表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/46

38話:管理者

その世界は滅びに瀕していた。

その世界には、人の”心”が”意思”が、直接的に外部へ影響を及ぼす事象が存在したためだ。


その事象の名は、”魔法”と呼ばれていた。


傲慢、嫉妬、強欲、羨望……、数々の邪なる意思が魔法に乗り、世界に”闇”を堆積させていく。

”闇”は更なる”闇”を生み、悪意のらせんにより世界は混沌のるつぼに陥っていた。



その“存在”は、偶然、たまたまに、それこそ完全なる乱数、宇宙線が地球に降り注ぐかのように、何の脈絡もなくこの世界に通りかかった。

その“存在”は、自称“次元のトリマー”である“ゼノン”と同等の存在であった。


その”存在”は、宇宙が一つ滅びようが、二つ滅びようが、特に気にはしない。

しかし、その時は”気が向いた”のか、あるいは”いい実験場”とでも思ったのか、この世界の”闇”を集め祓う仕組みとして、”聖剣と魔王”のシステムを組み上げ、そして、満足して去っていった。


”管理者”は、”聖剣と魔王”のシステムを管理・運営するためにいる。

結局のところ、システムは世界を延命したに過ぎず、祓いきれない”闇”により、世界は緩やかに”終末”へと向かっている。

それでも、システムが設置されてから数千年。”管理者”は一応問題なく、このシステムを運用してきた。


それがここにきて、均衡が一気に崩れた。

一見、システムは正常稼働しているのに、世界は急速に”終末”を迎えつつあった。


”管理者”は非常用権限を行使し、強制的に”闇”を集め、聖剣に祓わせるために”介入”を行った。

しかし、事態は好転どころか、悪化の一途をたどる。


”管理者”は混乱した。管理上の対策、対応が全く役に立たないからだ。

システムの管理・運営が役割である”管理者”は、イレギュラーな事態に弱かった。しかし、改善しないなら事態を更に分析し、新たなる対策を立てたであろう。そう、”管理者”が正常稼働していれば。


──闇ガ足リナイ

──闇ヲ集メル

──モット闇ヲ


異空間にて、暗く、黒く、巨大な姿をした“管理者”が、誰に聞かれるでもない独り言を呟いている。

背後から、赤紫の触手が自身を侵食していることには気づかずに……。



********



最後の四天王【滅界の覇王】グラトスは、静まり返った魔王城を一人歩く。この城に居るのは、自身と魔王だけになった。


自身以外の四天王は、”闇を集める器”としての役割を全うし、聖剣と勇者の糧となった。

魔王は、就任後に玉座に座し、そこから動くことは無い。それが魔王の役割だからだ。


だから今、この城の中を歩いているのは、グラトス一人である。


「次は私だな」


勇者は既に、最寄りの街まで来ているとの情報も得ている。

ここへ勇者が乗り込んでくれば、次はグラトスがその糧となる番だ。


グラトスは“システム”のことを知っていた。知った上で、その“役割”に従って動いてきた。

だから、何の疑問も持たず、“役割”を全うしようと考えていた。たびたび行われる異空間からの介入に、小さな違和感は覚えつつも……。


グラトスの目の前に突然、空間の裂け目が出現した。

暗く、黒く、巨大な何かが、こちらを覗き込んでいる。



──闇ガ

──闇ガ

──闇ガ



その何かが、繰り返し繰り返し呟く。


──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇

──闇


「なっ!?」


空間の亀裂から黒いヘドロのような何かが噴出し、グラトスを飲み込み、魔王城の城内を埋め尽くしていく。



魔王城の外にも、空間の亀裂が次々と出現する。

その全てから、黒いヘドロが飛び出し、亀裂がどんどんと広がっていく。


空間の亀裂と黒いヘドロは魔王城を中心として、魔の砂漠(デモンズ・デザート)に広がっていく。


荒野の地面も、灼熱の空も、すべてが剥がれ落ち亀裂は広がる。

僅かに残った大地や空は、黒いヘドロで埋め尽くされる。


ついには、魔の砂漠(デモンズ・デザート)の全てを飲み込み、黒と紫がまだらにまじりあう異空間が現出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ