別の穴から這い出し、“管理者”の体の中を蹂躙するように、なめ回すように、赤紫のそれが“管理者”を完全にその手中に収めた。


『終末演算機 ヨグ・ソトース!!』

レジリエンス・キラーがその名を叫ぶ。

”終末演算機”は”管理者”の中に潜り込み、その生物的とも機械的ともいえる触手や本体をわずかに覗かせている。


『ついに見つけた』


Justice Core Overdirve...


レイジの胸にある(コア)が熱く燃える。


Shoots restraints!!


ジャスティス・ブレイクの背から多数の光弾が射出され、”管理者”の体にそれらが殺到する。着弾した光弾はまるで蜘蛛の糸のように拡散し、”管理者”の体ごと”終末演算機”をその場に固定した。


Max Power!!


ジャスティス・ブレイクの全身から強い緑の光が立ち登る。

かつてないほどのエネルギーの高まり。


『レイジ!』

『これで倒せたら、御の字だ。だめなら……』


その右手に強烈な閃光が集まる。


『倒せるまで、何度でもやってやる!!』


Call Command [Judgement Smasher]


「ジャッジメントォォォォォ──」



──終末コマンド「無あれ(フィアット・ニヒル)




























全てが停止した。























~天地創造~

1日目 光を創造し、昼と夜を分けた。

2日目 空と水を分けた。

3日目 大地と海を分け、植物を創造した。

4日目 太陽、月、星を創造した。

5日目 海の生き物と鳥を創造した。

6日目 陸の生き物と、最後に人間を創造した。

7日目 仕事を終え、安息した。




無あれ(フィアット・ニヒル)は、これを逆転させる。


すなわち、


1日目 光と闇が消え、昼と夜が消える。

2日目 空と水が一つになる。

3日目 植物が消え、大地と海が混ざり合う。

4日目 太陽、月、星々が消え去る。

5日目 海と空の生き物が消える。

6日目 陸の生き物が消え、最後に人間が消える。

7日目 全てが消え、永遠の安息が訪れる。



今は1日目。

世界から光と闇が消え、昼夜、つまり時間が消えた。





無あれ(フィアット・ニヒル)を認識できる者。

それは、”終末演算機”を止めるために送り込まれた者。



『レイジ……』

全ての色が消え、光も闇も無く、時間すらも消えた中で、ルナは一人孤独に呟く。

レイジこと、ジャスティス・ブレイクは、拳を握りしめ、今まさに「ジャッジメントスマッシャー」を打ち出そうという姿で停止している。


終末に向け、すべてが停止した世界にただ一人、いや……、



──ちょ、俺動けないけど!?



死なない男モブ・オブ・ザ・デッド”のケンタだけは、意識があった。


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